お正月特別編☆一央市ギルド最強決定戦!?
明けましておめでとうございます、タイロンです。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
はい。やって参りました、毎年恒例のお正月IF短編です。相変わらず本編と別人レベルであの子がフレンドリーです。
今まで特別編というと日常回ばかりだったので、ここで思いきってバトル回を入れてみたんですが…正月カンケーあんのかなって感じですw
それではごゆっくり~。
あけましておめでとうございます、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
さて、今年もやってまいりました、一央市ギルド主催の一大イベント!
『新春・一央市ギルド最強魔法士決定戦!!』
今年の優勝者賞は『選べる行き先、異世界旅行にも使えるJTB2泊3日のペア旅行券』!その他、上位入賞者にも豪華な賞品をご用意いたしております!もちろん参加賞もございます!ご気軽にご参加ください!
ご参加は2人ペアのチームになります。また、ライセンサー部門・アマチュア部門・女性部門・ジュニア部門の4部門にて受付を行います。お申し込みは下記QRコードまたはギルド受付にて!
※定員がございますので受付はお早めにお願いいたします。
最強は誰だ!?来たれ、腕自慢たち!!
開催日時:1月6日、10:00開会式開始
会場 :一央市アリーナ(一央市ギルド内)
参加料 :お一人様500円(当日に受付にてお支払いをお願いいたします)
受付締切:1月5日、21:00
(ギルド受付は9時~20時までになりますのでご注意ください)
参加資格:ライセンサー部門
→IAMOのライセンスをお持ちで16歳以上の方、性別不問
アマチュア部門
→ライセンス未取得またはランク2以下で16歳以上の方、性別不問
女性部門
→ライセンス未取得またはランク2以下で16歳以上の方、女性のみ
ジュニア部門
→小学5年生以上、中学3年生以下の方、性別不問
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「さぁて、今年も暴れるかぁ・・・!」
「パパさぁ、もう引退して上げた方が良いんじゃないの」
数度の優勝経験を持つ『山崎組』のリーダー山崎貴志は指の骨を鳴らして不敵に笑い、娘に呆れられた。
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「あんた、出るからには今年こそはチケット持って帰ってくるんだよ?」
「お、おう・・・任せろかあちゃん」
かつての気の利く良い女はどこへ消えたんだかと嘆息し、中年男性限定パーティー『ミドラーズ』のリーダー斉藤広助は仕方なしに相方を探すべくスマホを手に取った。
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「クックック・・・遂にこの時がきたぜ・・・!」
そう言って、阿本真牙は自慢の刀『八重水仙』をスラリと抜き放ち、室内で抜刀するなと母ちゃんに怒鳴られた。彼が求めるものとは、ライバルとの熱い戦いか、はたまた女の子と2人きりのイチャイチャ異世界ツアーか。
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「お姉ちゃんお姉ちゃん!これ出ないの!?あたし温泉とか行きたい!」
「えー?んー・・・温泉ねぇ」
天田雪姫は、正月早々面倒臭いな、と思って旅行券をせがむ妹に「アイツに頼んで出てもらえば良いじゃん」と言いかけて、やっぱりやめた。だって、夏姫をアレと2人で温泉旅行に送り出したらなにが起こるか分かったもんじゃない。
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「トモ!!今年は出るよ!!」
「ふぁっ!?」
朝峯向日葵からの突拍子のないお誘いに、沢野友香は親友の正気を疑った。大体、友香は”見る専”だというのに、なんだって自分からバトルステージに立たないといけないのか。一方の向日葵は返事ももらう前から作戦の話をし始めるのだった。
●
「ごめんね、本っ当にごめん!!」
「ちょ、な、なんで!?ボクも出たいんだけど!なんでダメなの!?」
ギルドで直接受付嬢の日野甘菜と揉めている居候の金髪幼女をベンチに座って眺めながら、神代迅雷は予想通りの展開に退屈したようにあくびをした。オドノイドが出たら強すぎるのだ。ダメージをダメージとも思わない怪物が人間と同じ条件で参加してしまったらフェアじゃない。
とはいえ、迅雷も今年は腕試しがしてみたい気分だ。千影以外の丁度良いペアを探さないとだな、と呟く。出るとすればライセンサー部門で、頼れる相方としては誰がいるだろうか。
真牙はどうか?いや、どちらも近接戦に特化しているから『山崎組』のような射撃戦主体の相手とやり合うのは厳しい。・・・まぁ正直に言うと、迅雷の火力や真牙の重力魔法があれば対応は十分可能だとは思う。でも、もし優勝してしまったらチケットの取り合いで殺し合いになりそうだからやっぱりナシだ。まさか男の2人旅なんて選択肢、万に一つもあるわけがない。
慈音はどうだろう。なんだかんだ、『DiS』の仲間として様々なダンジョンを経験してきた彼女の結界魔法はなかなか洗練されてきた気がする。攻防一体のチームはなかなか堅実な戦果を出せるのではなかろうか。・・・いや、でもなんか誘いづらい。ギルドの行事といっても内容は荒事だし。
「となってくると・・・そうだ」
実に頼れる人がいると思って、迅雷はさっそくSNSでメッセージを送った。もし彼女とタッグを組めたら、腕試しどころか優勝も目じゃない。しかもそのままペア旅行に行けちゃうかもしれない。
ワクワクしながら返事を待っていると、意外なほど早くに返信が来て、迅雷は急ぎ通知のポップアップをタッチした。
「えーとなになに・・・?」
『悪いけど先約いるからパスで』
先・・・約・・・!?バカな・・・っ!!
