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出会い
「お姉さんはさ、どうしてそんなに苦しそうな顔をしているの?」
その少年は私にそう問いかけた。
どうして?どうしてなのだろうか。そんなに悲しむことなのだろうか。所詮私の事を愛しもしなかったような母親の事だ。なにがそんなに悲しいのか。
「──お姉さんのね、お母さんが死んじゃったの。電車に跳ねられちゃったんだって。」
「でもね、そんなに苦しくないのよ。きっとあの人、私のことを嫌いだっただろうから。」
そこまで言って涙が溢れた。そこで初めて分かった。なぜ自分があんなにも走っていたのか。きっと私は逃げたかったのだ。この現実から。母親の居なくなってしまったこの世界から。母親に愛されることがないまま、その人が居なくなって、もうたった一度でも愛してもらうことが叶わないと分かってしまったから。
────私はただ、愛されてみたかった。