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空が高い。

何もない草原の真ん中にあるのはたった一つの建物である。


その建物はわかりやすく遺跡であった。

壮大で、雄大で、所々がほころんだ太古の建物、それはどこまでも神秘的でどこまでも深く続いている気さえしてくるものだ。

おそらく地下深くまで続いているのだろう。中の広さは見た目以上のはずだ。


「うっわー、前行った遺跡はダンジョン系だったけど、これはわかりやすく遺跡だねぇ。古代遺跡って感じ?」


その遺跡がある草原に響き渡るのは相変わらず脳天気そうな光輝の声である。


そう、今回の冒険地はこの古代遺跡なのだ。


「これ、中何にもねぇんじゃねぇの?」


志狼はほんの少し眉間に皺を寄せてそう呟く。

それに光輝は楽しげに笑う。


「あははは!確かにこんだけボロボロのわかりやすい遺跡だとそう思うのもムリないけどね!まぁ、ノエルの趣味的に何かあるっしょ!」


前回3人が行ったテーレ遺跡はダンジョン的な作りをしていて中にはモンスターやらトラップやらが山ほどあり、わかりやすく宝箱まであった。

だが、今回の遺跡は本当に古代文明の遺跡のようなのだ。おそらく太古の人々が作った遺跡なのだろう。


今回の目的地は光輝が選んだ。

りのと志狼の2人には光輝がこの遺跡を選んだ理由なんて微塵もわからないが、おそらく目的あってのことなのだろう。


りのも志狼も光輝のことなら多少わかっている。光輝が考えなしに見えてどこまでも考え抜いていることも、その思考は時にりのを超える深さまで達することも。

りのは物事をどこまでも計算し尽くして推し量るが、光輝は物事の裏の裏まで読んで推測する。そこに根拠があろうとなかろうと光輝は気にしない。

だからこそ、光輝の推測は時にはりのの計算を超えるのだ。


「んーとね、今回はちょっとばかり気になることがあるんだよねぇ。だから、中入る前にちょっと寄り道していい?」


光輝は首を傾げてそう尋ねる。

光輝は志狼ほどわかりやすく整った顔ではないが、その顔は愛嬌があり、どちらかというとイケメンに分類されるので、首こてんはなかなか可愛らしいものなのだが、この場でそんなことを思う者も気にする者もいない。


「ん……いい、よ…?」


りのはこくりと頷く。


そんな3人が向かったのは遺跡から少し離れたところにある小さな小屋だった。

こんな何もないところに人が住んでいることなんて本来あり得ないが、初めから調査済みであった光輝は何ともない顔でノックする。


ガチャりと無言で中から出てきたのは愛想のなさそうなお爺さんであった。

歳を重ね、錆びれて、悲壮感さえ背負ったような無気力そうなご年配のお爺さんである。


「こんにちは〜!遺跡についてお尋ねしたく参りました〜!」


光輝は如何にも愛想全開の明るい若者として振舞った。そう、それが逆効果と知りつつも。


光輝の予想通り、そのお爺さんは無言で扉を閉じようとした。

だが、それは叶わなかった。光輝のたった一言に彼は動きを止めてしまったから。


「この世界の根源はココにはないけど、ノエルはたぶんそこまで難しい理由で世界を作ったわけじゃないよ。」


光輝はそう笑って言った。

だが、目は全く笑っていない。


老人はそんな彼の一言に固まって、思わず彼に視線を合わせた。


今、彼は何と言った?

世界の根源と言わなかったか?唯一神の名を口にしなかったか?