と、絶望している場合ではないことを思い出して迅雷は首を振る。まだまだ頼れる人はいる。共に命懸けの戦場を駆け抜けたこともある仲だ。今回だってきっと力になってくれるはず―――!!
『悪い神代、先約がいるんだ』
・・・。
「すみません甘菜さん!!この通ッりでッす!!なんとか千影を出場させてやってください!!」
「ちょ、土下座はやめっ」
「そうだよ甘菜ちゃん!!とっしーがここまでしてボクと一緒に出たいって言ってるんだよ!!」
「いやっ、だからぁ!」
新年早々年下の男の子に土下座をさせている美人受付嬢にギルド内はざわめき立った。しかもよく見りゃ土下座してるのはあの神代疾風の息子でオドノイドの味方をするためにIAMOに刃向かったことすらあるあの神代迅雷じゃないか。ひょっとしたら日野甘菜という女は裏で一央市ギルドを牛耳ってるんじゃないか?
それはさておき、真っ赤になって涙ぐむ甘菜にビビって迅雷は跳ね起きた。
「か、甘菜さん・・・?」
「・・・げる」
「え?」
「事務の人と相談してきてあげる・・・。だからもう二度とこんな恥ずかしい思いさせないで!」
「ごめんなさい!!」
きっと、これは近いうちに凄まじく面倒なクエストを押し付けられるパターンだ。とある一件から迅雷は甘菜の命令に絶対服従というルールを設けてしまったのだが、これを良いことに人気がない割に重要なクエストなんかが迅雷への命令権経由で『DiS』に降りてくることがあるのだ。
十数分後、肩を落としたままの甘菜が裏方から戻ってきた。
「ど、どうでした?」
「ダメでした」
「そ、そんなぁ・・・」
「オドノイド差別いくない!」
千影が地団駄を踏むが、ダメなものはダメだった。
途方に暮れてギルドを後にする迅雷と千影は、そのまま寄り道をすることもなく大人しく帰宅した。リビングではなんにも知らない真名と直華が正月番組を見て大笑いしている。
「あ、どうだったお兄ちゃん?」
「千影はまぁダメだったんだけど・・・それよりナオ~!お兄ちゃん一緒に出場してくれそうなおともだちがいないのぉ~!!ねぇナオ一緒に出ようよ~!!」
「そ、それは・・・ドンマイ・・・?」
泣きながら抱き付いてくる兄を両手で押さえながら、直華は投げ遣りに慰める。残念だが中学生の直華は条件的に迅雷と一緒に出場してやることは出来ないのだ。もっとも、直華の実力では迅雷の足を引っ張ってしまうだろうから、条件では問題なくても直華はその誘いを断っていただろうが。
みっともなく妹に泣き縋る迅雷を見て、疾風が困惑する。
「なんだ迅雷、お前もっと友達いなかったっけか?」
「だってみんな先約がいるって・・・」
「フラれたのか」
「もういっそ父さんが俺と組んでくれよ」
「俺が出たら反則だろ」
「ただの人間のくせに!」
まぁ、疾風が出て良いレベルの大会なら当然千影も出て良いくらいだ。そうなってしまうと、面白がった化物どもが集まって来かねない。千影以外のIAMOに所属しているオドノイド連中とも会ったりしたが、いくらよそより優秀な一央市の魔法士たちでもあれらとまともに勝負が出来るとは思えない。ひょっとしたらだが、山崎貴志や斉藤広助といった実力も経験も十分なプロ顔負けのベテランたちでさえ指一本触れられないまま敗北するのではないか。
拗ねた千影は餅のやけ食いを始めてしまい、迅雷は引き続きペア不足問題に頭を悩ませる。巷じゃ今年の優勝争いは『DiS』がダークホースになるんじゃないか、なんて噂をされていたくらいなのだ。それで調子に乗らないわけがないのに、出られないなんてことがあって良いはずがない。
その後自室に戻った迅雷はさらに、巨乳ツインテのお嬢様(?)な弓使い・聖護院矢生、クリーム色の耳跳ねショートボブと低い身長小動物キャラ・西野真白、もうきっとみんなその存在を忘れているであろうクラスメート・室井茂武夫、一高のいつも眠たげなガンマン・安達昴に連絡をしたのだが。
「全員ノーって・・・。全員ノーって・・・ッ!!・・・あ、なるほど。初詣で引いた大凶はこれのことだったのね!―――じゃねーよこんちくしょー!!」
矢生はどうやら、彼女に憧れて使う武器も髪型もマネしている弟子(自称)の四宮愛貴と一緒に申し込んでしまったらしい。遠距離戦担当枠としては迅雷と仲の良い人の中では五指に入る優秀な人材だっただけに惜しい。
真白は最初良い反応をしてくれたのだが、彼女の友人で凸凹コンビの凸担当の井澤楓にギリギリのところで取られてしまった。というか、迅雷はそもそも真白は申し込むことさえ誘わない限りはないものと思っていたから予想外だった。
茂武夫に関しては論外だ。なにがハワイでニューイヤーだ。モブのくせに実は裕福か。
