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LINKED HORIZON ~異世界とか外国より身近なんですが~  作者: タイロン
第三章 episode7『王に弓彎く獣』
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episode7 sect28 ”ビスディア民主連合観光ツアー”


 交流式典2日目の朝、迅雷はえらく早起きをした。

 厳密には、起きたというよりもよく眠れなかったというのが正しいが。その程度には、気に掛かることの多い夜だった。


 ホテルの部屋のカーテンを開けて朝日を浴びた迅雷は大きな欠伸をひとつして、眠たい目を擦った。


 今日は観光ツアーの予定がある。昨日の開会式の際に受け取った資料の中にはツアーのスケジュールも入っていて、それによればホテルのある首都から出発して、色々と名所を訪れながら最終的には沿岸部にある街まで行くボリュームのあるツアーになるようである。

 今日には人間界と民連で正式に友好条約の締結がされる予定があるため、ツアーに参加するのは、学生である迅雷と萌生、それから千影、他は芸能人など政治とあまり関わりのない人だけだ。学者たちは学者たちで学問的な交流を求めてまた別の集まりがあるらしい。

 

 普段の休日なら二度寝していたところだが、バスの出発が午前のため、そうもいかない。


 「せっかくだから早朝の民連でも見てみようかな―――」


 思い立った迅雷は、昨日のように制服ではなく普段着に着替えた。

 ホテルのエントランスまで降りてきた迅雷は、そこで綺麗な黒髪と白いワンピース姿の少女と鉢合わせた。


 「おはようございます、豊園先輩」


 「―――あら、おはよう。早起きなのね、神代君って」


 「いやぁ、今日はちょっと」


 「枕が違うと的な・・・ね?」


 多分、萌生は敢えて外したのだろう。昨夜の晩餐会の裏側で起きていた出来事を積極的に蒸し返すつもりはないのだろう。迅雷は、萌生に合わせて肩をすくめてみせた。

 ・・・が、実は迅雷に限って言えば枕がどうこうという話も、あながち間違ってはいないのだが。なにせ迅雷は普段がアレなので、()()()がいないと落ち着いて眠れなかったというか。


 「豊園先輩は今はなにしてたんです?」


 「今はなんにも。でも、今からするわ。お散歩」


 「あぁ、それなら俺も一緒に行って良いですか?」


 「えぇ、もちろん」


 魔界の朝日もなかなか気持ちの良いものだ。天気はあくまで今日もお祝いムードのようである。昨日、城の庭園でも見た気がする大きな鳥(?)が空を横切って西へ飛んでいった。


 「私は山の方へ行くつもりだったんだけど、大丈夫だったかしら?」


 「虫刺され用の薬なら持ってますよ」


 お互い軽装だったので、ひょんな笑いがあった。

 魔界の季節は人間界と近いらしく、それなりに日差しはあったが、山の近くは幾分涼しい。萌生は道端に咲いている花を見つける度に興味深そうに観察した。


 「魔法だけじゃなくて、純粋に好きなんですね。花が」


 「そうね、興味が尽きないわ。愛でるにしても学ぶにしても食べるにしても」


 屈んで花を眺めていた萌生に手で招かれて、迅雷は彼女の隣に並んだ。


 「ほら、見て?変わった形の花びらでしょう?でも、これが雄しべで、こっちが雌しべ」


 「ほぇー・・・?」


 「ねえ、神代君。不思議に思わない?」


 「なにがです?」


 「だって、ここは魔界なのに、お花には雄しべと雌しべがあるのよ?私たちの知ってる植物とほとんど変わらないわ。全然違う世界なのに、なんで一緒のルールに従ってるんだろう。私たち人間にとっての植物の定義がそうだからって答えも一理あるとは思うけれど、それはさすがにちょっとおサボりさんでしょ?だから、ね、君はなんでだと思う?」


