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END’S World  作者: 明日の夜明け!
第一章、近大世界ウォール
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第十五話、近大世界

第一章、遂に幕開け。

 体感時間で、既に3日ほど経過しても、白い空間からは抜け出せていなかった。


 まだまだ着かないという事なのか、そもそも出発しているのかすら分からない。


 唯一の救いは、食事を摂らなくても影響はないという事だけだ。


 すると、白い空間の中で茶色の背表紙の一冊の本が現れた。


「何これ?」


 キリスが手に取る。


「初めて…、見たよな?」


 カインが視線を陽花に向けると、こくりと頷く。


「一体、何の本なんだろう…」


 リクも見るのが初めてなのようで、少し困惑していた。


「見てみる必要があるな」


 榊がそう言うと、キリスが本を開いて確認する。


「何々…」


 キリスが本に書かれた内容を読み上げる。


 ーー近代世界、ウォール。


 この世界は、|ヴァリアブル・フロントライン《VF社》によって管理されている近代都市である。


 突如として、出現した"次元生命体"を討伐すべく、あらゆる技術を結集するも、殲滅には至らず、人類は大きく衰退した。


 そこで、|ヴァリアブル・フロントライン《VF社》は、戦闘型自立駆動兵器(アンドロイドFV)を開発し、各地に拡がる次元生命体を殲滅する事に成功した。


 戦闘型自立駆動兵器(アンドロイドFV)…。


 パタン。


 キリスが本を閉じる。


「どうしたキリス?」


「情報量が過多すぎる…」


 キリスは、詳しく書かれた概要を見て、胸焼けしてしまいそうだった。


「代わるか?」


 榊が手を差し伸べると、キリスのプライドが許さないのか、


「いいわよ」


 …と、断る。


 そして、続きを読み始めるのだった。


 戦闘型自立駆動兵器(アンドロイドFV)は、平和になった世の中には、最早不要の産物かと思われたが、戦闘用ではなく、家庭用として運用される事となった。


 しかし、一体の戦闘型自立駆動兵器(アンドロイドFV)は、人間と同じ思考を持ち合わせてしまった。


 自分達に人権は存在しない。


 ただ人間に従う道具。


 使い捨ての道具…だと。


 今後の世界の在り方について自身に問い掛け続けた。


 増える人口、進化し続ける科学力。


 今後の世界について、導き出した答えは、


【人類の抹殺】


 である。


 人類は平和になったとて、争いが絶えないと歴史が物語っている。


 争いがあってこその人類史であると、判断したのだ。


 戦闘型自立駆動兵器(アンドロイドFV)達を支配下に置き、"人間狩り"を実行した。


 当然、製作元である|ヴァリアブル・フロントライン《VF社》は戦闘型自立駆動兵器(アンドロイドFV)を停止すると、思っていた人々は驚かせられる。


 |ヴァリアブル・フロントライン《VF社》は、戦闘型自立駆動兵器(アンドロイドFV)を全面的に支持、人類の敵となった。


 |ヴァリアブル・フロントライン《VF社》は、自分達の砦である"ウォール"を確立させ、戦闘型自立駆動兵器(アンドロイドFV)達を馬車馬の如く働かせた人類を虐げた。


 民衆は怒り狂い、レジスタンスを結成し、泥沼の戦いへと身を投じるのであった。


 レジスタンスの中にも、技術者はいる。


 長年の研究の末、戦闘型自立駆動兵器(アンドロイドFV)に打ち勝つため、


装着型武装兵器(チェンジ・デバイス)オシリス】


 の開発に成功する。


 一人の少年が、装着型武装兵器(チェンジ・デバイス)オシリスを身に纏い、奮闘した。


 劣勢だったレジスタンス達は、形成逆転するも、突如。


 少年が失踪し、レジスタンス達は、呆気なく敗北する事となった。


 こうして、|ヴァリアブル・フロントライン《VF社》、戦闘型自立駆動兵器(アンドロイドFV)達が管理する時代が幕を開けた。


 ※※※※※


「ロボットが相手かよ…」


 カインは、溜め息を零す。


「それに、次元生命体を倒しているのに争うなんて…」


 キリスは、息を呑む。


 平和な世界になっても、争い続けるとは、信じ難いものである。


「実際行ってみないと分からない…な?」


 榊は、腕を組みながら、ある程度の想像を固めようとしていると、白い空間が消失して、雨が降り注ぐ。


「は?」


「どうやら…着いたみたいだね」


 リクがゆっくりと目を開けると、そこは路地裏で雨が降り注いでいた。


「状況を把握しよう」


(また、路地裏かよ…)


 という気持ちを押し殺し、榊が路地裏から顔を出すと唖然とする。


 都会である関東エリアが比べ物にならないほどの高層ビルが密集し、車が宙を浮いて走行していた。


 まさに近未来そのものだった。


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