そして最後の昴に関しては、10時には起きられないから絶対ムリだと言われた。もちろんそんな返事は受け入れられない迅雷は食い下がったのだが、昴はどんなに早くても冬休み中は起床時間11時以降は譲れないと言い張るので、遂に根負けしてしまった。何度思い返しても全く納得出来ないのに、昴がそう言う場合に限っては納得するしかない。矢生に負けず劣らず実力のあるガンナーだったので、かなり悔しい結果だ。
このままではマズい。本当に迅雷は独りぼっちになってしまう。だが、他に誘えそうなヤツはいたか?豊園萌生?柊明日葉?いやいや、まさかこの時期に受験生を誘うわけにはいかない。他に、同じ1年生のライセンス持ちで、誘ったら「いやお前と俺ってそんな仲良かったっけ?」と言われなさそうなヤツ。
「うがーっ!!」
「うはぁ~。本当に『うがー』って叫ぶ人初めて見たよ・・・」
「うおっ、し、しーちゃん!?」
「やっほー。ずっとなんか考え込んでるみたいだから静かにお邪魔してました。ノックはしたんだけどねー、ホントに気付いてなかったんだ」
迅雷はベッドの上でドアにケツを向けて蹲っていたのだが、慈音はそのすぐ隣、ベッドの足下側にちょこんと腰掛けてヒラヒラと手を振っていた。迅雷は慌てて居佇まいを直す。直すと言っても、ベッドの上に胡座をかくだけだが、慈音にケツを見せるような格好でいるよりかはずっとマシだろう。
「それで、どしたの?」
「いやー、どうしたのか聞きたいのはしのの方じゃないかなー・・・」
「聞いてくれる!?ねぇ聞いてくれる!?」
「うんうん、聞いてあげる」
「あ。いやでもなぁ・・・」
そう、迅雷はあんまり慈音を最強決定戦に誘いたくない。少なくとも、自分からは。なのにこんな話をしたら、彼女がパートナーに名乗りを上げることなど想像に難くない。酸っぱい顔をして唸る迅雷を見て慈音はなぜかニッコリと微笑んだ。
「うーん。あのねとしくん。今日はとしくんにお願いがあって来たの」
「お願い?」
「そう。これ、としくんも見た?」
そう言って慈音が取り出したのは、今まさに迅雷が握り締めていたチラシと同じものだった。
「ま、まさか・・・」
「ねーね、としくん。これ、一緒に出ようよ!」
●
『それでは魔法士そして未来の魔法士の卵のみなさん!優勝目指して頑張ってください!!』
局長の安田奈雲の挨拶が終わると共に、アリーナの真上に花火が上がった。
迅雷はゴクリと喉を鳴らす。彼は紛れもなく、緊張していた。そして、それを察したのか、相方が隣から手を握ってくる。
「がんばろーね、としくん」
「うーん・・・この・・・!」
結局押し切られた。
幼馴染みタッグ、ここに爆誕。
「緊張してる?」
「そりゃ・・・ちっとな」
「うそだぁ、顔青いよ。もう、そんな心配しなくて大丈夫だよ。しのだって結構強くなったんだから!」
「分かってるけどさー・・・」
ニコニコ笑顔の慈音を見ていて、しまいには迅雷も苦笑から、どこか吹っ切れたような笑顔になった。
ある意味、迅雷は慈音について千影以上に怪我をして欲しくないと思っている。今でこそ迅雷の周りには彼に好意を向けてくれる人や、頼り頼られる仲間たちがいるが、それよりずっとずっと前から迅雷の隣に居てくれたのは紛れもない慈音である。迅雷にとって慈音は他の誰が想像するよりも大切な人なのだ。
ただ、だからこそ彼女を守り切るイコール優勝というわけだ。なるほど、モチベーションが上がる話ではないか。それに、迅雷が勝手に嫌がっているだけで別に最強決定戦は殺し合いではない。最悪でもちょっと痛い思いをするくらいだ。慈音の安全を気にしてばかりじゃ、迅雷に出場チャンスをくれた彼女に申し訳ない。だから、せいぜい全力で挑戦しようではないか。
と、迅雷が意気込んでいると。
「おーい、神代ー」
背後から聞き慣れた低い声が飛んできた。
「あ、焔先パ」
挨拶をしようとして振り向いた迅雷は、直後にショックで固まった。
だって、彼の隣にいたのは―――。
「よーす。へぇ、慈音と組んだんだ。ま、当たったときは全力で潰すからよろしく」
「先約ってこういうことかよぉぉぉぉぉ!!」
焔煌熾・天田雪姫ペア。烈火業炎と絶対零度の協奏曲。
因縁浅からぬ先輩後輩のペアがどうして生まれたのか。それはとても複雑なワケがある。
煌熾は、姉とどうしても温泉旅行に行きたいと天田夏姫におねだりされた雪姫に話をもちかけられ、優勝しても名誉以外なんのリターンもない戦いに身を投じることとなったのだ。だが、なぜそこで迅雷ではなく煌熾だったのかというと、迅雷だと仮に優勝してしまうと雪姫とペアチケットを使いたがるからだ。逆に言うと、煌熾は無償で協力してくれる都合の良いヤツ程度にしか思われていなかったのだ・・・!!
