40 クリムゾンの実力
久しぶりの投稿です。
クリムゾン総隊長サフラ。
ロナウドさん程じゃねーかもしんねーけど、総隊長っつーくれーだからかなり強えだろ。
そんな風に思ってた時が一瞬でもありました。
訓練に誘ってちょっと手合わせしてみたら、何なんだこいつ。
化け物って呼べるくれー強え!!
しかも契約してる精霊が予想通りイフリート。
上級精霊と契約してんだよ。
そのイフリートとも最近契約した?
魔剣も同じ頃、半月程前朱王さんから作ってもらった?
それでなんでこんなに強えんだってくらい強え。
本人は困った事に加減が上手くできねーって言うけど、こっちは加減はできても上限側がまともに使えねーって反対の悩みだ。
そんなわけでオレは全力で、サフラは目一杯出力下げての訓練なんだけどね。
オレはすでにズタボロ……
回復も追いつかねー程に一撃が強烈だ。
剣術一つとってもヴィンセントさんやロナウドさんに匹敵するくれーに鋭いし重い。
精霊魔法無しの火炎だけでもロナウドさんの激震と大差ねー威力。
ま、衝撃と炎で属性は全然違うんだけどな。
「実はその魔拳、朱王様が試しに振るっているところを見させてもらったんだ」
と、まぁなんかサフラはゼス王国にいる間に月読の性能試してる朱王さんを見てたらしい。
首傾げながらもいろいろ試してたそうだけど、朱王さんが使う爆炎はサフラが使う火炎以上の出力があるそうだ。
この月読でサフラの火炎以上……
朱王さん特別製の装備だから、扱い次第では通常魔剣よりも威力が高いんだろうって事だ。
その分扱いは難しくなるし、扱えなきゃ魔剣どころか擬似魔剣より弱いかもって朱王さんが言ってたそうだ。
オレにはそんな事言わなかったけどな。
ん?
あ、期待してるってそっちも込みでの期待か……
月読に苦戦してるオレにサフラも協力してくれるって言うし、今後頼りにさせてもらおっと。
向こうでクリムゾンのバトルが始まった。
ちょっとおもしれーし見学させてもらおうか。
さっきのハクアって隊長補佐の女の子。
可愛いし小っせー天使って感じだなぁ。
対するはクリムゾンのザウス支部隊長のグロリーって斧使いの兄ちゃんだ。
どっちも魔法陣展開させてるけど地属性っぽくて強化だけしてるみてぇ。
槍を後方に構えるハクアと右下後方に斧を構えるグロリー。
お互いに一足で距離を詰めてからの一撃目。
グロリーの右薙ぎに合わせたハクアの右回し蹴り。
予想外に槍じゃなく蹴りでいったけどなんでだ?
おそらく見た目からしてあのレガースは通常ミスリル品。
朱王さんの作ったもんには見えねーから魔導だけの蹴りのはず。
グロリーはノーム顕現してるし精霊魔導だ。
それで力が拮抗するって事はそれだけハクアが強えんだろ。
そこから蹴り技と斧の斬撃の応酬が始まった。
大振りになりがちな斧使ってんのにグロリーの体捌きは見事なもんだ。
かなりでけーから大斧って言うのかな?
戦斧って言うのか知らねーけど、それに振られねーだけの体格も持ってんのに、敢えて斧の重さ利用した体の運びとかするんだよ。
テクニカルな技繰り出す時とそのまま力技で押す時も、相手の体勢見ながら常に切り替えて攻めるスタイルだ。
不規則で相手にすっとやりづれーかもな。
それでも受け切るハクアはさすが総隊長補佐ってとこか。
無表情であんま感情読めねーけど、多少なりとも焦ってんのかな?
ちょっと押され気味になってきた。
十分くれーか……
しばらく攻防が繰り広げられてたんだけど、今じゃハクアが攻勢に出始めてる。
一度も槍使ってねーのに足技だけでここまでやれるとかとんでもねーな……
でも魔槍だろし気にはなる。
「なあサフラ。ハクアは何で槍使わねーんだ? 蹴り技だけでやれるって判断だとしてもちょっと舐めてねーか?」
「ああ。あれは魔槍アラドヴァルというんだが、契約しているのは上位精霊ヴァルキリー。光属性の精霊なんだ」
「それがどうした。使ってもいいじゃねーか」
「超高熱の特大レーザーを撃つ事になっても?」
あ、マジか……
グロリー死ぬじゃん。
「でも使った事はあるんだろ?」
「私や国王様とは訓練で使っていたさ。油断すると大怪我では済まないし、こっちも手を抜けないんだ」
サフラが言うくれーだからハクア=危険って認識でいいな。
オレもサフラとまともにやり合えるようになるまでハクアには挑まねーでおこ。
ハクアもグロリーも強化のみって事で魔力量はそんな減ってねーんだろうけど、体力は無限じゃねーからな。
ちょっとお互いに疲れも見えてきた。
普通はオレみてーに体力回復しながらは戦えねーからな。
「はぁ、はぁ…… ハクアは…… 強くなったな」
「グロリーさんっも…… 強いですね…… 足がズキズキしますよ」
「だがっ、まだその武器を使わせていない…… オレはまだまだやれる! そいつで掛かって来てくれないか」
「いいんですか!? では空中戦でお願いします!」
「望むところだ!」
あ、グロリー死ぬのか。
グロリーが空に舞い上がるのに続いて、ハクアは天使の羽……
天使の羽だ!!
