プロローグ
「お前のしている事は著作権侵害で違法商売だ!!」
声を荒げるのは、貴族のミルズと名乗る男であった。
「し、しかし、僕が売ってるのはオリジナルの魔法で、ミルズ様が管理している魔法と同じものは売ってません!!」
「うるさい!黙れ小僧!オリジナル魔法だと?そんなわけあるか!!今の時代古代文字を解読できる人がいないのは常識だ!ましてやお前みたいな貧しいガキに解読できる訳がないだろ!」
この世界では魔法を使うために魔導書を使用する必要がある。
しかし、中に書かれている古代文字は現代では解読ができる者がいないため、定められた貴族が管理をし、高額で魔法を売っている。
当然古代文字を解読できない者は、魔導書を売ろうとすれば違法でコピーをするしかない。
しかし、アルマは古代文字を解読できたので同じ魔法を売らなければ問題がないと考えていた。
「貴様らを訴えてやるから、明日首を洗って裁判所まで来い!!」
魔導書の違法コピーは重罪である。
有罪判決が出されたらどんな刑が待っているか分かったもんじゃない。
「母さん…ごめん…僕、母さんの力になりたくて頑張ったのに…」
「いいのよアルマ。今夜ここを出ましょう。」
母親はそう言うと荷物をまとめる
「さあ、アルマも大事な物だけ…え?」
母親がアルマを急かそうとして振り向くと、荷物はキレイさっぱりなくなっていた。
アルマは自分が開発した収納魔法で畑の野菜、家具や荷物、店と家全てを収納したのだ。
「さぁ、母さん出発しようか…」
「ちょっとお待ち!」
声をかけてきたのは村の住民達だった。
「アルマちゃん、あんたのお陰で私らも随分助かったわ。あのミルズとか言う貴族は許せないけど、私らにはどうしようもできないから、せめてコレを持っておいき!」
そう言うと食料や作物の種など、様々な物を貰った。
「皆さんすみません、ありがとうございます…」
「いいのよいいのよ、どうか2人に神の御加護を…」
村人達と別れの挨拶を済ませると、アルマと母は国を出た。