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6

今更ですが、伏線はいずれ全部回収する予定なので、気長にお待ちください。


そうして、彼らはレオーネ王国のとある町に着いたのであった。

たどり着いたそこはパラミシアよりこぢんまりとした町であった。


「うっひょーーー!!耳!耳だ!うさ耳、猫耳、犬耳……いろいろあるな!」


光輝は目を輝かせて町の人々を見ている。

りのは光輝と違って右から左へサッと町の中を見ただけである。


「本当に生えてるな。」


志狼は町をチラッと見てからりのに視線を向けた。

りのは首をこてんと傾げた。


「……ん…?……」


志狼は無言で猫耳フードを被っていないりのの頭を撫でる。


ようやく一通りはしゃぎ終わった光輝が2人を振り返ってその光景に一言漏らす。


「え?俺がトリップしてる間に何があったの?」


もちろんのことながらこの問いに答える者はいない。



「んで?俺たちはココで何するんだ?」


志狼の問いに光輝はニヤリと笑う。


「やっぱりお見通しだったかぁ。俺がココを選んだのはーーー」


町の中が急に騒がしくなり、光輝の声は掻き消された。


「はっ!!!誰があんたたちなんかに…!!!」


騒ぎの中心は1人の獣人の少女と彼女を囲んでいる柄の悪そうな獣人たちのようだ。


「いいから、大人しく来いよ!おかしらがあんたをご所望なんだ!」


男たちはニヤニヤと下品な笑みを浮かべて少女ににじり寄る。

そんな男たちにひるむことなく、少女は下衆共を睨みつける。


「あのさぁー、とりあえず、聞きたいんだけどー」


そんな状況に全く似合わないのんびりとした声が響き渡った。

光輝の声だ。


「それ何の耳?」


光輝はニコニコと笑みを張り付て揉め事の中心に向い、少女の耳を見ながら尋ねる。

そんな状況に少女の周りの男共が黙っているはずがない。


「ああ!?何だおまえ!関係ないやつは引っ込んでろ!」


1人の獣人が光輝の胸倉を掴んで叫ぶ。


「うっるさいなー。そんなに叫ばなくても聞こえるよ。」


「ああ!?」


その男の眉間の皺が一層濃くなり、もう一度叫ぼうと口を開こうとした。

だが、それは叶わなかった。


「だから、うるさいんだって。」


光輝が言い終わるや否や、男は吹き飛んだ。


「んで?それ何耳?」


少女は気の強そうな顔に少し戸惑いの表情を浮かべて答える。


「…リス…だけど。」


「おお、まさかの小動物。」


少女の周りの男共がそんな能天気な会話を黙って聞いているはずがない。

今度は吹き飛ばされたのとは別の男が光輝に詰め寄ってきた。


「おまえ!よく見たら人間じゃねーか!さっきのは魔法か!よくも…」


「だ、か、ら、うるさいんだって。」


光輝は相変わらず爽やかな笑みを張り付けている。



この時、少し離れたところにいる志狼とりのの間でも割と呑気な会話が繰り広げられていた。


「なんであいつあんなに怒ってんだ?」


志狼は不思議そうに言う。

ちなみに、志狼が光輝の笑顔の裏を読み取れるのは野生の勘のおかげと、光輝とりののことには"無関心"ではないからだ。


「……わか、らない…けど…助ける、のは、耳…?」


「だろうな。わざわざ揉め事に首を突っ込むタイプでもねーだろうし。」


「…とりあえず、終わる、の、待つ……?」


「ああ。」


知り合いが騒ぎの中心にいるのに、この呑気さはただ単に何の心配もしていないからであろう。

まぁ、やる気がないだけなのかもしれないが。



少女はいきなりの乱入者に少し呆気に取られていたようだが、また気の強そうな顔に戻った。


「なによ、あんた!関係ないんだから、すっこんでてよ!」


周りの男共もそれに乗じて何か言おうとしたが、バァン!という軽い爆音が光輝のあたりから発せられたため、それは叶わなかった。


「何度も言わせないでくれるかな?うるさいんだって。」


光輝の全く目が笑っていない笑みと、光輝から発せられる爆音に男共は怖じ気づき、その場を去っていった。


それを離れてみていた志狼とりのの2人はゆったりと光輝の元へ歩き出した。


「随分機嫌が悪かったようだな。」


「んー、だって、これからって時に出鼻を挫かれたし。せっかく機嫌よかったのに。」


「……光輝、めずらし……?」


「あー、ごめんごめん。」


「…飴、いる…?……いらいらに、いいよ…?」


「ありがとう。」


いつも通りの会話だけれど、光輝は心のもやが晴れていくのを感じた。


わかっていたはずなのだが、今更気が付いたのである。

光輝が苛立つようなことはこの世界にはないのだ。

光輝はもう自由なのだから、光輝にはりのと志狼という大切な存在がいるのだから。そして、クリスという。


光輝は口角を少しあげて喜びを噛み締めるように笑う。

それには一点の偽りもない。


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