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ゲイルの話はおいといて

すごく久しぶりに投稿。

ゲイルはジジ様ババ様の養子だそうだ・・・。


・・・・。ババ様これしか教えてくれない。


「姫御子様にはむつかしいお話ですし、つまらなかろ。それよりほれ、この着物はどうじゃ?」

俺はもっと聞きたかったが、着物も気になる。


ババ様はいろいろな柄の着物を広げたり俺にあてがったりして楽しそうだ。

もちろん俺も可愛らしい着物に気分が浮き立つ。

「御子様はかわいいのが好きなのかのぉ」

ババ様も俺もにこにこだ。

「昨日、突然『すぐに子供の服女の子の服を』とバーバラ様より申し付けられ、何とかかき集めた次第でお気に召すものはありますでしょうか」

ゴンザは少しだけ不安げというかババ様をうかがうように見つめている。

「ゴンザすまんのぉ、御子様が可愛いての、ちゃんと着物を着せたくなってしまってのぉ」

俺に橙色の地に白の小さな模様がちりばめられた可愛い着物を羽織らせながら、ババ様は笑みを浮かべる。

「それにほれ、ゲイルは何着せても武骨であったし。見てみい、この御子様の可愛らしさを」

その様子にやっと安心したのか、ゴンザは軽く息を一つはいた。

「よろしゅうございました。いかがいたしましょう、後日呉服屋を呼びましょうか?」

「そうじゃの、そうしておくれ。でな、慌てて頼んでなんじゃが、この着物は誰のもであったのかの?」

この着物、さして傷んでいない。

ババ様としては思い付きで古着を分けてもらおうと思い、あわてて着物をと頼んでしまったところ、ほぼ新品の晴れ着を用意され、これはだれか悲しい思いをしとるのではないかと心配になってきたみたいだ。

「散々楽しんでなんじゃが、これをとりあえずお借りするとして、あとはお返ししておいておくれ」

淡い桃色の可愛らしいものを借りることにして、俺にも呉服屋に良いものをしつらえてもらおうと約束してくれる。

「バーバラ様、娘たちもバーバラ様のお役に立てばと誇りにこそ思え着物の一つや二つ」

「おおやはりその方の娘御たちのものか。悪かったのぉ、少々はしゃぎすぎたようじゃ。娘御にも謝っておいておくれ」

きっちり頭を下げるババ様に俺もあわてて横に倣い頭を下げた。

「バーバラ様、姫御子様、どうぞ頭を上げてください」

ゆっくりと頭を上げたババ様はきれいに着物をたたみ一枚を除きゴンザに返した。

恐縮しているゴンザに改めて頭を下げていると廊下のほうから声がかかった。

「失礼いたします旦那様」

柔らかな女性の声。ん、美人の予感。

「シリルか、いかがした」少しいぶかしげにゲイルは返事を返す。

すっと開いた障子の先には頭を下げてかしこまっている女性がいた。

落ち着いた雰囲気の着物、上品なそのいでたちにものすごく和を感じつつ、キラキラと輝くようない金髪を結い上げた頭になんというか不思議な感覚がある。シリルさんはすっと頭を上げつつ伏し目がちにして。

「お茶のお代わりをと思いまして。ご挨拶がてら娘たちに」

「ほほ、シリル殿相すまんかったの。娘御らにも此度の着物のこと謝らせていただくかの」

はっきりと見えなかったけど、シリルさんは可愛らしい雰囲気のおねえさん。なんか楽しそうだった。

シリルさんはそれではと冷めたお茶や着物を持ち障子を閉めて部屋を離れてく。すぐに廊下の先から、女の子達の喜びというか安堵というかため息やら押し殺した歓喜の声がきこえた。お気に入りの着物を手に静かに騒ぐ女の子たちが目に浮かぶ。

「申し訳ありません」ゴンザは身の置き所がないようだ。


再び廊下からシリルさんから声がかかり、障子が開くとゴンザの娘さん3人がスススッとお代わりのお茶を配り、再び廊下のシリルさんの横に控え声をそろえて頭を下げる。

「「「いらっしゃいませ、バーバラ様。」」」

少し遅れて

「いっちゃいませ、ばぁーば」

シリルさんの後ろに隠れていた一番ちっちゃな子3歳くらいの子がひょっこっと顔だけ出して、かわいく挨拶してくる。ババ様の隣にいる俺を見つけて不思議そうな顔をしている。ああ、4姉妹なのね。

「これは、みな愛いのう。そうじゃ,こちらは精霊の御子の桃姫様じゃワシらで預かることになったでの、仲良くしてあげておくれ」

「モモですよろしくお願いします」

自分に姫をつけるのも気が引けて、、モモと名乗ることにした。

「長女のシセリアと申します、よろしくお願いいたします」

「次女のシフォーレです」

「さ、三女のセリカ、です」

シセリアは14歳くらいか、シフォーレが10歳、セリカが6歳といったところかな。みんなシリルさんに似てつやつやの金髪、目鼻立ちもはっきりとして可愛らしい。セリカだけ少し元気がない。

「一番下の娘のハンナでございます」

「あのねぇ、ハナだよぉ。ハナねぇ3っちゅなの」

シリルさんに膝に抱えられご機嫌なハンナ、にこにこと親指だけたたんでどうだと見せてくる。

次女のシフォーレから「それじゃ4っつじゃん」と突っ込みが入ってたりするが気にしてない。

そんな様子にババ様もニコニコしている。

子供たちとババ様が歓談してたなか、俺はセリカが俯いているのが気になった。

「おおそうじゃ、みんな着物ありがとの。ババのところに御子様に合うものがなかったでの、余ってるもんでもと思ったんじゃが。みんないいものを用意してくれてほんとにありがとう。じゃが、本に一時だけのものじゃからこの一着だけ借りていくの。セリカよすまないがよいかの」

なるほど、手元の着物はセリカのか。お気に入りの着物なのかセリカの唇が少し歪んで見えた。

なんかかわいそうだな、よしババ様やゴンザさんには悪いけどこの着物を借りるのもやめよう。

お手伝いもしたいし、きれいな着物着てじっとしてられそうもない、今着てるので充分。着ないなら無くていい。

「ババ様、私は今のままで・・・」

「桃姫様、一度羽織って・・・・」

俺とセリカの声が重なり、ほえっと俺はババ様からセリカに目線をやる。

「いえ、あの。桃姫様が羽織ったところを見てみたい、です。絶対!か、かわいいと・・・」

あれ?思ってた方向じゃないなこれ。自分のお気に入りの着物を取られる、みんなは返してもらえたのに自分だけ返してもらえない、悲しい。ってことだと思ったけど違うの?。

今は顔を赤くしながら俯くセリカにシフォーレが「あんたかわいい子好きだもんね~」と若干暖かい目を向けてる。

「お借りしていいの?」

そう聞くと、うんうんと勢い良くうなずくセリカ。

ババ様も軽くうなずいて俺に着物をかけてくれる。

セリカはよほどうれしいのか静に騒いでいる。目を見開いて口を開けたり閉じたりしている。

「えっと、どうでしょうかセリカ様」

「は、はい。はい、はい」

声をかけてやっと声を出すがなんか興奮状態だな。

まあ嬉しそうだからいいか。改めて着物のお礼をしてゴンザ宅を辞することになった。

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