老人はもう何年も動かしていなかった、動くことのなかった表情筋を動かして、目を見開いた。


「あ、やっぱりそういうことだったー?だよねぇ、じゃなきゃこんなところに小屋まで建てて居座らないよね〜。」


今度は普通に笑って光輝はそう言った。

もはや老人にこの若者たちを無視するすべなどないとわかってのことだ。


老人は呆然とした表情のまま、彼らを小屋の中に入れた。

光輝はそうなることがわかっていたように当然の如く中に入っていく。りのと志狼は興味なさげだ。


「さて、まずは自己紹介だね。俺は光輝です!以後お見知りおきを、ダンジールさん?」


これこそまさに慇懃無礼とでも言おうか。

所々にわざとらしく入れられた敬語はどう考えても敬意なんて微塵もないし、下手をしたら相手の精神を逆撫でしかねない。


だが、今の老人には光輝のそんな言葉遣いも態度もどうでもよかった。


「そうだ。如何にもわたしはダンジールという、しがない元考古学者だ。」


老人は努めて冷静に淡々とそう告げた。


「……志狼…」


「り、の……」


志狼は面倒くさそうに、りのは淡々と告げる。


光輝はとりあえず場は整ったと言わんばかりに話を続ける。


「ダンジールさんはあの遺跡を調べていたんだよね?」


光輝のニコニコとした問いかけに老人は訝しげな顔で返答する。


「……如何にも。私は若い頃からあの遺跡を、あのサンクテュエール遺跡を調べておった。あそこには神の“意思”の、世界の“根源”の手がかりがあると思ってな……」


老人は静かにそう告げた。


「は?神の意思?」


志狼は訳がわからずそう聞き返した。


「……?……あ、そこ、は、人間、が……作った、遺跡、にすぎない……ノエルの、意思、なんて……ない……」


りのも首を傾げた。

しかし、彼女は淡々と事実を口にする。


その言葉に老人は再び目を見開いて動揺する。


「っ!……そ、その言い草だとまるでおまえたちは我らが唯一神を知っているかのように聞こえるが……」


動揺する老人に光輝は静かに穏やかに告げる。


「そりゃ、知ってるさ。俺たちはノエルにこの世界へ連れてきてもらったんだから。」


老人には光輝の言葉が理解できなかった。

いや、理解することを脳が、心が拒んだ。


連れてきてもらった?誰に?どこへ?


「っ!ま、まさか異世界から来たとでも言うのか……!?このエーデルシュタイン以外の世界から……!唯一神であり、創造神であらせられるノエル様に連れられて……!」


老人は驚愕の表情で彼らにそう叫ぶかのように尋ねる。


だが、取り乱した老人は、その時ほんの一瞬光輝が目を細めたことには気づかない。


「まぁ、そういうこと。というか、俺たちのことを聞きたいなら、俺の質問にも答えてほしいんだけど?」


元々光輝は老人に何やらたいそうな教えを授けるために来たわけではない。

聞きたいことがあって来たのだ。


老人もまた彼らの話に興味があるのだから、光輝の提案を断るなんてことはしない。


「サンクテュエール遺跡はノエルが作ったものじゃなくて、大昔の人間が作ったものだ。でも、あそこは“ノエル”の手が加えられてる痕跡があるんじゃないか?」


目を細めて笑う光輝の言葉はどこまでの真剣でその顔は真っ直ぐ老人を見つめていた。


老人は言葉に詰まる。

あの遺跡は自分が長年研究してきた遺跡だ。

あの遺跡に関しては自分が第一人者であるという自負もある。

でも、なぜだろう。

この青年、いや、少年の方が自分よりよほど多くのことを知っているような気さえしてくるのだ。


「……そうだ。おそらく初めは太古の人間たちが唯一神であり創造神であらせられるノエル様への崇拝から作った建物だった。だが、その後“遺跡”となったあのサンクテュエール遺跡にはノエル様が手を加えられた形跡があった。」


