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END’S World  作者: 明日の夜明け!
プロローグ
7/17

第六話、消失

いつも読んで頂き感謝っす!


榊は、自分の不甲斐なさを噛み締めながら、署を後にする。


行きつけのラーメン屋の暖簾をくぐろうとすると、何者かに突き飛ばされて尻もちをつく。


「っ!? 何だ…」


「く、食い逃げだ!!」


「マジかよ!!」


榊は、走り去っていた少女を捉える。


「あの子は…!」


容疑者と対峙していた少女と後ろ姿が酷似しており、榊は追い掛けた。


「止まれ!!」


吊った腕のまま、少女を追い掛ける。


(くっそ、足早いな!!)


すると、少女は、すてーんっと地面で転けた。


それも盛大に。


「はぁ…追い付いた」


榊は、少女の腕を後ろに回して、立ち上がらせる。


「あんたは…この間の警官?」


どうやら、少女は榊の顔を覚えていたようだ。


「その通りだ。色々と聞きたい事もあるが、まずは…」


榊は、少女の腕に手錠を掛ける。


「へ?」


「食い逃げの現行犯な」


「それは困る」


「親御さんが困るよな」


「親なんていないけど、やるべき事がある…」


「はぁ…」


榊は、考えた。


連行したとして、事件がややこしくなるのではないかと。


※※※※※


ひとまず、ラーメン代は榊が立て替えて、近くのファミレスに少女を連れて行き、話を聞くことにした。


「俺が聞きたいのは…分かるな?」


「わたしが倒した解体屋(ばらしや)の事でしょ?」


「そうだ…ん?倒したって?」


「うん、倒したよ。」


この時点で榊の思考が止まる。


見た目からして、高校生になったばかりの少女があの大男を倒したなんて到底思えない。


少女は、榊の表情を見て、深い深い溜め息を零す。


「どうせ信じないないでしょ」


「まぁな…」


嘘を言っている訳ではないだろうが、その話を信じる、理解するのに無理がある。


「見せた方が早いかな」


少女は、そう言って立ち上がった。


「おい…どこへ…」


「いいから付いて来て」


※※※※※


ファミレスの外へと出ると、喧騒の中、少女はパーカーのポケットに両手を突っ込んで歩いていく。


「そう言えば、お兄さん名前は?」


「榊・フォードレッドだ」


「わたしは、リク。それにしても、この世界は五月蝿いね」


リクと名乗った少女は、フードを深く被る。


「そりゃ、都市部だからな…この世界ってよ。まるで別の世界から来たみたいに言うなよな」


「……着いた」


榊はリクが立ち止まった所を見て、落胆する。


「また路地裏かよ…」


リクの後に続いて路地裏の奥へと入って行く。


「今から、どうやって倒したから見せるよ」


「お、おう…」


「…と、言いたいところだけどっ!!」


リクは榊の頭を鷲掴みにして、地面に伏せる。


「いきなり何すんだよ!?」


榊が壁に手を触れると、斬り込みが真っ直ぐ入った。


「な、何だ!?」


「敵…」


リクが呟くと、暗闇の奥から単調な拍手が聞こえて来る。


「首をスパッと斬り飛ばすつもりが、まさかまさか、避けられるとは…」


姿を現したのは、人よりも数倍頭が大きく、異様に長い腕。

腕に関しては、足よりも長い。

ボロボロの布切れを羽織ったような細身の男だった。


「その姿…切裂屋(きりさきや)スライサーか」


榊が呆気に取られてる中、リクは既に戦闘態勢に入る。


「おやおや、ご存知で? 自分も有名になったものですねぇ。あ、首を跳ね飛ばす前に、ザッパーと言う方を知りませんかね? 自分の戦友なんですよ」


「それなら、わたしが倒した。」


「貴女が? ご冗談を…。」


既に繰り出されていた攻撃をリクが左手で受け止めていた。


すると…。


目を疑う光景だった。


スライサーの右腕が消え失せたのだ。


「何?」


スライサーは驚いた様子ではあったが、瞬時に距離を取り、起きた現象を冷静に分析していた。


「なるほど…あながち嘘では無いようですね。貴女…社会不適合者(ロスト)ですか。」


「だから?」


「忌々しいゴミクズが…。ここで死になさい!!」


スライサーは残った片腕を不規則に動かすと、目ではっきりと分かるような、斬撃が四方八方から飛んで来る。


(避けようともしませんか。当然ですよねぇ。この技から逃れる術などない!)


リクは、ただ立っていただけだ。


そのはずなのに、四方八方から飛んで来ていた斬撃が消失。


風だけが巻き起こり、リクのフードが脱げ、顔貌が明らかになる。


短めの茶髪に、虫も殺さなそうな可愛いらしい少女だった。


瞳でスライサーを見つめる。


「は? 何をしたのですか?」


「お前じゃ、わたしを殺せない。」


「それに…その顔は…。有り得ない…」


スライサーは、リクの素顔を見るなり、ガタガタと震え出した。


その様子をただ、榊は眺めている。


「有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り…得ないッ!!」


頭がおかしくなったかのように、その言葉を連呼し残った片腕の爪を齧る。


「わたしは必ずお前らを…1人残らず…」


リクは、ゆっくりと右手を開いてスライサーへと向けた。

右手からは、黒い小さな球体が徐々に膨らみ、大玉へと変化する。


「自分では分が悪過ぎ…ますーー」


「ーー消す」


放たれた黒き大玉は、逃亡しようとしたスライサーに直撃。


消失(デリート)


肉片一つ残さず、スライサーは消え去った。


「ちょうど証明になったね。榊さん、これで納得した?」


榊は、衝撃過ぎる出来事を理解するのに必死だった。


まるでファンタジーだ。


次元大災害が起きている時点で、これは十分に有り得る話かと、榊は一人で納得する。


「本当に君は…何者なんだよ…」


「信じるかどうかは、榊さん次第なんだけど」


リクは、榊に説明する。


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