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「ねぇーねぇー!そんなことより、次のご予定は?また他国に向かわれますの!?」


オルキスが国の存亡について思考を巡らせていると、我慢できないと言わんばかりの愛らしい声が響く。


フランはいつもならきちんと空気を読むとても賢い子なのだが、この3人相手だとそうはいかないようである。

あるいは、子ども特有の直感で感じとったのかもしれない。

これが政治の話ではないことに。


そう、そもそも3人は政治に興味ないから、国どうこうじゃなくて、あくまでも王子個人を試したのに過ぎない。

光輝はもう少しいろいろと思惑があるようだが。


それに、パラミシアの独立についてはカルディアーの国王からクリスに正式な文書が送られるはずなのだから。


「…次は…私の、番……」


りのはそう告げる。

前回は光輝が行きたいところであるレオーネに行ったため、次はりのが行きたいところに行くようである。


「やはりまずは隣国を見てまわりますの!?それとも、また遺跡探索ですか!?」


「…え、ーと……」


フランはかなり興奮している。

りのも素直に答えるあたりこの小さな王女のことは結構気に入ってるのだろうと光輝は思った。


「……エルフの…隠れ里……」


りのはいつも通りの調子でそう言った。

そんな彼女の言葉にカルディアーの王族兄妹はとりあえず固まった。


「へぇー、そこえぇやついるのか?」


志狼はそんな兄妹なんて気にせずにいつも通りマイペースかつトンチンカンなことを言っている。

気にするところはそこじゃないだろうなんてツッコミをできる者はこの場にいない。


「ん……たぶん…?…でも…喧嘩、しに行く、わけじゃ…ない…」


りのは可愛らしいピンクのふわふわした髪を揺らして首を傾げる。

ちなみに、王城に来たのに、りのの服装はいつも通りの普段着である。とても愛らしいが。


「ふーん。」


りのと志狼の2人は当たり前のようにいつものマイペースな会話をしていた。

光輝に関してはいまいち表情が読めない。

ちなみに、光輝はりのが選びそうなところに大体の目星をつけていくつかの候補を立てていた。


オルキスは引き攣りそうになる表情を無理矢理抑えて、とびきりの王子スマイルを浮かべている。

フランは再びワクワクした表情になった。


「りの様はエルフの隠れ里の場所をご存知なのですか!?」


そう、隠れ里と言われるだけあってエルフの里の在処ありかは誰にもわからない。

エルフ自体は他種族と同様に様々な国に存在するが、その集落を見つけることは非常に困難極まる。

なぜなら、その里は世界最高峰とうたわれるエルフの魔法によって隠蔽いんぺいされているからだ。

もはや里の存在自体が幻とさえ言われている。


「……大まかな場所は計算で割り出せた。おそらくエルフの里には人間が使っている結界よりよほど高度なものが使われているはずだけど、大丈夫。」


りのはスラスラと説明していく。


オルキスはいろいろと疑問が頭に浮かんできたが、笑顔のままそれを飲み込んだ。

そして、りのはこんなにもスラスラと話せたのだなという割と重要度の低いことを考えて意識をそらそうとした。


「すごいですわ!さすがりの様!」


オルキスは、世界を揺るがすようなことをりのが言っているとは知らずに、無邪気にはしゃぐ妹をこの時ばかりは本気で羨ましいと思った。


「それで!どうやって結界の中に入るんですか!?」


オルキスはそこより先に気になることがあるはずだと叫びたくなるが、もちろん表情には出さない。


そもそもエルフの里に関する情報なんてほとんど存在しないのに、どうやって場所を計算したのか。

大まかな場所しか掴めていないのに、どうやって隠蔽魔法をかいくぐってエルフの結界を探すのか。


「……その、時…考え…る…」


「え?そこは無策なのですか?」


りのの答えにフランはキョトンとした。


「あはははは!結界の種類がわからないと、方法は何とも言えないけどさ、大丈夫に決まってるんだよ。」


光輝が楽しそうに言う。

そこには自信…いや、それよりももっと確かな確信があった。


「俺たち3人揃って不可能なんてないだろ。」


志狼もまた当然のことのように言う。


オルキスは彼らの言葉に"その"可能性を見出してしまい、少し複雑な気分になった。


「素敵ですわ!」


一方、フランは兄の複雑な心境を他所に、更に目を輝かせた。


「悪いね。妹は随分君たちの話を気に入ったようだ。」


そんなフランにオルキスは苦笑いを隠せなくなった。


「これは王子としてではなく、兄としての頼みなんだが…妹にこれからも君たちの活躍を聞かせてくれないかい?もちろんわざわざ城にまで出向かなくったっていい。手紙でもなんでも。」


兄のその言葉にフランはとても嬉しくなった。


「それは素晴らしい提案ですわ!もちろんあなた方からお聞きしたことは決して他言いたしません!」


やはりフランは聡い子なのである。

フランは幼いながらも、王族なのだ。

彼らの行動は世界を揺るがすようなものであり、決しておおやけにすべきではない。

彼らがまつりごとを嫌うならなおさら。

そのことをなんとなくわかっているのだろう。


「…い…いよ……」


「本当ですか!?ありがとうございます!」


なぜかこの2人が仲良くなっている気がするのは気のせいじゃないだろう。


その後、王族兄妹に「また遊びに来てください。」と言われ、彼らは城を去った。

パラミシアに戻ったら、次はエルフの隠れ里である。


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