そう、元は神への信仰から作られたただの人間の建築物にすぎなかった。

だが、なぜか“遺跡”となったあの建物に神は関心を持ったようなのだ。

あのサンクテュエール遺跡はどう考えても人間が作れるものではなくなっていた。

中には確実に神秘があった。


「ああ、やっぱり?」


光輝はあっさり納得したようだ。

おそらくその返答はあらかじめ予想していたものなのだろう。

りのはこの遺跡に関する知識を持っていなかったが、光輝と老人の情報を元に静かに計算し直しているようだ。


「どうでもいいけど、」


志狼は本当にどうでもよさそうに口を開く。


「この世界のやつらは神の名前とか世界の名前とか普通に知ってんだな。」


志狼の何気ない言葉に空気が一瞬固まった。


その場にいた者たちは頭がよすぎたのだ。

志狼の何気ない言葉で全てを察してしまうほど。

光輝は目を閉じ、りのはこの状況を計算し、老人は目を見開いた。


実際志狼にとってはどうでもいい一言だったのだ。だって、志狼は今までクリスやレオンハルトがノエルの名を口にしているのを何度も聞いているのだから。

ただ、エーデルシュタインという言葉は初めて聞いたため、何気なくそう言ったにすぎない。


「そっか、だから、光輝はさっきあんな顔、したの。」


りのはいつものたどたどしい言葉遣いでも、スイッチの入った時のスラスラとした機械的な言葉遣いでもない、その中間のような言葉遣いをした。


りのは別に老人がエーデルシュタインという名を口にしたことに気づかなかったわけでも、その意味に気づかなかったわけでもなかった。

ただ、りのには、それが光輝が表情を変えた理由に繋がるとまで考えが至らなかったのである。

たとえほんの些細な一言で世界の真理まで辿り着けようとも、たとえ光輝の表情の変化ならささやかなものでもわかっても、人の感情に疎いりのはそれらを結び付けられなかった。


「あっれー?気づかれちゃったー?俺のポーカーフェイスもこの世界に来てから、ほんと甘くなったなぁ。」


光輝は苦笑いでそう言う。

その表情はほんの少しも残念そうではない。


他人に全く無関心なりの、そんな彼女に些細な表情の変化を気づいてもらえることに、また、自分も彼女に気づかれたことに全く恐怖も驚きも覚えないことに、光輝はただゆっくり広がる波紋のようにその心が暖かくなるのを感じた。

光輝は目を閉じたまま穏やかに笑う。


そして、光輝は笑みを浮かべたまま目を開けて、ほんの少し眉間に皺を寄せて、老人の方に視線を向ける。


「ねぇ、そんなさ、全て終わったみたいなさ、世界の全てに虚しくなったみたいなさ、そんな顔しないでよ。」


老人は言葉が出なかった。

光輝の言う通り、彼はこの世界に虚しさを感じていた。

絶望とは違う。決定的な絶望は存在せず、ただただ緩やかな虚しさだけが長い年月をかけて彼の中に広がっていった。

理由はわかっている。

彼は長年あのサンクテュエール遺跡の研究をしてきたが、どれだけあの遺跡を、“神の痕跡”を調べても彼は“世界の根源”に一切辿り着かなかった。

人間の一生を費やしても一歩たりとも近づけなかった。

その事実に彼は少しずつ心を凍らせていった。

「人間が一生をかけて一歩も近づけないのなら、たとえこの世界のどんな生物が何十年、何百年、何千年の月日を費やしても、世界の根源なんかに、神の意思なんかに到達しない」という考えが彼の中にゆっくりと、確実に、広がっていったからである。


だが、今の老人には、目の前で眉間に皺を寄せて笑う少年にかける言葉なんて見つからない。

だって、おそらく彼は、いや、彼らは……


「そう、俺たちの世界に神なんていなかった。いや、いるかどうかもわからなかった。」


光輝は穏やかに笑ってそう言う。

りのは無表情にそれに続ける。


「私たちの世界は誰が何のために作ったかなんて、わからない。理由があるかもわからない。でも、たぶん意味なんてない。」


りのは淡々とそう告げる。


老人は顔を歪めそうになるのを堪える。

エーデルシュタインという世界で、創造神であり唯一神であるノエル様の作った世界で、根源がわからないと、神の意思がわからないと言って生きている自分にそんな資格はない。

