プロローグ
初めて書いてみてます。
もしかしたら、俺は何者でもないのか。
何かになりたいわけでもないが、やはり誰かに認めてもらいたい(承認欲求だっけ)という思いもある。
のんべんだらりと過ごしていきたいし、楽しい思いもしたいし、美味しいものも食べたい。
もちろん、可愛い女の子とお近づきになったり、ってこれは楽しい思いに入るか・・・。
日々何事もなく暮らしてきて、さらに何にもしなくなったら、俺はこの世に、この世界、この社会・・・
考えるのも面倒だなぁ・・・。
もしかしなくても、俺は何者でもないや。
眠りにつく前に頭の中に浮かぶのはこんな情けないことばかり、楽しい夢でも見れればちょっとは気が晴れて気分も上々になっていくんだろうけど、最近は何やら意味不明の夢しか見ない。
猿というか猿人が肩をどつくようにたたいて「いつまでも爺さんたちのこと引きずるなよ」と声をかけてきたり(爺さんって誰だ?ってか猿人?)、「だんごくれー」と縋り付いてくる色黒というか顔色の悪い痩せた男(団子?なんか泣いてるよこの人)とか、「なあ、一回だけ。一回だけでいいから。もう、さっきちょだけ、だめぇ?」と迫ってくるチョイポチャのおねえさん?(何のおねだりなんだ?女の人だよな・・・)とか、羽の生えた馬なのか鳥なのか謎の生き物に乗って海の中を進んだり(羽があるのに空じゃなくて海の中?)と断片的なものばかりだ。ほかにもいろいろ見ている気がするが覚えていられない。
日頃何にもしないでうだうだ、三年寝たろうってくらいに寝てばっかいるからなのか、体調が悪い。
いや、違った。体調が悪くなってこんな感じになったんだった。
暇に任せて自己憐憫や逃避やら妄想しまくって、とうとう完全におかしくなったのだろうか、相変わらずの断片的な夢から覚めたらあたりは暗く身動きが取れない。ベットの中にいる感じがしない。
さらわれた!?
なわけない、いい歳のおっさんニートをさらう意味が分からん。さらったところで何の役にも立たないのは胸を張って断言できる。金にだってならん。
にしても自宅のベットの中でないのは確かだ。体の周りは柔らかいものに包まれているのか、少しは体を動かせるが手足を伸ばせない。何が何だかわからない
『言語調整完了、羊水排出完了、開きます』
外からなのか、くぐもった声が聞こえたと思ったら光が差し込んでくる。
まぶしい、体を包んでいたものがなくなっていく、ちょっとひんやりする。
目をすがめてあたりを見ようとしたが、明るすぎてよく見えない。
「子が出てきおった~」
知らない男の声が聞こえた。