以上、複雑な気持ちになるワケでした。そして、分かっていても後輩の頼みを断れない煌熾はここに来た。
「おうおう、なんだすげぇペア出来てんな」
「う、うわぁ。焔先輩に天田さんって・・・勝てる気しないかも・・・」
「今度は誰ペアだ?」
またまたやって来た知り合いに、迅雷はうんざりした声を出す。それは、阿本真牙と五味涼だった。なるほど、真牙はイチャイチャコースを選んだらしい。とはいえ、涼ももちろんライセンスを持っている。それなりに応用力もあるしそれなりな成績は狙ってくるに違いない。
○
さらに、またさらに―――と迅雷は大会に参加してきたマンティオ学園の面々と挨拶を済ませて、気が付いたら大所帯になっていた。
「というか、豊園先輩と明日葉先輩ってこんなことしてて大丈夫なんですか」
その中には、センター試験を間近に控える3年生の萌生と明日葉もいた。萌生はAOで既に合格しているようだが、どっちみちセンターの成績は大学側に提出しなければならないので切羽詰まっているのには変わりないはずだ。
・・・が、当の本人たちはなんてことない顔でこう答える。
「たまには息抜きしたって罰は当たらないわ」
「そうそう。お前に心配される筋合いなんてねーよ」
「息抜けるんですかねぇ・・・」
さすがマンティオ学園3年生のツートップ、息抜きの仕方からして違う。
○
「よぅし、じゃあトモ!作戦通りに行くよ!」
「そ、そう上手くいくのかな・・・?」
スポーティーな茶髪の少女・向日葵と、スタイルは良いが見るからに運動は苦手そうな黒髪少女・友香は、ちゃっかり女性部門のトーナメント表に『チームH&T』の名前で登録されていた。
向日葵が自信満々に言う作戦とは、次のような内容だ。
まず第一に、短剣による超至近距離での戦闘が主体となる向日葵は無策に突撃するわけにいかない。友香の魔法による援護射撃をアテにしつつ一旦は相手の動きを観察する。そしてここで友香の強みが生きてくる。彼女は超がつくほど魔法戦を見ることが好きな、自分は戦わない戦闘マニアだ。その道のプロたちの試合や高総戦など様々な名勝負を何度も繰り返し見てきた知識は伊達ではない。相手の動きを観察すれば、きっと友香がその弱点を見極めてくれる。そこから抜群の運動神経を誇り、特に足の速さには定評のある向日葵ならではの活路を見出していく。要は懐に潜り込んで相手のテンポを崩し、ラッシュを仕掛けるのが狙いの作戦だ。
これだとあまりにも友香の仕事の比重が大きすぎる気がするが、実際に試合に出ることになってしまった以上は友香に出来ることなどそれくらいのものだ。同じクラスの雪姫や迅雷のように実戦の経験が豊富なわけではないが、魔法戦のセオリーでいえば友香の知識だって負けてはいないはずだ。ここまで来たらやるしかない。
「相手は『風王』ってパーティーの人らしいから、とりあえず使ってくる魔法は基本風魔法と思って良いよ。問題はそれをどういう方法で使ってくるかだけど―――」
「風ねぇ・・・苦い思い出があるなー」
学内戦での細谷光との対戦を思い出し、向日葵はニヤリと笑う。風魔法は目ではうまく捉えられないところが一番強力な特徴だ。
また、空気は水や砂より遙かに流動性の高い物質だ。攻撃の速度や自在性は炎魔法にも劣らないし、僅かな隙でも見せればそこから攻撃を差し込まれてしまう。後衛に徹する友香も自衛の手段は常に講じておく必要があるだろう。
後は、相手の実力次第。レギュレーションの関係で少なくともランク3以上を持っていることはないが、それにしたってライセンス取りたてだっただけで初めから圧倒的な実力を誇っていた天田雪姫という前例もある。油断は出来ない。
「じゃ、行ってくるよ!」
「うん・・・!」
相手も前衛と後衛で分かれている。向日葵は初動で前衛に接近し、友香は水魔法を霧状にして向日葵の周囲に飛ばした。向日葵の動きを阻害せず、かつ風魔法の軌道を出来るだけ見えやすくするためのテクニックだ。当然、これは友香の周囲にもある程度の距離を保って展開する。