世界に何の意味もないと淡々と告げる少女を哀れむ資格など。


「ただのクソつまんねー世界だ。」


志狼はつまらなそうに言う。


老人はその少年の言葉に渇きを覚える。

なぜなら、その少年は世界に絶望なんてしていなく、その瞳に無知も強がりもなく、あるのはただ全てを知った上の本心だとわかったからだ。

成人もしていないような少年が世界の全てを知って、世界の真実を知って、その上で世界を“つまらない”と評している。それはあまりにも……


「だからさ、そんな顔しないでよ。俺たちの世界と違ってさ、この世界の人間、いや、全ての種族はさ、神の存在を知ってる。神の名を知ってる。世界の名を知ってる。神に愛されてる。」


老人は堪らなくなる。

この少年は、この光輝という少年は自分の考えていることを全てわかっている。

ダンジールという人間がどんな人生を歩んでどんな考えに至ったのかを知っている。

そのことが怖いわけでも、そのことに堪らなくなっているわけでもない。

よりによって、この少年、いや、この3人の少年少女たちの前でそんなことを考えてしまったことに、ひいては、そんな思考で彼らの前に立ってしまったことに堪らなくなったのだ。


「大丈夫、この世界はノエルに愛されてるよ。」


光輝という少年にこんなことを言わせてしまう自分の人生を今日ほど否定したいと思ったことはない。


自分は今日まで何に虚しさを感じていたのだ。

何が“神の意思”に辿り着けないだ。何が“世界の根源”に辿り着けないだ。

神の意思なんて、世界の根源なんて、存在もしない、少年少女が世界を諦めるような世界が存在しているなんて考え付きもしなかった昨日の自分を殴りたいとさえ思う。


子供の戯れ言を何真に受けているのか?いや、違う。戯れ言と、子供と、切り捨てるには彼らはあまりに大人びすぎている。あまりにその瞳の奥の闇が強すぎる。子供だからこそその言葉は重すぎるのだ。


