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END’S World  作者: 明日の夜明け!
プロローグ
12/17

第十一話、栄光の進む先へ

最新話っす!

 銃声の中、市民の悲鳴が響き渡る。


 軍隊は、車両で防衛線を張り、次元生命体を食い止めていた。


「グオオオッ!!」


 呻き声にも近い雄叫びを上げ、次元生命体が道路を抉る。


 四足歩行で、体長は6メートルを優に超す巨体。


 鉤爪のような両手に甲羅のような皮膚。


 食い止めてはいるものの、攻撃が効いているのかと言われれば、全くもった効いていない。


「戦車砲…撃てッ!!」


 隊長が叫ぶと、戦車が砲撃するも、次元生命体の装甲によって弾かれる。


「どうやら…特殊型のようです」


 次元生命体は、3種類に分類される。


 近接攻撃や遠距離攻撃に特化した、

【攻撃型】。

 砲撃や銃弾を弾く、防御に特化した、

【防御型】。

 2つに該当しない能力を有する、

【特殊型】。


 現在、交戦しているのは、攻撃型と防御型を併せ持つ特殊型。


 現代兵器を持ってしても、勝てるかどうかは分からない。


 唯一の対抗手段は、来訪者だ。


 世界が違うという事は、文明も技術も異なる事が多い。


 現代兵器に匹敵、超える事も多いという事だ。


「特殊型、前進を開始。速度低速」


 特殊型は、亀のようにゆっくりと進み始めた。


「撃ち続けろ!」


 銃弾をいくら撃とうとも、特殊型が歩みを止める事はなかった。


「待たせた。ここは、我らが引き受ける」


 アルフェル率いる、白銀の翼(シルフィード)機甲団が到着した。


「ふむふむ…特殊型か。総員、配置に付け!! 狙撃班、準備しろ」


 アルフェルが的確な指示を下すと、ライフルを装備している隊員達は、特殊型が通過するであろう両脇に爆弾を仕掛けていく。


「両翼、設置完了!」


 隊員が叫ぶと、爆風に巻き込まれない程度の距離を保ち、単発式のライフルの弾倉を開き、一発の弾丸を込めて、特殊型に照準を定める。


「狙撃班、準備完了です」


 狙撃班が車両の陰から、特殊型へと狙いを定めた。


「一体何を…」


 榊が固唾を飲み込むと、アルフェルが鼻で笑う。


「いいか、若人よ。これが我らの戦力だ」


 アルフェルは拳を高々と掲げた。


 特殊型が攻撃予定地点に到達した瞬間、全力で拳を振り下ろす。


「ッてェッッ!!!!」


 アルフェルの怒号に近い合図とともに、起爆。


 爆発音とともに、爆風が吹き荒れると特殊型は体勢を崩して転倒する。


 隊員達は、引き金に指を入れた。


「炸裂槍弾…放てッ!!」


 隊員の掛け声で一斉射撃。


 銃口が上に逸れる程の衝撃だとしても、弾丸は、特殊型の装甲のひび割れに深々と突き刺さった。


 連鎖的な爆発は、特殊型の内部から装甲を破壊する事に成功する。


炸裂槍弾(さくれつそうだん)】。


 とてつもない威力で発射される弾丸が突き刺さった直後に爆発する。

 戦車の装甲であろうと、貫ける威力を誇るが、連射は出来ない。


「トドメだ」


 アルフェルがランチャーを発射。


 特殊型の頭を木っ端微塵に吹き飛ばした。


「流石は、来訪者ですね」


 兵士達が安堵していると、各員に緊急無線が鳴り響く。


『異常事態発生!! 特殊型、活動停止しておりません…これは…!? 進化します』


「進化?」


 榊がアルフェルに尋ねる。


奴ら(次元生命体)の中で、ごく稀に進化し、変異体となる種類がいる。姿は人間に酷似しているが…、厄介な事に異能力を保有して殺戮の限りを尽くす」


 巨体だった特殊型の体はゼリー状にドロドロと融解し、新たな生命の誕生だとでも言うかのように、人型の次元生命体が姿を現した。


