【第21話】告白
神様たちが滝の中に消え、茜は少しの間1人でいた。もうすぐ石田が来るからと、茜は涙を拭いて何度か深呼吸した。鏡を見て目が赤くない事も確認した。
茜が鏡をしまっている時、石田が茜の3mほど後ろに現れた。
「あれ・・・?あ、茜・・・?」石田は急な事に戸惑いながらも茜に気付いた。
茜は振り返り石田を見た。「石田君・・・」
「俺、また飛ばされたのか・・・」辺りを少し見回して石田は言った。「茜、1人か?神様たちは?」
「さっきまでいたけど、小屋に」
「茜は行かないのか?そういや、なんで俺は飛ばされてきたんだ」
「・・・私、石田君に言いたい事がある」
「ん。何?」
「私ね、実は今日、この滝に来るのが1番の目的だったの。叶う訳ない、気休めだってわかってた。でも、もしかしたらなんてそんな事も考えてた。そしたら神様が現れたから、本当に叶うんじゃないかって思った。だけど、願う前に神様に言われたの。私の願いは叶えられないって。だから願えなかった」
「叶えられない、神様にも出来ない事があるって事?」
「うん。欲張りな願いと、命を新しく創る事や、寿命を延ばすような事は出来ないって」
「茜、お前何を願うつもりだったんだ」
「・・・病気を、治して下さいって」
「病気・・・お前病気って・・・」
「私・・・」
「なんだよ、死ぬなんて言わないよな・・・」
茜は両手のこぶしを握りしめ何も言わずに俯いている。
「おい!どうなんだよ!」石田が声を荒げる。
石田の声を聞いた茜は、その場に座り込み泣き崩れた。そんな茜の姿を見た石田はすぐに茜の元へ歩み寄った。
「嘘だろ・・・。なんでだ・・・」誰に言うでもない石田の言葉が宙を舞う。
「・・・ごめんね」茜が手で顔を覆いながら絞りだす。
「ごめんってなんだよ」
「ごめん・・・」
「だからなんだよ・・・」
沈黙の時間が少し続き、茜が少し落ち着くと石田が口を開いた。
「いつだ・・・いつからわかってたんだ?」
「バイト・・・辞めた時」
「パン屋なんて行ってないんだな」
「うん・・・」茜は頷く。
「なんで黙ってたんだよ・・・。いや、違う。ごめん。気付いてやれなかった・・・ごめん」
「なんで石田君が謝るの?謝るのは私なのに。怖くて言えなかった」
「俺達に言うのが?」
「うん。みんなが傷ついたり悲しむと思うと怖くて」茜は下を向いた。
「なんだよそれ。傷つくのも悲しむのもそんなの当たり前だろ。俺たちみんな茜が好きなんだ。だから、茜がつらい時、苦しい時に一緒に傷ついて悲しんで、そばにいたいんだ。でもな、茜・・・」
石田が茜の名を呼び言葉を切ると、茜は顔を上げて石田を見た。石田は真剣な表情で目を合わせた。
「俺は、あいつらの誰よりもお前が好きだ」
「・・・石田君。私も石田君が好き・・・。好き・・・でも、私、もう死んじゃう・・・」
「茜・・・。大丈夫。大丈夫だから。神様がいるんだ。助かる方法は絶対にある。必ず見つける。神様をぶん殴ってでも必ず見つけるから」
今回も読んで頂きありがとうございました!