 「確かに・・・なんででしょう?さすが、深いことを考えるんですね」


 「道草の美味しい食べ方講座ってね」


 位相の壁に厳しく隔てられていたはずの異世界同士でも、植物の生態のようになぜか著しく共通するものが存在する。案外、異世界なんて言っても自分のよく知る世界と大差ないものなのかもしれない。


 ひとしきり花を楽しみ終えて、迅雷と萌生は再び歩き出す。


 「今日のツアー、楽しみね」


 「そうですね」



          ●


 ―――そのニュースは、あっという間に魔界全土へと広まった。そして、人間界にも。


 昨夜、人間界からの来賓を招きニルニーヤ城にて行われていた晩餐会の最中に、ビスディア民主連合防衛軍によるクーデターが発生しました。クーデター内容は、クースィ・フーリィ副首相の暗殺未遂、首謀者はテム・ゴーナン元民連軍司令官と断定。当日ニルニーヤ城の警備に当たっていた民連軍の隊員全員が関与を認めております。

 なお、現場に居合わせた人間の魔法士の協力を得てクーデターは未遂で阻止に成功したとのことで、クースィ副首相は無事でした。現在はニルニーヤ王家の皆様の協力も得ながら、クーデターの動機や目的、当日ニルニーヤ城にいなかった民連軍関係者のクーデターへの関与などについて調査を進めているとのことです。

 また、今回のクーデターを受け、第2王女のルニア様は民連軍の解体を発表されました。これに伴い本日予定されていた民連軍の公開軍事演習は中止となります。



          ●



 そろそろ出発予定の時刻になるので、迅雷は千影を呼びに、彼女の泊まっている部屋を訪ねた。

 しかし、もうなかなかに良い時刻だというのに、部屋から出てきた千影はひどく眠たそうな顔をしていた。


 「どうしたんだよ千影」


 「~~~!とっしいぃぃぃ!もうボクはとっしーなしじゃ夜も眠れないみたいなんだよぉ・・・!」


 「分からなくもないけどパジャマで廊下に出てくんな!」


 まさに今起きたばかりといった風の千影を室内に押し戻して、迅雷は千影の世話を焼いてやることにした。


 「はい水。これ飲んだら顔洗ってこいな」


 「ふぁ~い・・・」


 「ったく、荷物もテキトーに散らかして・・・仕方ないなぁ」


 あんまり色気のない水の音をBGMに、迅雷は手早く千影の荷物をまとめて、千影の寝相に遭ってグシャグシャになったベッドも整えた。あとは千影が戻ってくる前に、枕をスンスン。


 「・・・よし」


 「おぉ~、なんかキレイになってる。とっしーやれば出来るじゃん」


 「え、なに?もしかしてバカにしてるの?」


 「じゃあとっしー、着替えも手伝って」


 「ヤだよお前絶対パジャマの下なんも着てねーじゃん。その手には乗らねーから」


 「パンツくらいはいてるもん」


 「とにかく着替えくらい1人でして?」


 「むー」


 迅雷は目の前で服を脱ぎ始めた千影から慌てて目を逸らし、自分でメイキングしたベッドの縁に腰掛けた。千影の着替えを待つ間に、迅雷は今後の予定について考えて気を紛らわせることにした。


 (まぁ・・・予定っていってもなぁ) 


 スピーチが終わってしまえば、この交流式典では迅雷に大した仕事は残っていない。ほとんどずっとフリーだ。でも、明日の閉会式には出席する必要がある。だから迅雷には、帰るという選択肢はないのだ。


 ―――死にたくないなら2日目の夜までに帰ってこい。


 「・・・今夜、か」


 昨夜の事件が”それ”だった可能性もある。でも、違うかもしれない。それなら、今夜もまたなにかあるのか?そもそも本当になにかが起こるのか?

