第七話、終末者|《エンド》
最新話っす!稚拙な文っすけど、読んで下さると嬉しいっす!
わたしは、リク。
はっきり言って、この世界の住人じゃない。
簡単に言うのなら、別の世界から来た。
こんな話を聞いた事があるんじゃないかな?
パラレルワールド。
並行世界、異世界とか言うのかな。
そんな感じ。
世界は幾つもの分岐点があって、そこには幾つのもの時空、次元がある。
わたしがいた世界もそこに含まれてると思う。
この世界でいう"次元大災害"のせいで、色んな世界がくっ付いて、時空や次元が歪んでる。
だから、人間離れした能力を持った奴らが入り込んだんだと思う。
そいつらは、わたしの倒すべき敵だ。
わたしがいた世界を、
滅ぼしたからだ。
わたしがいた世界は、常に雲で覆われていて、太陽なんて見た事がなかった。
廃墟都市に、辺りに広がる砂漠地帯。
そんな世界だった。
「社会不適合者だ…気味悪い…」
「あっちに行けッ! 化け物ッ!!」
わたしらの世界じゃ、社会不適合者って呼ばれる異能力者が生まれる。
わたしもその1人だ。
小さい頃の記憶はないけれど、異能力を使えたから。
人と違うというだけで、差別され生きにくい世の中だった。
それでも良かった。
こんな地獄みたいな世界でも、生きているだけで幸せだったから。
それに、スラム街で皆との暮らしが好きだったんだ。
だけど、突如として…奴らが現れた。
わたしと同じ、異能力を持った奴らが。
そいつらは、終末者と名乗り、人ならず者の力を行使し、世界を蹂躙し始めた。
軍隊も必死に抵抗したが、無意味に等しかった。
他の社会不適合者達も抵抗した。
すぐに殺されてしまったけどね。
生き延びたわたしは、自分の能力を理解して、世界に残った奴らを1人残らず排除した。
わたしの能力は、
消失。
その名の通り、物体を消す事が出来る。
跡形もなく。
終末者達に聞いた限りでは、他の世界も同じように蹂躙してる。
だから、わたしは奴らを倒すため、開いた空間を通って、この世界に辿り着いた。
※※※※※
「にわかに信じ難いな…って言ってる場合じゃねぇよな」
榊は、先程見た出来事と結び付ければ納得の出来る説明だ。
「つまり…だ。その終末者って奴らがこの世界に来ているって事か?」
「恐らくね。だけど、この世界が終わってないって事は、まだ他の終末者は来ていないと思う。時空のズレとかね」
「ズレ?」
「幾つもの世界が歪んでくっ付いてるって事は、この世界に来るまでの誤差がある感じかな。わたしも、体感で1ヶ月くらいだったし」
「体感かぁ…」
「そっ。流れる時空の狭間で、肉体は歳を取らなくても、感じる時間が相当なんだ」
「まだ猶予はあるって事か…」
「だけど…それが何時になるか分からないよ。年後なのか数日なのか…」
「そうだな…」
「それに、今日かもしれないし」
榊は一瞬、視界が歪むのを感じた。
「今のは…」
「奴らが来たみたいだね」
リクも感じていたらしい。
歪み。
それは、空間に穴が空いた合図でもある。
滅多な事では、感じないが、とてつもない何かが接近して来たため感じ取る事が出来た。
※※※※※
ーー東京都市警察署。
警察署前に、現れた5人の影。
それぞれがフード付きの黒いロングコートを身に付け、口元が見える仮面を装着していた。
「……?」
背丈が低く小柄な少女は、袖が余る程のコートをひらひらさせながら、小首を傾げる。
「ふむ…、体感で5年弱」
厳つい声、高身長、ロングコートがはち切れそうな程の筋肉質で、口元から見える肌は黒光り、付近には触覚のような物が付いている。
「うげっ。数えてたのか!?」
大袈裟に驚く、高身長の女性。見た目だけでは、美人のような雰囲気を醸し出しているが、口調からは、何か抜けてそうな感じだ。
「のっほっほっほ。良いオヤツ時間でありましたな」
ポップコーンを片手に貪る太っている男は、高笑い。
「お前、ずっと食ってただけだろ!!」
高身長の女が、すかさずツッコミを入れる。