序盤は前衛同士の様子の窺い合いと、後衛の射撃合戦で終わった。友香は実力も覚束ない学生タッグ相手なら『風王』の2人はもう少し強気で攻め込んでくるかと予想していたが、向こうもこちらと同じくらいに慎重だった。しかし、同じ作戦を取った場合知識量が勝負を動かす鍵になるのは言うまでもない。
「ヒマ、一旦戻って!仕切り直すよ!」
「あいさ!」
短剣を手の中で翻すように踊らせて派手な連撃を繰り出し、相手を怯ませた向日葵は地属性魔法で砂を起こして目眩ましをし、友香の隣へ戻る。友香もまた、危険のない範囲で急ぎ前進し、向日葵への追撃を牽制しながら向日葵と合流、そのまま耳打ちをする形で割り出した後衛の魔法の癖と、2人の立ち回りの隙を伝えた。
「じゃ、ゴー!!」
「まっかせろー!」
再度突撃した向日葵を迎え撃つべく動いた『風王』の前衛。しかし、向日葵はスライディングでその股下を潜る。もちろん、人ひとりがすり抜けられるほど大きく足を開いているわけではないため、脛にキックをするような勢いだ。それを躱して片足を上げる前衛は、背後で勢いよく跳ね起きて短剣を振りかぶる向日葵に気を取られる。しかし、本命は別だ。友香がそこに水の弾丸を叩き込む。単純な質量攻撃だ。
相手の後衛は射線ムラなく様々な角度をカバーしているが、フェイントを狙った回り込むような弾道ばかり。おかげで、後衛に対して背中を向けている状態の向日葵が一歩下がるだけで、彼女を狙った空気弾は前衛を襲った。後衛も途中で気付いたのか弾道を微妙に逸らしたが、遅い。むしろ焦った隙は大きい。
そのまま友香が全力の水流攻撃で前衛を砲撃し、向日葵は自慢の健脚で後衛の懐へ飛び込む。
「これで―――」
「勝ち!!」
○
「ここまでの試合だけでもやっぱり所属って大事だって分かるな」
トーナメント表のチーム名が半分ほど暗くなった時点で、真牙がそんな風に感想を呟いた。
もちろん、真牙も勝ち上がったし、迅雷や煌熾たち学園組も大半はなんとかなった。不幸だったのは、山崎貴志の『山崎組A』と当たってしまった真白・楓の『デコボコズ』だろう。近接主体のルーキーペアと銃器を専門に取り扱うエース魔法士、さすがに勝てるはずがない。あれでも女の子相手だからとだいぶ手加減はされていたようだが。逆に、番狂わせがあったとすれば『ミドラーズB』、つまりかのパーティーのサブリーダーである平潤平を含むパーティーを一方的に叩きのめした煌熾と雪姫の活躍か。
結果、勝ち残っているのは、有力なパーティーでそれなりな経験を積んでいる魔法士か、マンティオ学園の学生がほとんどだった。それ以外も勝ち残っているには勝ち残っているが、それにしたってギルドではそれなりに存在感のある面々だ。一部からはライセンサー部門のハードルが高すぎるという意見が上がるのも頷ける。
「としくん、次の試合って―――」
「あぁ・・・」
『ブレイズトーン』(迅雷命名)の名前から伸びる線が繋がっているのは、『菊花同盟』なるチームだ。すなわち、煌熾と雪姫のチームである。
なぜ菊かと言えば、雪姫の必殺魔法となっている『雪月花』が菊の花弁を模した氷槍の大量展開技で、煌熾もそれにインスピレーションを受けて炎魔法でコピーしたような魔法を使うから、とりあえずの共通点ということで取り入れたとかなんとか。
大事なのはそこではない。このペアは攻防一体かつ全方位完全網羅の超破壊力が売りである。要するに隙がない。それなりに手の内を知っている分、迅雷と慈音にとっては極めて厄介な相手であることを痛烈に実感する。
「迅雷君の次のお相手は、なるほど」
「矢生か」
今し方2回戦を終えて、矢生と愛貴がやって来た。どうやら同じマンティオの上級生ペアを破ってしまったらしい。雪姫に対して並々ならぬライバル心を抱いている矢生は、迅雷のことを少し羨ましそうに見ている。確かに今の矢生の実力が雪姫にどれだけ通用するのかは気になるところだが、この対戦表だとかなり後半の試合まで勝ち進まなければマッチングしない。