 

 迅雷があの銀髪のオドノイド―――おでんの忠告を素直に聞き入れかねている理由も、そして恐らくは、おでん自身が迅雷のその姿勢に譲歩し、フォローする素振りを見せた理由も、なんのことはない。明日の朝に、たかだか数十分の閉会式があるからに過ぎない。

 でも、もしも迅雷が交流式典の行く末を見届けたいと思うことがワガママなのだとすれば―――。


 「あー暗い暗い、やめなさい俺」


 「とっしーとっしー」


 「ん、着替え終わっ」


 「てませーん♡」


 「キャー!?」


 下着姿でベッドに四つん這いになった千影と目が合った迅雷は、焦って飛び退いた挙げ句ベッドから転げ落ちた。


 「ねぇ!!襟元からなんかもうちk・・・ピンク色のとかなんかイロイロ見えちゃったじゃん!!なんなのもう、なんなの!?」


 「やーんえっちー」


 ロリビッチは迅雷の素直なリアクションに満足した様子で、今度こそ服を着た。昨日のクリーム色のお姫様ドレスではなく、迅雷同様、普段通りの洋服だ。


 「やっぱこっちの方が落ち着くな」


 「でも昨日のボクにとっしーが向けてた熱視線も良かったなぁ」


 昨日の新鮮な体験を思い出した千影は、いっちょ前に恥じらって見せた。


 「中身も立派な淑女だったなら俺も今頃は罪を犯す覚悟を決めてたろーな」


 「あれ?とっしーって大人っぽいロリがお好み?」


 「ひとまずロリから離れてくんなませ」


 軽口を叩き合いながら、迅雷は千影の柔らかい金髪をいつもの赤いリボンでサイドテールに結ってやった。


 「うっし、完了」


 ドレスとか私服とかの話以前に、やはり千影らしさという点ではこの髪型だろう。昨日みたいに後ろで結っていると妙に清純そうで、らしくない。これくらいあざとい方がしっくりくる。


 ようやく外出の準備も出来たというところで、千影の腹の虫が鳴いた。


 「とっしー・・・」


 「悪いけどもう時間だからガマンな。・・・あ、そういや千影。お昼さ、行ってみたいお店があるんだけど」


          ○


 迅雷と千影がホテルのロビーに降りると、既に今日のツアーに参加する面々が集まって談笑していた。千影の身支度を手伝うので余計な時間を食ってしまった。見れば、集団の端にイヌミミの獣人女性も混じっていた。服装などからして、恐らくはツアーガイドをしてくれる人なのだろう。他にも、テレビ局だろうか。撮影機材らしい道具を抱えた人たちが挨拶をして回っていた。


 「おはようございます、すみません遅くなってしまいました・・・」


 迅雷がひとまず礼儀で挨拶をすると、可愛らしい日本人の女優さんに屈託ない笑顔で「よく眠れましたか?」と言われた。俺が寝坊したんじゃねぇ、とも言えず迅雷は苦笑して誤魔化した。


 「おはようじょ~」


 千影も千影で相変わらず礼儀の欠片もない挨拶を振りまいては、十人十色のリアクションを楽しんでいる様子だ。

 萌生の姿を見つけた迅雷は、千影と一緒に彼女の傍に寄った。


 「豊園先輩、点呼みたいなのありました?」


 「滑り込みセーフ、かな?」


 迅雷がホッとするのと、イヌミミのガイドが時刻を確かめて挨拶をしたのは、ほとんど同時だった。

 自己紹介を終えたイヌミミのガイドは、続いて今日のスケジュールについて説明を加えた。


 「皆様に事前にお配りした本日のスケジュールなのですが、今朝になって急遽一部に変更が発生しましたので、今から訂正版のものをお渡しさせて頂きます。ご迷惑をお掛けしてしまい、誠に申し訳ございません」


 新しく渡されたパンフレットには、昨日受け取った時点では予定されていたビスディア民連軍の基地見学(公開軍事演習とは別)の項目がなくなっていた。代わりに挿入された項目が首都の街巡りである点からして、いかに急な予定変更だったかが窺い知れる。


