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奇怪一
街角ですれ違った女性に思わず後ろを振り返った。
稲妻が走ったような恋の衝動。
心が痛い、そしてドキンドキンする。
赤みがかったセミロングの髪に太陽の光が差し、とても眩しかった。
僕はその眩しさに見とれるまま気絶してしまった。
いや、後ろから鈍器で何者から殴られて気絶してしまったのだ。
気が付くと真っ暗な部屋の中にいた。
納屋なのか、暗がりにゆっくりと焦点を当てると
鍬やら脱穀機など農作業に使うものが広がっている。
中はネズミが尿をしたのかつんとした臭いが辺りを包み
天井の隙間からは雨水が垂れている。
僕は案の定椅子に縛られている。
会議用の折り畳み椅子に縄がしっかりと固定され、
まったくと言っていいほど手が動かせない。
頭がもうろうとする中、前を向くと
窓の外に女性がいた。