「強敵相手って話なら、豊園先輩と明日葉先輩のペアもなかなかじゃないのか?」
「そうですわね。今やどちらもランク4、まさしくマンティオ学園の顔とも言うべき方たちですもの」
そのペアは、次は真牙と涼に当たるようになっている。抽選の結果なのか分からないが、あるいはこうしてマンティオ同士で潰し合うようなマッチングが多いのは運営するギルド側が少しでも活躍する参加者を多様化させる狙いがあるのかもしれない。
矢生はひとつ背伸びをして、「それと」と微笑んだ。
「あなたたちも”なかなか”なのではありませんの?そのときはそのときで、楽しみにしていますわ」
「矢生たちは勝ち上がる前提かよ。まぁらしいっちゃらしいけど」
○
「さてと、早々に当たっちまったな」
「宣言通りに潰してあげる」
最初から『雷神』と『風神』の2本とも背負った迅雷とドSスマイルで骨を鳴らす雪姫が火花を散らす。
「あははー・・・お手柔らかにお願いねー」
「これそんなにガチな大会だったかなぁ」
ちょっと置いてけぼり気味な慈音と煌熾は顔を見合わせて苦笑した。特に煌熾なんて勝ったところでなんの景品ももらえない分、かなりラフなテンションで試合に臨んでいるのだ。
客席では最前列で千影もやれぶっ潰せだのと喧しくしていたが、自分が出られない悔しさなのか、あるいは雪姫になんらかの対抗心があるのか、あまりに悪目立ちするので真名と直華に取り押さえられてしまった。
試合開始の合図がある前から、実はステージの気温はかなり下がってきている。つまり、少なくとも雪姫に関してはかなりやる気なのは間違いない。そのせいか、アリーナ内の暖房が全く温まらない室温にムキになったのかブオゥ唸りを上げてしまっているくらいだ。
ここまでくると、本当は煌熾たちのノリが悪いだけのようにも見えてくる。
お互いの相方に辟易しつつ、煌熾も慈音も作戦に従ってポジションを確認する。
旗を持って開始位置につくレフェリーにもう少し離れた方が良いと告げ、迅雷は剣を2本とも抜き放ち、深く腰を落とした。
そして。
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「ずりぃぃよ!!あんなん勝てるワケないじゃないっすか!!」
「お前はよく頑張ったよ・・・」
ほっぺたにガーゼを当てて医務室から出て来るなり地団駄を踏む迅雷を、煌熾が慰めた。その煌熾も煌熾で、なかなか痛々しい格好ではある。
初っ端から雪姫と煌熾がこぞって慈音を隔離するように動いたせいで、実質迅雷は1対2の試合を強要されてしまった。しかしながら、迅雷は慈音の結界魔法による妨害を警戒されることを予想していたし、なにより慈音の能力が勝敗を左右するとさえ思っていたので、そうならないように立ち回りは考えていたのだ。
もっとも、そんな立ち回りがあるとすれば、具体的には、慈音に攻撃する余裕を与えないことしかない。迅雷が全開で畳み掛けて二人まとめて自分に釘付けにし、かなぐり捨てた防御は慈音に補ってもらう。実際、それくらい前のめりに攻撃を行わなければ相手ペア、特に雪姫の注意は引けないのは確かだった。
しかし、真に恐ろしいのはその雪姫の能力の高さであった。迅雷の立てた前提を覆し、最大火力・最大速度で突撃してきた迅雷を単独で抑え込んで煌熾を慈音に向かわせてしまったのだから、この時点で迅雷の勝ち筋は閉ざされていた。やはりというか、遠距離戦が得意と見せかけて迅雷と近接戦でも渡り合ってくる彼女の状況対応力には舌を巻くしかない。
そのまま煌熾の魔法によって慈音は視界を遮られたことで迅雷のサポート不可能となってしまった。ちなみに、実際は結界魔法の座標を誤って迅雷の体内に結界を生成してしまった場合でも慈音の魔法であれば迅雷の魔力量に押し潰されて発動する前に掻き消されてしまうので、味方内で誤射の危険性はなかった。しかし、雪姫と煌熾は必ずしも安全とは言えない。仮に彼らの体内に結界を作ってしまった場合、内臓を押し潰したり体が真っ二つになったりする、R-18Gな事故が起きてしまう可能性があるのだ。
