第1話 誕生日
僕はアルマ
水の王国にお母さんと住んでるんだ!
今日は6歳の誕生日で、お母さんは仕事を切り上げて僕と商業地に向かってるんだ!
ここは田舎だから王都までかなり距離があるから、普段の買い物は大体この商業地で済ませるんだ。
「着いたわよ」
「やったー!」
来たのは魔法屋である。
この世界では、魔導書なしに魔法を使うことはできない。
そして、魔法は値段が高く、一般の家ではなかなか買うことができない。
カランカラン
ドアを開けると、店のベルが店内に響き渡った。
「いらっしゃいませ、今日は何をお求めですか?」
ちょっとイメージと違っていた。
漠然と怪しい装飾だらけの店内で怪しいお婆さんが売ってるイメージだったが、綺麗な店内、どこか高級感が漂う男性店員がいた。
「えーと、今日はこの子に誕生日プレゼントで魔法を買おうと思いまして…」
チラッと店内の本を見た。
なにやら○がいっぱい書いてある。
「なるほど、失礼ですがご予算は?」
「え、えーと1万ペルで買えるものはありますか…?」
「それでしたら、こちらの『ウォーター』の魔法が丁度1万ペルですが、いかがでしょうか?」
「アルマ、ウォーターの魔法でもいい?」
「うん!いいよ!」
初めての魔法だもん!
なんだって嬉しいや!
「では、ウォーターの魔法を1つください」
「かしこまりました」
「では、この魔導書に手を合わせて『コネクト』と唱えてください」
『コネクト!』
その瞬間魔導書が光だし頭が真っ白になった。
目が覚めると朝だった。
家のベッドに横になっていた。
頭がまだボーッとする…。
顔を上げると、椅子にもたれかかってるお母さんがいた。
…お母さん?
母親の顔を思い出そうとすると、2人の顔が出てくる。
そして、ここではないどこかの家の風景…。
段々頭が冴えてくると状況を理解した。
どうやら、前世の自分は死んでこの世界に転生したようだ。
でも、いつどうやって死んだのかは覚えてない。
最後の記憶はバスで帰宅してる最中だった。
そんな事を考えながらもう一つの違和感に気付く。
母親の様子がおかしい。
さっきから椅子に寄り掛かってうなだれている。
いつもの母親なら元気に仕事をしているはずだ。
「お母さん…?」
呼びかけてみる。
ビクッと体を起き上がらせた母親は恐る恐るこちらを振り向いた。
「あ、アルマ…?」
そこには目が腫れ、クマが出来てやつれた母親の姿があった。
「お母さん…一体何が…?」
恐る恐る問いかける。
「アルマアアァァア!!!」
母は僕の名前を叫ぶと、勢いよく抱きつき大泣きし始めた。
後から聞いたが、どうやら魔導書を使った瞬間倒れてそのまま約1ヶ月眠っていたとの事。
母親は医者にも行ったが、原因が分からず突っぱねられてしまったとの事で、自分をずっと責めていたらしい。
畑は枯れていた。
きっと僕が死んだら自分も死ぬつもりだったんだろう。
そんな雰囲気が漂っていた。
「ごめんお母さん、もう大丈夫だよ」
「アルマ…ごめんなさい…私が魔法を買ったばかりに…ごめんなさい…ごめんなさい…」
きっと、アルマのままだったら僕も泣いていただろう。
涙が出ないのは前世の記憶が僕を強くしたからなのか、僕には分からなかった。
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2つ目の小説となりますがまだまだ拙い文章の為、読みづらい所などがあるかと思いますが、何卒よろしくお願い致します。