りのは可愛らしい顔に笑顔を浮かべる。

その顔に老人はまたもや目を見開く。


「大丈夫、この世界はノエルに愛されてる。この世界にはノエルの好きが詰め込まれている。」


そう言って笑うりのに老人は驚くことしかできない。

なぜこの少女はおのが世界を見限りながらも、全く卑屈さの欠片もなく、そんなことが言えるのだろう。


「この世界は退屈なんてしねぇ、最高の世界だぜ?光輝とりのがいるんだから、尚更な。」


志狼はほんのり口角を上げてそう言う。

その笑みはちょっと凶悪そうだが、確かに楽しくて堪らないという顔なのだ。


「あー、もう、何でそういうこと、素直に口に出して言っちゃうかなー。いつもは口下手なのに。」


光輝は仕方なさそうに、照れたように苦笑いをする。


志狼は口下手で、無愛想だから、素直じゃなさそうに見えるが、本能のままに生きている彼は案外素直なのだ。

そして、光輝でさえわざわざ口にしないようなことをいとも簡単に言うことが割とある。


そんな彼らの言葉に老人は一つの結論に至る。

だが、その結論はあまりに自分に都合がよすぎる。


「き、君たちは、まさかこの世界が、好き、なのかね……?」


老人の言葉に3人はすぐさま反応し、光輝は苦笑いをし、りのはキョトンとし、志狼は「は?」という顔をする。


「「「当然。」」」


珍しく3人が完全にハモった。

そのことに更に照れくさそうに光輝は笑うが、りのと志狼は何ともない顔をしている。


その言葉に老人は救われてしまった。

ああ、救われてしまったのだ。

彼らと出会うまで世界への虚しさで人生を埋めつくしていたのに、つい先ほどまで彼らへの罪悪感で胸を押し潰されそうになっていたのに。


「そうか……君たちはこの世界を……そうか……」


老人のその憑き物が落ちたような顔を見て光輝は老人の心境を察した。


「あれ?もう満足したの?別に俺たちが知ってるノエルのこととか、この世界のこととか話してもいいよ?元々そういう約束だし。」


老人は苦笑いで光輝に視線を向ける。

笑うなんていつ以来だろうか。


「いや、構わん。私はもう君たちのその言葉で十分だ。そんな簡単なことだったのだ。」


そうだ。

世界の根源やら、神の意思やら、もはやそんなことはどうでもよかったのだ。

いや、初めからそんなことはどうでもよかったのだ。

そんな簡単なことに自分は一生を費やしても気づけなかった。あまつさえ世界に、自分の人生に虚しさまで感じていた。


ああ、本当に自分はバカだった。


「すまない。ありがとう。」


先ほどまで全く出てこなかった言葉があっさりと口をついて出た。


先ほどまでの自分なら自分には謝る資格も感謝する資格もないと考えていただろうに。


「君たちの知りたいことは何でも話そう。」


こんなことで感謝し切れるとは思っていない。

だが、せめて自分にできることを、求められていることをしよう。


その後、老人は光輝のいくつかの質問に答えていった。

光輝に自分が作ったサンクテュエール遺跡の地図も渡した。


そして、彼らが去った後、老人は嵐のように訪れた若者たちを思い出して余韻に浸る。


彼らは自分に教えてくれたのだ。

自分の虚しさがどんなに意味のないことなのか。この世界がどれほど神に愛されているのか。どれほど恵まれているのか。


そうなのだ。

初めから、世界の根源も神の意思も重要ではなかったのだ。

だって、この世界には、神が確かに存在しているのだから。我々はこの世界の名を、神の名を知っているのだから。

そのことこそが、世界の根源であり、神の意思であり、そして、神に愛されている証であることにもっと早く気づくべきであった。


だが、まぁ、それはハナから無理な話だったんだろう。

恵まれた者ほど自分が如何に恵まれているのか気づきにくい。


光輝という少年はハナから全てわかった上で私と会話していたのだろう。

ああ、私はなんて愚かなんだ。

あんな少年にあんな顔をさせてしまった。

ああ、今日ほど自分の人生を否定したくなったことはない。

自分の人生に虚しさはいくらでも感じていた。だが、虚しさを感じていたことに対する後悔をする日が来るなんて夢にも思わなかった。

だが、光輝という少年はそんな私の内面も全てわかった上で会話していた。

そして、逆に、りのという少女と志狼という少年はそんな私の内面なんて露ほども知らず、いや露ほども興味なく、会話していたのだろう。


彼らはどこまでも私の救いであった。

彼らの経歴も、彼らの考えも、彼らの言葉も、彼らのエーデルシュタインへの愛も、彼の聡さも、彼女と彼の無関心さも、全てが私への救いであった。

彼らが実は私の心が生み出した幻覚だと言われても信じてしまう自信があるほど。

だが、彼らが幻覚なはずがない。私が生み出せるレベルの幻覚ではない。彼らはあまりに私には衝撃的であった。あらゆる意味で。


ああ、そうだ、己が世界を切り捨てた少年少女たちが心から愛するこの世界が素晴らしくないはずがないのだ。




「あーあ、らしくないことしちゃったなぁー。」


光輝は歩きながらそんなことを言った。


「な、にが……?」


りのはよくわからず首を傾げる。

りのには光輝の言葉の意味はわかっても意図はわからないのだ。

光輝が老人に手を差し伸べたことにはりのは気づいてない。


「べっつにー?」


光輝は笑ってそう言う。


「……いんじゃねーの、おまえの好きにやれば。」


志狼は横目に光輝を見てそう言う。


志狼が何をどこまでわかっているのかなんて本人と光輝にしかわからないだろう。

そもそも志狼はいつも会話を聞いているのか、会話を理解しているのかも不明である。


「そうだね。」


光輝はただ晴れやかに穏やかに笑う。



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