夜間の巡回
意外な結末?
私は今ある病院に勤務しています。病院というのはよく幽霊が出るといわれ、テレビや本でもホラーの舞台にされているものです。
私が今勤務している病院にもその手の話はあります。私は勤務して長いのですが運がいいのか、ただ霊感がないだけなのか遭遇したことはありません。しかし上司や先輩からは本当によく出ると聞きます。
私はその手の話が苦手なうえ、今夜勤の仕事ばかりなので巡回の時などは毎回不安でたまりません。しかし仕事である以上やらないわけにはいかないのが現実です。
今日も私は不安な想いを抱えながら巡回を行います。
この病院はそれなりに大きく夜勤に就いているのは私だけではありません。看護師や警備員の人もそれなりの人数がいます。だからなにかの拍子に霊安室や手術室のまえなどで人に遭遇するとびくっとします。すぐに同僚だと気付きますが、少々気まずく思いながらすれ違います。特に霊安室から深夜にご遺体と一緒に出てくると本当に怖いです。当然亡くなられる方は深夜にもおられるので仕方がないことなのですが怖いものは怖いです。
今日も何事もなく夜勤を終えることができました。これからも夜勤ばかりだと思うと少し憂鬱ですが、仕事なのでこれからも続けていきます。
「やっぱり今日も出ましたか?」
「ああ、この病院の夜勤になってから出なかった日はないな。」
「あの幽霊ってどういった経緯で出るようになったか知ってますか?」
「なんだ、知らなかったのか?」
「はい、よく出るけど病院全体を徘徊するだけで無視しておけば被害はないから気にするなと聞いてます。」
「聞いた話では元々医者になりたかったやつで、かなり真面目な人間だといわれていたらしい。でも実際にはかなりイカれたやつで、カエルや野鳥、野良猫なんかを解剖したりしてたんだと。」
「げっ、マジですか。」
「らしいぞ。ただ上手く隠していて大学卒業までばれなかったんだと、ちなみに初めて野良猫を解剖したのが中学の初めで、カエルにいたっては小学生の時らしい。」
「めちゃめちゃヤバいヤツじゃないですか!本当に害はないんですか⁉️」
「少なくとも俺は聞いたことがない。」
「ん?でもなんで小学生の頃からってわかったんです?」
「そいつの家金持ちで、でかかったらしくて古い倉庫なんかもあってその地下室に瓶詰めにして日付書いて解剖された動物が保管されてたらしい。」
「うわっ、サイコなヤツですね。」
「本人は医者になるための勉強のつもりだったらしいぞ。」
「勉強って、じゃあなんでそれがばれたんです?」
「そういうヤツは最終的には人間を対象にするってことだ。」
「人間・・・・・。」
「そいつは試験にも合格して医者になる直前だったらしいが、この病院に忍び込んで霊安室の死体を解剖したらしい。」
「・・・・・・」
「まあ、当然見つかって逮捕されたらしいが、その後医者になれないとなって自殺したんだと。ちなみに自殺場所はこの病院の霊安室。」
「そんな話ならもっと有名になりそうな気がするんですが?」
「金持ちの親とこの病院のトップが世間に知られないために動いたらしいぞ。」
「じゃあ、医者になれなかった未練でこの病院に?」
「そうじゃないかと言われているな。もし医者になっていたらかなり腕のいい外科医になれたんじゃないかと言われてる。」
「え?」
「解剖された死体、医者がみても信じられないほど見事だったんだと。」
「仮にそうでもそんな医者にはかかりたくないですよ。」
「実際に自分や身内が死にかけるような怪我をしたらそうは言えないと思うぞ。」
「そうですかね?」
「この病院では手術の失敗が他の病院とは比べ物にならないほど少ないって知ってるか?」
「それは知ってますけど?」
「それは、あの幽霊が出始めてからだ。」
「え?」
「難しい手術の時、執刀している医者の意識がとんで、その医者の意識が戻ると手術が終わってて、しかも大成功していることがこの病院ではよくあるんだと。」
「・・・・・・」
「あの幽霊が本当に関係しているかは分からんが、その話を聞いてこの病院にくる人間はかなり多いらしい、特に金持ちがな。だから間違ってもお祓いしてもらおうなんて考えないほうがいいぞ。マジで首切られる。」
身内が大怪我や重い病気になったらすがれるものにはなんでもすがりたくなると思います。