 だがそれは裏を返せば、民連側はなんとしても交流式典の中止だけは避けたいということだろう。そして、それは迅雷たち人間側も同じことなのだった。


          ○


 バスに乗った迅雷と千影は自然と隣同士の席に座り、窓の外の様子を眺めた。


 「左手に見えますのが、ビスディア民主連合のシンボルにして我らがニルニーヤ王家の居城である、ニルニーヤ城です。・・・って、皆様は昨日もう中にまで入られているんですよね。なんだか羨ましいです~!」


 イヌミミのガイドは、半分本気で羨ましく思っていそうな口振りで仕事を始めた。


 「ここ《ノヴィス・パラデー》は皇国からの独立後にニルニーヤ城が建つニルニーヤ山を中心として新たに首都に制定された街です。首都名の意味は『最後の楽園』で、私たち獣人にとって、この街そのものがまさに魔族の支配から解放され、魔界という新天地で再び誇りを持って歩み出した聖地なのです。御覧の通り、ニルニーヤ城と近い首都中心部は石畳やレンガ造りの建築物など歴史を感じる街並みが保存されています。一方で、橋を渡った先の外周部には魔界全土で見ても最先端級の文化や科学研究が集まっており、歴史と新時代が調和する、いわば過去から未来へ物語を紡いでゆく街なのです」


 ニルニーヤ城近辺の再中心部を少し離れると、俄に露店の数が増え始めた。迅雷が昨夜、李と一緒に遊び歩いたのもこの辺りだったか。まだ昼前にも関わらず、夜のときにも負けないくらいの大賑わいだ。

 でも、民連軍のクーデターの後だと思うと、楽しげな獣人たちの姿が、迅雷にはどうにも必死に”そう”見せようとしているようにも、見えてしまうのであった。


 「うおー、とっしー!屋台がいっぱい!って、アレ!デッカイ肉!マンガ肉!!」


 「んー?あぁ、アレは実際美味かったなぁ」


 「え?もう食べたの?え?いつ?なんで?・・・ハッ!!ま、まさか昨日!?」


 「あ」


 そういえば、結局千影には昨夜のことをまだ話していなかったのだったか。

 

 「ズルいズルい!ってゆーかなにそれ!じゃあとっしーはボクに内緒でスモモンとデートしてたってこと!?ありえない!!とっしーは絶対スモモンには気がないって思ってたのに!とっしーの浮気者ー!!」


 「やめてぇ!大声でそういうこと言うのだけはやめてぇ!!」


 同じバスの大人たちが醸し出す「青春は良きかな」オーラがかえって痛い。なんというか、思うのだ。どの国からも交流式典出席者の人選がいかにも穏やかで暖かい性格の人に偏りすぎだと。これは詐欺だ、ニンゲン=イイヤツ=シンジロ作戦だ!!

 

 ひとつ大きな溜息を吐いて、迅雷は詰め寄ってくる千影を元の位置まで押し戻した。


 「じゃあさ、千影。()()、一緒に見て回ろうぜ」


 「・・・うん、()()ね!約束だよ!だがしかーし。それくらいでボクが浮気を許すだなんて思わないことだよ!」


 「いや、つーかその・・・李さんの時は不可抗力だったし?千影のことは最初から、そのー、誘う気で?いたっていうか?なんつーか?ごにょごにょ・・・」


 「あぁもうっ♡やっぱ許しちゃう♡」


 いよいよいたたまれなくなってきて、迅雷は咄嗟に窓外の景色を指差した。


 「あっ、千影、見ろよ。キレイな川だぞー」


 バスは橋の上を走っていた。眼下には確かに大きな河川があり、穏やかな水面にはバスと同じ速さで走る太陽が映っていた。

 迅雷は苦し紛れのつもりだったが、イヌミミのガイドは折良さげにその川の解説を始めた。


 「私たちが今渡っているマルス運河は、そのルーツを植民地時代にまで遡ります。マルス運河は首都《ノヴィス・パラデー》の中心部をぐるりと囲むように掘られた人口の運河で、無数に分岐した水路は現代でも街の至るところでその痕跡を見つけることが出来ます。この後の自由散策の際にでも、ついでに探してみると面白いかもしれませんね」