 だが、今回は人型と言えど、皮膚はなく泥人形のような姿だ。


「目標変異体ッ!! 撃てッ」


 隊員達が変異体の頭目掛け、銃撃を開始。


 アルフェルの鬼のような訓練を耐え抜いた歴戦の猛者達。


 命中精度は高く、変異体の自由を奪う関節や急所を容易く撃ち抜く。


 変異体は、ドロォっと液体状に崩れた。


「倒した…のか?」


 呆気なく変異体は、行動不能に。


 隊員達が慎重に液体状になった変異体に近付いて行くと、ゴポゴポと気泡の音を立てていた。


 拍子抜けだったと、隊員達がライフルを下ろした瞬間ーー。


 液体が隊員一人の左腕に絡み付いた。


「と、取れない…!?」


 振りほどこうとするが、べっとりとこびりついて、離れなかった。


 やがて、腕に火傷を負ったような激痛が走る。


「うわぁぁぁッ!?」


 腕から肩まで液体が伸びて来た。


「許せ…!!」


 別の隊員がライフルで隊員の肩を撃ち抜き、無理矢理引きちぎる。


 あまりの激痛に耐えきれず、隊員は気を失ってしまった。


 液体から距離を取りながら、撃ち続けるが、効果はないようだ。


 液体は、隊員の左腕を取り込むと、すぐさま人型へと姿を変えた。


 その姿は異様。


 左腕のみが形成され、他の部分は泥のようなもので覆われている。


 この変異体は、自らが取り込んだものを肉体として形成出来るらしい。


 変異体の中でも厄介な進化を遂げてしまった。

 取り込めば、取り込むほど、強くなる。


 早々にケリを付ける必要があるようだ。


 アルフェルは、地面を踏みしめながら、変異体へと向かっていく。


 地面には亀裂が入り、アルフェルは、白き輝きを身に纏う。


「やばいぞ…。【アレ】をやるつもりだ!!」


「撤退…!! 撤退ッ!!」


 隊員達が慌てふためき、アルフェルの射線から外れる。


 変異体は、形成したばかりの左手を器用に動かして、人差し指を立てながら、「かかって来い」という挑発をした。


次元生命体(ゴミ)風情が調子に乗るなよ。我が戦力を…その身をもって知れ」


 アルフェルが、踵を地面に打ち付けると、白き輝きが地面の亀裂から溢れ、一瞬の閃光とともに、ボヤけた霧のような放出された。


 榊は、少し離れて様子を伺っていたが、どんな能力なのか見当も付かない。


「我は覇者…、全てを蹂躙し、この地を統べる支配者とならん…」


 サーベルを引き抜き、地面に突き刺し、叫ぶ。


「|栄光の進む先へ《covered in glory》ッ!!」


 輝きが増す。


「集え…同胞よ…!! いざ…勝利を我が手にッ!!」


 解き放たれた輝きとともに、白銀の戦車隊、大砲、兵士が背後、数百メートルを覆う程に集う。


「!?」


 いきなりの出来事に、変異体は、困惑しているが、アルフェルは容赦なく命令を下す。


圧倒的に討ち滅ぼせデフィート・オーバーヘルミングッ!!」


 手を変異体へと向けると、空が黒く塗り潰されるほどの砲撃、銃弾が雨のように降り注ぐ。


 変異体へ、直撃し、攻撃の手は緩まず、絶え間ない暴力が跋扈する。


 彼女は、取り込めば強くなるのなら、それ以上の攻撃をすれば良いだけの事と、思った。


「我が戦力の前に平伏せ」


 大爆発が巻き起こり、その余波が辺り建物の外壁に亀裂を入れる。


 アルフェル・カタスティー。

 能力、【|栄光の進む先へ《covered in glory》】。

 命儚く散った、かつての同胞達、失われた戦力を具現化する事ができ、一騎当千、無類なき強さを誇る。


いつも読んでくれて感謝っす!!

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