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1話-バルシャの様なナニカを見たガレー海賊-海賊視点-

****


 俺達はこの辺の海軍もびびる。ヴァルヴァ海賊よ。

 今日もこの厳ついガレー船で新手の獲物を探してるところだった。


「船長! 今日は活きの良い商船でもいりゃいいですね!」

「そうだな。ここんところ、美味しい船がいねーからなぁ」


 そんなときだ、マストにのぼっていた部下が望遠鏡を片手にソレを見つけて叫んだ。


「船長ー! ちっこい船を発見しやしたァー!

 小型のバルシャっぽいですぜェーーー!」


 この海域一帯で小さい船だと?

 なめてるのか?

 ここは俺たちヴァルヴァ海賊のなわばりだぞ?

 そんじょそこらの海賊とは分けが違う!

 俺たちを見てびびらねぇ奴なんていねーぜ!


 こんな危険海域にただのひよっこ船が入って来ていい場所じゃねえ。

 どこの馬鹿野郎だ?


 海軍の船……なら分かる。俺達を狙っているからな。

 交易船……も、分かるが、あれはそこそこデカイ。そして俺たちにしてみれば美味しい。

 漁船……か? いやいや、それなら陸地近くを離れないはずだ。

 わけがわからねぇ……。


「なんだぁそりゃーー?」


 思わず俺の声も裏返る。

 ちょっとした唖然とした気分だぜ。


「ちっこい帆船かとおもいやすゥー!」


 上から大声で部下が叫ぶと、俺の隣に居た屈強な筋肉質の部下が笑い声をあげた。


「ガハハハハ!

 船ー長ー!

 ちいせぇ帆船らしいですぜ!

 きっと何もしらねえ、間抜けか何かでしょうぜ!

 ここは、一気に近づいて砲弾でも一発ぶっ放して驚かしやすかねェ?

 面白いと思いますぜ俺!」


「まて、罠かもしれんだろ!

 それに砲弾がもったいねェ!

 武装はしてるのかァアー!」


 俺が声をあげて問うと、部下もまた大きな声で返した。


「そこまでは分かりやせんンンーー!

 こっちに気がついて急旋廻しやしたァーーー!」


 こっちに気がついて急旋回?

 なんだ? 逃げ切れる気でもあるのか?

 それとも何かの罠か?


「急旋回だと? 海をしらねえやつだな?

 そんな事してみろ、船がぶったおれちまうぞ?」


 いかに小型船とはいえ、急な旋廻なんて出来るはずもねぇ。

 そんな船は武装船か俺達みたいなガレー船くらいなもんだ。


 わけがわからなくなってきた。

 小型船ごときで、俺たちの船が追いつけないわけがねぇし、俺達を見て逃げるなんて事をしてみろ。それこそ、身包み剥がされるだけじゃすまねぇ。捕まえて袋叩きにして、最後は魚の餌決定だぞ?


「船長ーーーー!」


 さらに上からの驚きの声の報告が続く。


「今度はなんだぁああーー!」


「は、離されて行きやすぅぅーーー!

 なんていう速さだぁあああ!」


 まるで化け物でも見たような声に俺はイラッとした。


「ふざけた事いってんじゃねえぞ!」


 部下の言葉に俺は怒り心頭でマストを駆けのぼった。

 ただの小型船に放されるガレーがいてたまるか!

 唖然としている部下から望遠鏡をぶんどる。


「貸せ!」

 

「みてくだせえ! あの奥です!

 さっきはもっと見やすかったんですゼ!

 海の神様に誓って嘘は言わねーですゼ!!」


「お前の頭でもイカレたか何かの見間違いだろ!

 いっつもイカレてるけどな!

 …………アァッ!?」


 部下の言ってることは本当だった。


「どんどん離されてるぞ!

 なんだあの速度は!

 本当に小型船か!?」


 確かにちっちぇ小型船らしきものがドンドン俺たちの船から遠くへと消えていこうとしていた。


「なんなんだあの船は! 海軍の新型船か?」


「わ、わからねーっす!

 ただ野郎とんでもなく速ぇ!

 あんな船見たこともねェ!」


「なら是が非でも欲しいッ!

 どこの国のモンかわからねえが、良い度胸じゃねーか!」


 俺はスルスルとロープを伝って船に戻ると、声を荒げた。


「確かになめた奴がいるっ! 全速力で追っかけるぞ!

 野郎共、仕事にカカレェ!!」


「「「応よーーーッ!」」」


 男達が駆け足で所定の位置につき、勢い良くオールを漕ぎ始める。

 男達の熱い一漕ぎ、一漕ぎがガレー船の速度をあげていく。

 たかが小型船風情で、このガレーから逃げられると思うなよ!

 久々の獲物に俺の口角があがった。



****



 俺たちは頑張った。頑張って漕いだ……。

 船長の俺も混ざって久々に漕いだんだぞ!

 そりゃ無我夢中でな!

 しかし……これは夢か何かか?

 それとも、俺たちが悪いのか?

 どんなに漕いでも、どんなに急いでも小型船に追いつかなかった。

 ゆっくりと着実に離されてやがる……。


「せ、船長! こいつぁ……。 幽霊船か何かじゃねーっすか?」


「何なんだよアイツ! どんどん離れていってやがる!」


「引き返しやしょうぜー! 悪魔か何かですぜアレ!

 あんな速い小型船あっちゃいけねーっすよ!」


「こえーよ! 船長! 俺こえーよーーー!!」


 仕舞いには何も恐れない俺たちヴァルヴァ海賊が恐怖を感じていたぜ……。

 俺も額から、手から、あちこちから冷や汗がとまらねぇ……。

 俺は手を上げてグルグルとまわした。

 悔しいが撤収の合図だ。これ以上追っかけまわしても逃げられちゃ意味がねえし、何より部下共の士気に関わる。


「いいか野郎共! 今日見たこたぁ忘れろ!

 俺たちゃ天下のヴァルヴァ海賊だ!

あんなチンケな小船に追いつけねぇッとあっちゃ、笑われもんだ!」


「「「アイサー船長!!!」」」


 くそったれめ! なんなんだあの船は!

 俺は手短にあった樽を蹴って怒りを爆発させた。

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