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LINKED HORIZON ~異世界とか外国より身近なんですが~  作者: タイロン
第一章 episode1『寝覚めの夢』
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Connection ; ep.1 to ep.2

 4月12日、月曜日。一央市ギルド研究棟にて『ゲゲイ・ゼラ』らしき(・・・)生物本体は消滅してしまったが、その場に残っていた魔力痕や映像解析が進んでいた。


 「うーん・・・、アレ(・・)は一体なんだったんでしょうか?」


 怪物と多数のライセンサーが交戦していた場面の映像を繰り返し見ながら研究員の1人がいかにも分からないといったようにそう言った。

 


 「『ゲゲイ・ゼラ』ってあんな強かったですかね?というか元々『ゲゲイ・ゼラ』は黒色魔力生物(・・・・・・)じゃなかった(・・・・・・)と思うんですけどね?『黒閃』を撃つなんておかしいですよ」


  

 そう。『ゲゲイ・ゼラ』は本来あんな攻撃手段など持っていなかったはずだった。しかし、残っていた魔力を解析すると、それは明らかに黒い色を示していた。


 大抵の異界生物はその魔力の『原色』が『灰色』、または人間と同じ『白』である。しかし、中には灰色を通り越して黒い魔力原色を持つ生物もいる。

 『黒』は、『灰色』と『白』のそのどちらよりも高エネルギーで、エレメント流動性、凝縮時の性質などどれをとっても他とは明らかに違う特性を示す。

 これは魔界を中心に一部の限られた世界や、稀にいる例外にしか見られない魔力で、もちろん『ゲゲイ・ゼラ』の原産地である『ニーヴェルン・ラ・シム』は例外などではなく、黒色魔力を持つ生物などはいないはずだった。


 「でも発見時は通常だっただろ。・・・期間的に突然変異とは考えにくいし・・・」


 一緒に映像を見ていた他の研究員も、この事態には頭を抱えていた。一体あの時、5番ダンジョン内ではなにが起こっていたのだろう。唯一の当事者である『セブンスターズ』のメンバーも全員が一命は取り留めたものの、意識不明の重体で集中治療を受けている。


 数日後、この件は一時的に一般には非公開としてIAMO内では『ゲゲイ・ゼラ亜種』として研究が進められることとなった。



          ●



 4月11日、日曜日、午後8時過ぎ。マンティオ学園の職員室にて。先ほど、1年生の神代迅雷(みしろとしなり)が重傷を負って入院した、という情報と共に、彼の魔力の件についても情報が入ってきた。

 話を受けた教頭は受話器を置いてから、迅雷の担任である真波(まなみ)を呼んだ。呼ばれた真波も教頭の様子を見て急ぎ足でに彼のデスクに向かう。


 「どうしたんです、そんな真剣な顔をして?」


 「・・・君のクラスの神代君が怪我で入院したそうだよ」


 「えぇっ!?だ、大丈夫なんですか!?」


 想像以上に心臓に悪い内容だったので真波は危うくひっくり返りそうになった。


 「あぁ、うん。命に別状はないらしいねぇ。私もほっとしたよ。軽い応急処置が施されていたから問題なかったとのことだねぇ。まぁ、だから心配はないとのことだよ?」


 そう言われて真波は肩の力を抜いた。大事な生徒に万が一の事があったら、と思うとどうにもじっとしていられなかった。



 「それとねぇ、志田(しだ)先生」



 教頭が話を切り替えた。


 「彼、CEM(先天性魔力過剰)だったみたいだねぇ。『抑制(レストリクション)』が壊れて凄まじい魔力利用になっているらしいよ?」


 「・・・・・・!?それは、本当・・・ですか?」


 真波が信じられないといったように聞き返すと、教頭は黙って頷いた。

 それから、真波はニヤリと笑う。


 「本当に・・・今年はツイていますね。教頭先生、これなら本当に私たちの悲願も・・・!」


 「あぁ。そうだねぇ。でも焦ってはいけないよ?計画に備え、じっくりと整えていこう」


 「そ、そうですね。では、失礼します」


 そう言って真波は自分のデスクに戻っていった。


 教頭は窓の外に目をやりながら、目を細めた。


 「・・・・・・いやはや、本当に、本当に楽しみだねぇ?オラーニア・・・」



          ●



 同日深夜。千影と迅雷を診た医師は、1人暗い部屋で考えに(ふけ)っていた。


 「・・・・・・あの少女、そういうことだったのか・・・」


 検査表を片手に、初めて見た実例に医師は様々な思いを巡らせていた。


 コンコン、と部屋のドアがノックされた。気のない返事をすると、看護婦が1人入ってきた。


 「先生、今日入院してきたあの男の子、なかなか可愛い顔してますよね」


 「それは私に言われても困るんだが。私的にはあの女の子の方が可愛い顔してたと思うけどね?」


 「通報しますね」


 医師は慌ててポケットを漁り始めた看護婦を押さえ付けた。今の世の中理不尽だ。なんとも世知辛い。


 「・・・で、本題はなにかな?こんな時間に来るんだ、なにか気になったけど聞きづらくて結局今になったんだろう?」


 「さすが先生。・・・その男の子の手首に入っていたあの刺青って、なんなんです?」


 「・・・それか・・・。あれは『制限(リミテーション)』だよ」


 「・・・!?そ、それって・・・」


 「あぁ、間違いなく犯罪だな。一般人が勝手に人の魔力を封じるなんて」


 しかし、と医師は続けた。 


 「あれは看過するべきだと私は思うよ」

 

 

 

ここまで読んでくださった方々には深い感謝を、ここから読んでくださった方は初めまして。約3ヶ月。第1話の完結までそれだけの時間がかかってしまいました。あまりに冗長な表現が多かったことは反省点かと思っています。今回の作者なりに目指していたのが迅雷の心情の微妙な機微の描写です。もしそれが伝わっていたら幸いです。個人的に今回一番格好良かったのは慈音ですね。あと雪姫が強すぎる?ような気が・・・。

 まだ物語は初めの始め、序盤中の序盤です。返す返すしつこいかもしれませんが、今後とも、こんな駄文しか書けない初心者作者ですがよろしくお願いいたします。

 それでは一旦ここで筆を置くとして、また火曜日の朝8時にお会いしましょう!

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