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とある世界のとある森の中、そこには黒き館がそびえ立っていた。
そこでは、常識を超えた有象無象の存在が跋扈していた。
そんな中を走る人間が3人。
「うわぁぁぁー!!やばいやばい!!」
走りながら茶髪な彼は今置かれている状況をわかりやすく叫ぶ。
しかし、その表情はどこか楽しそうであった。
「うっせー。とりあえず走れ。」
もう1人の黒髪の彼は関心が薄そうな声で呟く。
それでも、注意された茶髪の彼は叫ぶことをやめない。
「あはははっ!コレどうするのー?」
茶髪の彼は無邪気に笑う。
「ぶちのめすか。」
黒髪の彼は無表情で物騒なことを言う。
「……必要…ない。……こっち…」
そんな2人を先導していた少女は拙い口調でそう言い、進行方向を変えた。
「……あ…」
しかし、か弱そうな少女はすぐに足がもつれて転びそうになる。
ぶっきらぼうな黒髪の彼はそんな少女の腰に手を回し、小脇に抱えた。
そして、少女が示した先に向かって走り出す。
そんな状況を茶髪の彼が茶化す。
「ひゅーひゅー!まるで王子さまだね!そんな抱え方じゃなかったら!」
こんな状況にもかかわらず、緊張感の欠片もない。
そう、彼らはこの黒き館で明らかに人間とは思えない異形の者たちに追われていた。
彼らがそのような状況に陥ったわけは数時間前に遡る。