【第25話】小さな命と大きな宇宙
「おお、そうじゃった・・・」カッパの声で我に戻った神様は茜たちをジッと見た後、ロマンスの隣に立った。「ロマンスよ・・・彼女の病気を治してやってくれ」
「え?」茜が声を漏らす。その場の石田やカッパ達も同じ表情をしている。
「病気・・・?」ロマンスは茜を見ながら呟いた。
「そう、彼女はもう余命わずかの地球人なんだ」神様も茜を見たままロマンスに言った。
「ちょっと待て!」ロマンスは神様から1歩離れた。「そんな事をしたらワシの宇宙が・・・」と言いかけてロマンスはハッとした。
「そうじゃ。だからお前にしか出来ん事なんじゃ。すでに瀕死のお前の宇宙は取り返しのつかない事になる。いや、消滅するじゃろう。宇宙を壊すような事になればお前の神の権利は剥奪になる。だが、お前が守りたいと言った星は助ける。だから、彼女の命を助けてくれないか?」
「茜、助かるんですか!?」石田が神様に向けて大声を発した。
神様は石田を少し見た後、目線をロマンスに移した。その視線をその場にいた全員が追い、ロマンスにみんなの視線が集中した。ロマンスは少しの間黙っていたが、顔を上げ茜を見ながら口を開いた。
「・・・わかった。助けよう。もう失ったも同然の宇宙じゃ。奴に利用されるくらいなら壊れてしまった方が良い。それに、ワシの守りたい者達を助けてもらえる。ワシの神の力など消えても構わん!神としての最後の力。その願いに使わせてもらおう」
「ロマンス・・・すまんな」
神様がロマンスに声をかけるとロマンスは茜に向けて歩き出した。その斜め後ろを神様も歩いてくる。神様とロマンス以外の時間が止まってしまったかのように誰も動かず、何も言わなかった。
2人は茜の前に立ち止まった。
「私・・・助かるんですか?」期待と不安が混ざった表情の茜の声は震えている。
「あぁ。そうだ」神様は柔らかい声で茜に言った。
「ゴッド様、星の移転完了いたしました」姿は見えないが天使の声がクリアに響いた。
「よし」神様はそう言うとロマンスに視線を送った。ロマンスも同じように視線を送り、2人の神様は同時に頷いた。
「頼むぞ」
「うむ」
ロマンスは茜のおでこに手をかざした。すると、おでこの辺りが光り、その光りは頭の先から足の先までスキャンするように動いた。所々で止まったり動いたりを繰り返し、最後はロマンスの手に光りは戻った。数十秒ほどの出来事だった。
「よし、完了だ」かざしていた手を下ろし、ロマンスは言った。
「え、もう終わり?」真由美が聞く。
「本当に治ってるんですか!?」石田も同時に質問した。
「本当だ。痛みや違和感はもう無いと思うが?」神様は茜をにこやかに見た。
「・・・うん。なんとも・・・ない」茜はお腹や手足を手で触りながら答えた。
「本当に?」真由美が茜の顔を覗く。
「うん」
「マジでマジでマジか?」竹下は茜の斜め後ろから聞いた。
「うん。マジでマジでマジ」
横にいた石田が茜の腕を掴み抱き寄せる。2人は抱きしめって涙を流した。真由美と竹下も抱き合って喜び合った。カッパと宇宙人も。
「こんなに喜んでもらえて、力を捨てた甲斐があるな」みんなの様子を見ながらロマンスは言った。
「ワシも星を移動させた甲斐がある。この後何を言われるかわからんがな」神様は笑った。
喜び合ってた茜が神様2人の前に来て頭を下げた。「ありがとうございました。どうお礼すればいいか・・・」
「なに。神様に礼などいらんぞ」ロマンスはほほ笑んだ。
今回も読んで頂きありがとうございました!




