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「では、りのの魔法陣実用化案件についての準備はこちらで進めておきますわ。」


魔法陣を描けるのはりのだけなので、クリスは商品化するための準備を整えることしかできない。


「事業拡大に伴って、レーウィン家所属の研究室や技術者がほしいところですわね。」


「何人か心当たりのある方を後ほど書き出します。」


「ええ、私も何人か書き出してみますわ。……まぁ、おそらくこちらから頼むまでもありませんが。」


そう言って笑うクリスは商人そのもののようだ。

クリスはこの3人がこの世界のどんなものよりも人を魅了すると思っている。

特に科学者や研究者は喉から手が出るほど彼らを、彼らの能力を、その頭脳を、その技術を欲するだろうと容易に想像できる。


「……旅に必要なものは全て志狼様のお荷物に詰めさせていただきました。」


レオンハルトはとりあえず話を進めようと切り出した。


「志狼なら大丈夫でしょう。光輝の方には地図などを入れておきましたわ。」


志狼のリュックがずっしりと重そうなのに対して光輝のリュックはいかにも軽そうである。

りのに関しては腰のポーチ以外に荷物はないようである。


「ああ、問題ない。」


志狼にとってはなんてことない。


旅慣れしていなく、体力もそんなにない2人のことを考えれば当然の結果だ。

また、もし何かあった時に荷物が命取りにならないように、というクリスの配慮もそこにはある。


「ほんじゃあ、しゅっぱーつ!」


「……ん…」


そうして、3人は屋敷を出て獣人の国へ旅立っていった。




レオンハルトは彼らがいなくなって静かになった屋敷で不安そうに呟く。


「………本当に大丈夫でしょうか……」


クリスは首を傾げる。


「まだそんなこと言っていますの?」


レオンハルトは本当に不安そうな顔をしている。


「……彼らが何も壊さず、何も起こさず、平穏に観光をしてくださるかどうか………」


その時部屋がしーんと静まり返ったのは何も彼らがいないからだけではないだろう。

クリスもメアリーも何も言わない。


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