すなわち、雪姫たちは慈音を戦闘から除外するというより、慈音に対して自分たちを人質に取ることで戦闘を有利に進めることに成功したというのがより厳密だ。当然、慈音はそのような危険な状況で無闇に魔法を使えない。
そして、敵陣のど真ん中であえなく孤立させられた迅雷は、そのまま獅子奮迅の猛攻虚しく敗北を待つのみとなった―――かと言えば、そうでもない。
不利になったのは確かだ。自分で防御も考えなければならなくなった以上、少なからず攻撃の手が緩む。そうすると雪姫が空いた手でさらに慈音に対するロックを硬くしてしまう。もはや慈音からのサポートは絶望的だった。
でも、迅雷にだって切り札はあった。まぁここではその切り札がなにかは言わないのだが。
その最後の手札を切った迅雷は、そのまま雪姫と煌熾を攻撃―――はせず、慈音の救出に向かった。迅雷の狙いを阻止しようとした煌熾だったが、さしもの彼も件の切り札の前ではカウンターを食らってしまう。一撃の下に煌熾を下し、迅雷は慈音救出に成功する。
だがここで、小賢しいことをする迅雷に対して雪姫が忌々しげに舌打ちしながらも動いた。それは、密着するレベルでの超々至近距離戦闘を仕掛けるという、言ってみれば慈音に対してロックを掛けずとも結界魔法の使用を躊躇させるものだった。
元々、雪姫は自分の負ったリスクをものともしない圧倒的なメンタルも兼ね備えている少女だ。あるときは正面から迅雷の攻撃を捌き、あるときは自分に向かって飛んでくるような軌道で魔法を行使して不意打ちを狙い、またあるときは狼狽えた慈音に対してさえ攻撃の手を伸ばす。変幻自在にきめ細かな吹雪を操る『スノウ』の存在も大きかった。といっても、もはや彼女の頭の中でどれだけの情報が並列的に処理されていたかは迅雷には測り得ない。現実同じことをやろうとしたら脳血管が切れそうだ。
そのまま耐え凌がれた結果、息切れした迅雷は足がもつれて転倒し、直後に床から突き出してきた氷にぶん殴られてノックアウトだった。
「あいつホントに将来ランク7になるんじゃないですか」
「あれだけの戦いでほぼ無傷だもんな。・・・あぁ、俺の立つ瀬がない」
トホホと嘆息する煌熾の肩に手を置く迅雷。二人とも雪姫には置いてけぼりだ。
「としくん、煌熾先輩、おつかれさまー」
あれだけの戦いで無傷だったのはもう1人いる。完全に隔離されて戦闘不能扱いにはなったが、慈音は火傷も凍傷も負っていない。
「いや~、負けちゃったね。やっぱり雪姫ちゃんはすごいなー」
「悔しくないの?」
「うーん、旅行券は欲しかったけど仕方ないよねー。というか、もらっちゃったらもらっちゃったで大変そうだし」
「千影のこと?なんだ、気にしなくて良いのに」
「そうそう、もう気にする必要ないじゃんそんなこと。負けたんだし」
やって来るなり口撃してきたのは無傷第一号。歯噛みする迅雷を見て愉悦に浸っているようだ。さすがドS。これが強者の特権ってヤツか。
雪姫はそのまま、作戦会議だからと疲れてグッタリな煌熾を引きずってどこかへ行ってしまった。次の試合はいよいよ強敵の『山崎組A』だそうで、どうせチームを組んでいるなら敬うべき先輩だろうとトコトン使い潰す気らしい。悲愴感ある煌熾の視線から目を逸らし、迅雷は彼のせめてもの無事を祈るのだった。
●
その後も着々と試合は進み、女性部門では『チームH&T』と『デコボコズ』がつぶし合ったり、ライセンサー部門では受験生タッグが敗退しつつも入賞には成功したり、相変わらず強いベテランチームが上位を占めたり。
そして。
『各部門の激戦を制し、今年の優勝を勝ち取ったのはこの4チームだ!!』
そこには、ちゃっかり獲得したトロフィーをヘロヘロの煌熾に持たせている雪姫の姿が。さすがに後半は辛勝の積み重ねになったが、雪姫の巧みな戦略(と煌熾先輩の粉骨砕身のご奉仕)のおかげで並み居るベテランをも退け栄光を掴み取ったのだった。また話題になるなぁ、と面倒臭そうにコメントを残して雪姫は壇を降りる。COOL!!