「油断するなよ…この世界の奴らが強かったら即死だぞ」
明らかに他の4人と雰囲気の違うリーダー格の青年が気を引き締めさせる。
「先に斥候隊が着いてるはずだが?」
青年が辺りを見渡す。
街ゆく人の声、車の音。
平和そのものだ。
「気配を感じぬ。着いていないか、倒されたか…」
筋肉質の男が答えると、高身長の女は大爆笑。
「うははははっ!前者は、ともかく後者は有り得ないって! 仮にも世界喰のメンバーなんだしさー! 下っ端だけど!!」
ツボに入ったのか、ずっと爆笑している。
世界喰。
それが終末者の組織の名前だ。
「とにかくだ。この世界の戦力を…」
青年の言葉を遮るように、警察官に話し掛けられる。
「君達、ここは歩道だよ。通行人の邪魔になるから避けてくれないと…」
「何、こいつ?」
高身長の女が警察官に話し掛けられ、冷めた表情を浮かべていた。
青年以外、鼻で笑い飛ばす。
「もしかして外人さん? 日本語分かるかい?」
警察官は、コスプレしている外人と判断したのか、やたらと距離感が近い。
「デストロ、戦力把握だ」
「承知した」
デストロと呼ばれた筋肉質の男は、警察官の前に立ちはだかり、拳を固めていた。
「ん?」
警察官がポカーンとしたような表情を浮かべると、デストロの拳が顔面にめり込んでいた。
「まぁ…やる前から分かったけどな」
青年は小声で呟いた。
バリィィィンッ!!
劈く音が響き渡り、東京都市警察署1階のガラスを警察官が突き破って壁に激突する。
他の警察官達が駆け寄ると、飛んで来た警察官の顔面はぐちゃぐちゃに潰れていた。
デストロが警察署に入ると他の4人も後に続いて入る。
「き、貴様ら!! ここが何処だか、分かってるのか!?」
他の警察官がデストロに近付いた瞬間、固められた拳で殴り飛ばされると、壁にめり込んだ。
「ふむ…脆い」
デストロ。
世界喰幹部の一人。
能力、【破砕】。
鍛えれば鍛えるほど、破壊力が増す、シンプルな能力。
幹部の中でも超武闘派。
「し、襲撃だッ!!」
警察官達は、机を倒し、遮蔽物の影から自動式拳銃やライフル銃を構える。
「動くと撃つぞ!!」
警察官が忠告すると、太った男がポップコーンを指で弾いて飛ばす。
コツンと忠告した警察官の眉間に当たる。
「ポップコーン…?」
「炸裂…ボンバーーーーーッ!!」
太った男が叫ぶと、ポップコーンが発光して爆発。警察官が数人巻き添えになり、肉片へと変わる。
「ポップコーンは、最強なんですぞ」
コププ。
世界喰幹部の一人。
能力、【爆裂玉蜀黍】。
ポップコーンを爆弾に変える能力、時限式では必ず指で弾かなければ爆発しない。
幹部一の食いしん坊。
「くそ…!! 撃てッ!!」
警察官達の一斉射撃。
すると、銃弾が当たる前で止まる。
「撃ち続けろッ!!」
警察官達が続けて銃撃するも、やはり銃弾は目の前で止まる。
「ど、どうなってる…?」
小柄な少女が長い袖を振り下ろすと、銃弾が発砲した警察官達へと跳ね返る。
「ぐわッ」
「ぎゃッ!!」
撃ち抜かれた警察官達は、悶え苦しむ。
「反射…」
スーカ。
能力、【反射】。
世界喰幹部の一人。
あらゆる物体を反射等させる能力。
透明な板がスーカの袖へと戻っていく。
在中していた完全武装の警官隊が、幹部達を取り囲み、一斉射撃体勢だ。
「学習しないってウケる」
高身長の女が笑い飛ばす。
銃弾を跳ね返されたのにも関わらず、銃撃しようとしているのだから笑ってしまったのだ。
「撃てッ!!」
「おっそい」
「!?」
笑いながら、警官隊の横をすり抜ける。
「死んでっと」
警官隊達の身体のどこかへかすり傷を負わせて、ナイフをペロリと舐める。
「斬滅」
フィリン。
能力、【連鎖】。
世界喰幹部の一人。
どんなかすり傷でも、連鎖的に相手へダメージを与える事ができる。
幹部の中でもお調子者。
「後は任せたぞ」
青年は、署長のいる最上階へと向かった。
読んで下さり感謝っす!




