第四話、少女
上達してるかは、不明っすけど…。
見て下さると嬉しいっす!!
あー…、死んだな…。
俺の頭は割られて、一瞬の痛みとともに死ぬんだろうな。
死ぬ前って、走馬灯を見るって聞くけど…どうやら本当らしい。
人生って呆気ないものなんだな…。
「早く!! 誰か!?」
最後の最後で見るのは、あの時かよ。
もうちょっとマシな走馬灯にして欲しいもんだ。
俺は大雑把な性格だが、こう見えても訓練学校は首席で卒業した。
将来だって、周りから期待された。
だが…。
通り魔が出たって言う通報を受け、犯人を逮捕しようとした。
しかし、通り魔は薬物中毒者で、手が付けられず、警察官も何人か刺された。
射殺するしかない。
当時、組んでいた先輩や他の警察官は、射殺する事が出来なかった。
野次馬が大勢いる中で、正確な射撃をする事が出来るだろうか。
誰にもそんな勇気はなかった。
もしかすれば、一般市民を銃撃する事になってしまうからだ。
銃を構えた所までは覚えてる。
気付いた時には、犯人は死亡していた。
俺が射殺していたんだ。
初めて…人を殺した瞬間だった。
待っていたのは、賞賛ではなく、責任追及だ。
警察官は、原則として逮捕、簡単に射殺してはならない。
銃撃戦が珍しくないこの世の中で、おかしな話だよな。
俺の上司は処分された。
責任を取ったんだ。
俺のせいで。
たった1つの判断で、周りが処分される場合だってある。
俺の後悔だ…。
悔やんでも悔やみきれない。
まぁ…ここで死ぬんだ…。
関係ないけどな…。
俺は自分自身に呆れながら目を閉じた。
※※※※
榊は走馬灯を見ながら、殺されるのを待った。
しかし、鉈がいつまでも振り下ろされない。
とっくに死んだのだろうかと、疑問符さえ浮かべてしまう。
榊は目を開けると、片腕を無くしたザッパーと目の前に立ちはだかるフードを被った少女が静かに立っていた。
「え?」
「おま…おま…えぇ!! 何をしたぁ!?」
ザッパーは無くなった右腕を見て、怒りを顕にして震えている。
「知る必要はないよ…。ここでお前は終わりだから」
少女は静かにそう呟いた。
「解体屋ザッパー…。ここで終わりにする」
「この力は…ッ、貴様ぁ…社会不適合者かぁ!!」
社会不適合者?
何を言っているんだ?
状況を飲み込めないまま、榊は視界を歪ませながら叫ぶ。
「民間人は…逃げろ! これは…警察の仕事だッ!」
民間人を巻き込む訳にはいかない。
「伏せなさいッ!!」
キリスが警告してから発砲すると、榊も続いて、自動式拳銃を構えて発砲。
ザッパーは、鉈で弾き飛ばしながら、その場から逃げ出そうとしたが、地面に転がった。
左脚が消失していたのだ。
少女の姿が消えたかと、思いきや榊の後ろへと移動していた。
「うぎゃぁぁぁッ!! どどどうなってやがるッ!」
「あんたら、邪魔だ」
少女は、榊の襟を掴み放り投げる。
それをキリスが受け止めた。
「ま、待ちなさい!!」
キリスが制止しようとしたが、少女は勢いよくザッパーの顔面を掴み、路地裏の奥へと消えていった。
時間を割いて見て下さり、感謝っす!