 「へぇ、運河。でも、首都がまるごと堀の内になっているなんて珍しいんじゃないですか?」


 そんな風に疑問を持ったのは、熱心にイヌミミのガイドの話を聞いていた萌生だった。


 「鋭い着眼点ですね。実はマルス運河には水壕としての顔もあったのです。古くは私たち獣人族をこの土地より外へ自由に出られないようにするために、魔族が私たちの祖先に作らせたものでしたが、後の独立革命時代には一点して《ノヴィス・パラデー》を敵軍から守る役目を果たしたと言われています。この点でも、マルス運河は《ノヴィス・パラデー》、ひいては民連の歴史を語る上では欠かせない存在なんです。今は自動車も普及して運河としての役割は終えていますが、観光スポットとして今日でも多くの人々に愛されています。遊覧船もございますので、よかったらぜひ優雅な水上観光も楽しんでみてくださいね!」


          ○


 マルス運河の外側、首都外縁部にまでやってきた迅雷たちは、橋を渡る前後でがらりと異なるコンクリートの街並みをしばらく移動した。そして、バスが初めて停まった場所は、なにか博物館か美術館といった趣の施設だった。

 看板の文字はあいにく魔界語のため読めなかったが、バスの中でイヌミミのガイドが行っていたことには、ここは図書館だそうだ。それも、ただの図書館ではないという。


 さっそく中に案内された迅雷たちを迎えたのは、アイドル衣装の第2王女・・・の立て看板であった。それだけではない。ショーケースの中に国宝よろしく大切にディスプレイされているのは、確か数年前に流行っていたはずの韓流アイドルのグッズや、年代物のアメコミ雑誌など人間界の様々な時代の娯楽品であった。

 そう。なにを隠そうこの図書館、謂う所の「サブカル」に特化した輸入文化資料館なのである。企画者は入り口で立て看板にもなっていた彼女と聞いて実に納得である。現に蔵書のマンガは多くがルニアの集めたものらしい。

 

 迅雷が小学校の図書館で手に取った記憶のある「マンガで分かる」系の本を見つけて広げていると、隣から萌生が手元を覗き込んできた。


 「わぁ、懐かしい。ちゃんと言葉は魔界語に翻訳されてるんだ。地味にすごい」


 「アイドルに軍にマンガ図書館に、ルニア様って本当に好き放題って感じですね」


 「でも海外の人にとってマンガは日本文化の入り口としてポピュラーよ?交流式典のテーマにはピッタリな気がするわ」


 「あぁ、確かに。そう言われるとそんな気もしてきますね」


 国王エンデニア・ノル・ニーア・ニルニーヤや首相のケルトス・ネイは当然ながら極めて政治的な姿勢だし、一方の第1王女のアーニアの想いは俗人にはいっそ高潔すぎるきらいがある。そう思えば、人間に一番純粋に興味を持って深いところまで分かり合おうとしているのは、ルニアなのかもしれない。

 2人が、1冊の本からでは測りかねることを思案していると、どこかへ行っていた千影が手に1冊のマンガを持って戻って来た。


 「ねぇねぇ、とっしー。こんなのもあった!」


 「んー?なになに」


 ウキウキしている千影の横で最近よく見る異世界ファンタジー作品のコミックをパラパラとめくった迅雷は、見開きページで主人公がケモミミの少女にラッキースケベを働くシーンで、そっと本を閉じた。


 「なんか・・・超恥ずかしい・・・」


 この国の人たちはこのマンガを読んだときなにを思ったのだろうか。

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『魔法少女☆スノー・プリンセス』

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