○
「さすがお姉ちゃん!大好き!!」
「はいはい」
もうここまでくると、煌熾はイチャつく天田姉妹を見ていて謎の達成感に穏やかな笑みを浮かべられるくらいには悟りを開いていた。菩薩の心境である。
しかし、そもそも最強決定戦に出られなかった千影を初めとして、そう簡単に納得出来ない連中もいるわけで・・・。
「とっしー、こうなったら自腹で旅行に行こう」
「ふむ、悪くない提案だ」
「じゃあオレも」
「わー、みんなで旅行かぁ、いいねー」
「な、なぁ神代。それって俺もついてって大丈夫か・・・?」
「オイなんで全員ついてくる雰囲気なの」
水を差されて露骨に嫌そうな顔をする雪姫。これは修学旅行じゃないのだ。こんな大所帯で出掛けても落ち着かない。しかも、話を聞きつけた向日葵やら友香やら、知った顔がワラワラと集まってくる。
しかしなんと、そこでなぜか千影が雪姫に同調した。いや、考えてみればなぜということもないか。
「そうだよ。ボクはとっしーと二人っきりでろまんちっくな旅をするんだからね!」
「えー、なんで。みんなの方が楽しいよ」
「ウチは姉妹水入らずってことで」
「じゃあ慈音ちゃんはオレがいただいて―――痛い!!」
後ろから現れた涼に背中をつねられた真牙が退場する。余り物となってしまった慈音と煌熾は顔を見合わせたが、そこでまだ具体的な意見を言っていないのが1人いたことを思い出し、2人でそっちを見た。
「としくん!どう思う!?」
「神代、お前はどうだ?」
「え、俺?・・・う、うーん・・・」
迅雷としては正直、別に千影と2人でも悪くない。・・・が、天田姉妹も捨てがたい。あんまり慈音に寂しい思いもさせたくない。あと煌熾もあんなに頑張っていたのだから、そんなに邪険にしたら心が痛む。というか雪姫は痛まないのか。いや、痛まないか、雪姫だし。というか真牙はどうしたら良いんだろう。
要項の整理をするとこうだ。まず、誰も具体的に行きたい場所は決めていない。迅雷はとりあえず、そこはかとなく旅行な気分なだけ。何人で行くかは気にしないが、一方で慈音がみんなで行きたがっているのを尊重したくはある。慈音はせっかく旅行するなら、楽しさを出来るだけ多くの友達と共有したいのだ。
以上の要件を満たす妥協案があるとするならば―――。
「じゃあ泊まるところだけ一緒にして各自好きなように観光したら良いんじゃないすか?ほら、夜帰ってきたら飯食いながらその日の話をしたりとか出来るし」
『じゃ、それで』
雪姫と夏姫を除いて満場一致。迅雷は自分で言っておきながら「良いんかい」とツッコんでしまった。渋い顔をする雪姫の方を見て、迅雷は手を合わせる。
「ということなんで」
「いや、あたしの意見どうなってんの」
「和を以て貴しと為そうぜ」
「使い方あってんのそれ」
※あってます。
「だーもう、ホントに頑固だな。こうなったら仕方がない」
和を以て貴しと為すことに抵抗がある雪姫の説得は一旦諦め、それならばと迅雷はそっと夏姫の手を握った。
「夏姫ちゃん・・・」
「は、はい!?」
「お姉ちゃんにみんなと仲良くするように説得してくれない?」
「え、いや、その・・・」
「夏姫ちゃんはみんながいたら嫌?」
「そ、その聞き方ズルくないですか?迅雷くんのそういう汚いところが気に食わないです!」
「んふふ」
「ニヤニヤするな~!!」
「とりあえず嫌じゃないんでしょ?」
「・・・ま、まぁ・・・はい」
「ありがとうー!!」
夏姫に感謝のハグをしようとして雪姫に額を足蹴にされながら、迅雷は雪姫に人差し指を突き付けた。
「ほ、ほら聞いただろ!これはもう折れるしかないぞ!」
「はぁ。夏姫は?それで良いの?」
「あー・・・うん」
迅雷の方もチラチラ見ながら、夏姫は恐る恐る首を縦に振った。慈音あたりからキラキラした視線も飛んできて、雪姫は大きく溜息を吐く。優勝賞品でもらったチケット使って旅行に行くなんて言ったって、普通なら「良いなぁ」とか「羨ましいなぁ」で終わる話ではないのか。お土産を買ってくるだけではダメなのか。
「あーあ・・・ゆっくり出来ると思ったのに。これじゃ旅行計画立てるのも大変だわ」
シニカルな笑みを浮かべた雪姫だが、こう見えて内心、満更でもなかった。
「よし決まり!別に計画なんて適当で良いんだよ。行き当たりばったりだって悪くないもんだろ」
「ま、それもそうかもね」
既に夏姫が持っていた優勝賞品の封筒は封を切られて、何ヶ所かの中から選べるらしい旅行先で千影と夏姫が論争を繰り広げている。迅雷も雪姫も肩をすくめて顔を見合わせ、和を以て貴しと為すべく話の輪に割って入るのだった。
to be continued...?
まさかの来年に続く(ネタ確保やったね!!)
温泉回かぁ。異世界に温泉旅行してもいいよね。
それでは皆様、改めまして、こんな感じの作品ではありますがどうぞよろしくお願いいたします。