マジ天使!!
うおーーー!!
可愛いーーー!!
空中浮揚中の二人が向き合ってんだけど……
大丈夫かな。
サフラも「念の為だ」とか言ってイフリート顕現させて待機中。
嫌な予感しかしねーな。
刃先を前に構えてハクアがグロリーに向かってく。
ハクアの突きを横薙ぎに受け…… まぶしっ!!
あれ……
ハクアがいっぱい見える……
グロリーがハクアの群れに囲まれてる……
「ハクアが分身して見えるだろう。あれ上空だと影が出来ないから判別付かないんだ。それに全てが別の動きをするから戦うのが難しい」
サフラが説明してくれるんだけど本体以外は所詮は幻影だろ。
「ちなみに本体以外は熱量の塊だ」
あ、マジ死ねる。
ハクア郡の一斉攻撃。
グロリーが幻影一体の一撃を受けたところで他の奴らに刺されて落ちていく。
そのまま幻影が消えて……
ハクア本体から特大レーザーが放たれた。
遠い空に向かって七色の光の直線が引かれる。
「ハクアが空に放ったから良かったけど、あの一連の光魔法がヴァルキリーによるものなんだ。間違えばこっちにレーザーが向けられる」
「危険過ぎるな。でも何でこっちに向けられるんだ?」
「私がいるからだろう。総隊長補佐となったばかりのハクアを鍛える為に私と国王様とで訓練に付き合ったんだがね。一方的に攻め続けられるハクアを見兼ねたのか、ヴァルキリーがあの技を覚えてハクアを守ろうとしたんだ」
こいつのせいだった。
魔槍を器にしてるおかげで自我の強い精霊なうえ、上級精霊ともなりゃ自分で考えて主人を守ろうとするんだろな。
おかげで天使のような化け物が誕生したわけだ。
「あ、グロリーは大丈夫か!?」
オレとサフラはグロリーが落ちた方に駆け出した。
グロリーは地面に叩きつけられたって事はなさそうだな。
飛行装備の自動着陸機能が作用してるんだろ。
それよりグロリーの傷は……
うん、刺されたとこが黒ずんでるし体内を焼かれてるんだろな。
血を吐き出しながら蹲ってる。
それでもサフラの様子からいってある程度加減されてるんだろう。
オレは全力で回復魔法を掛けてやった。
回復魔法開始から三分程度で火傷も治って、体内の臓器機能も元に戻ってる。
この回復魔法一つとってもオレは確実に成長してる。
まだまだ戦闘じゃ先が見えてこねーけど、成長が少しでも見えりゃちょっとは嬉しいもんだ。
「グロリーさん大丈夫ですか!?」
起き上がったグロリーに近づくハクア。
可愛いけど危険な人物。
「あ、ああ…… 確か…… ハクアが増えて……」
「全身刺されて落ちたんだ」
「ごめんなさいグロリーさん……」
すぐに思い出せねーグロリーにサフラが答え、ハクアが謝ってる。
ま、グロリーも自分から煽ったんだし文句はねーだろ。
「ハクア…… いや、ハクア様! 総隊長補佐として素晴らしい力をお持ちだ! ザウス王国支部一同そのご指示に従わせて頂きます!」
「許してくれるんですか!?」
「はい! 許すもなにも…… 試すような事をしてしまい、お詫びするのはこちらの方です」
とりあえずこいつらは大丈夫そうだな。
クリムゾンの縦関係もよくわかんねーけどオレ達月華は別働隊。
サフラは友達んなったし跪く必要はねーだろ。
やっぱ今一番問題があるとすりゃオレだなー。
オレもハクア相手にすりゃグロリーよりあっさりやられるかもしんねーもんな。
もっと頑張んねーとダメか。
そこそこマシにはなってきてるけど、月読の魔力の通りが突き抜けねー感じがするからな。
オレも一つ壁を乗り越える必要があるだろ。
ちょっと考えてんのが使える魔力の幅。
リルフォンで測定できんだけど、オレはこれが思ったより低いんじゃねーかな。
全力でやっても3,600ガルドちょっと。
さっきのロナウドさんとヴィンセントさん達で、放出する魔法だけでも4,000超えてっからな。
肉体強化と防御に振ってる分も考えりゃオレの倍以上はあるとみていいはずだ。
幅増やすにはどーすりゃいいのかわかんねーけど、回復早くなってるって事は魔力制御訓練は効果あるはず。
そっちに時間割いた方がいいかもしんねぇ。
また今晩相談してみよ……




