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END’S World  作者: 明日の夜明け!
プロローグ
15/17

第十四話、それぞれの世界

談笑の中で語られるのは、それぞれの世界についてだった。

「俺のいた世界は、変な魔物と戦ってた」


 カインのいた世界では、突如として魔物が出現し、軍隊とともに魔物を討伐していた。


「それで、親玉みたいの倒したらよ。終末者(エンド)って奴らが現れて、あっという間に世界は滅んじまって。偶然、空間の裂け目に落ちたら、榊達の世界に来たってわけだ」


終末者(エンド)って何者なんだ? 色んな世界を滅ぼしてるらしいが…」


 榊がリクに目を向けると、首を横に振る。


 リクが知り得る情報では、世界を蹂躙して歩いているだけ。


 目的は一切不明だ。


「わっかんねぇ。まぁ、敵って事だろ」


「鹿紫雲ちゃんの世界はどんな感じだったの?」


 キリスが陽花に聞いてみると、少し戸惑った様子のまま、静かに口を開く。


「わ…わたしは…異世界転生して…魔王と戦ってました…」


 話を聞くだけで、腹いっぱいになりそうになる。


 掻い摘んで話を聞くと、不慮の事故から異世界に転生してしまい、魔王軍と戦い討伐したらしいのだ。


「じゃあ、魔法も使えるの!?」


 キリスが食いつくと、鹿紫雲は照れながら首を横に振る。


「わたしは…元々…能力者だったので…使えません…」


「こいつ、能力者のまま転生して、終末者(エンド)がその世界を滅ぼしたら、俺と同じように世界に迷い込んだんだよ」


 カインが爆笑する。


「漫画やアニメじゃ君らは、その世界の主人公になるって事か」


「まぁな! リクはどんな世界だったんだよ」


 カインが聞いてみるが、リクはその世界について一切話そうとしなかった。


 ただひとつ。


終末者(エンド)は、わたしが倒す」


 …と、だけ。


「能力って言っても、色々あるだろ? どんな能力が使えるんだ?」


 榊が能力についての話題に触れると、カインと陽花が顔を見合わせる。


「能力については、事前に話したくねぇ」


「…です」


 言えない事情があるらしい。


「連携も出来るし…、知っておいて損はないはずだけど?」


 キリスの言う通りだ。


 背中を預ける以上、信頼が前提条件になる。


 敵と遭遇した場合、戦術もやりようによっては何とかなる場合があるからだ。


「キリスちゃんの頼みでも、教える訳にはいかねぇんだよ」


 カインが困った表情で頭を搔く。


「なるほどな。"来訪者"にとって、能力を知られる事が致命的になるんだろ?」


 榊の問いに、2人は驚いたようだった。


 察してくれという態度を感じ取ったのが、榊が初めてだったのだ。


「どういうこと?」


 キリスが疑問符を浮かべると、リクが代わりに答える。


「能力を知られた場合、対策を練られる場合があるから、知られないに越した事はない。それに榊さん達は、能力者じゃない。敵に捕まったら口を割る可能性があるからね」


 能力は、"来訪者"にとっての生命線そのものだ。


 知られても強い方が生き残るというシンプルな考え方ではあるが、対策されているのとされていないのでは、勝敗を分ける場合がある。


「そういうこった。ま! 襲われたらちゃんと守るから安心してくれよ」


第一章。

ーー幕開け。

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