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悪魔殺しの悪魔堕ち  作者: 姫廻 航
始まりの街
1/15

奇妙な二人

 雨がしとしとと降り注ぐ夜に場末の宿場に客が訪れている。

「いらっしゃい。何名だい?」

 宿を経営している男が扉を開けた客に問いかける。その客は珍妙な組み合わせだった。

 男女二人組みなのだが、男の方はまるで人形のように生気がなく、身体には麻の質素なシャツとお世辞にもきれいとは言えないローブを羽織っていた。年は見た目からして十五歳かそこらだろうか。男は一見男とは思えないほど華奢な身体をしていた。

 女の方は第一印象からして小さかった。顔や髪はローブを羽織っていて見えなかったが、ローブの品質が少年の物とは明らかに違った。少年の物よりも高級なものであることが目利きの効かない男の目にも明らかだった。纏う雰囲気はどこか人間離れしていたように思う。

「二人だ。部屋は同じでいい」

 少年が男に告げる。男にしてみれば久しぶりの客だ。収入が期待できるのであるならば目の前の男女が異質なものに映ろうと関係なかった。

「へいへい。これが鍵だ。何泊の予定で?」

 今この町には良くない噂が広がっているせいで一泊もしない客が増えた。恐らく一泊が良いところで雨を避けて夜を過ごすために泊ったのだろう。

「しばらくこの町には留まるつもりなんだ。一日ずつ払っていくよ。とりあえず一泊分」

 男の考えを裏切る少年の言葉に男は目を丸くする。

「お、お客さん。失礼ですが今この町には悪魔がいると噂されておりまして、それをご存知の上でお泊まりを……?」

 もしかすると噂を知らないのではないかと思い声をかける。もしも、止まった客が襲われた死んだなんてことになったら信用問題だ。ただでさえ、少ない収入が更に減ってしまう。だが、少年は首を横に振った。

「いや、知ってるよ。だからこの町に来たんだ」

 そのまま男に金を払い、借りた部屋へと行くべく、階段を登って行った。













「ほう。なかなか良い部屋ではないか。我にとっては豚小屋だが、貴様にとっては上等であろう?」

 部屋に入り、少女が少年へと声をかける。その言葉は高圧的で、さながら女王のようであった。

「うるさい。お前には関係ないだろう? どうせ寝る必要もないんだ。ネリス」

 ネリスと呼ばれた少女は不遜な態度で鼻を鳴らした。

「相変わらず、我に対して随分な口を聞くではないか。ええ? ストウよ」

 ネリスとストウ。これがこの少女と少年の名前だった。

 ローブを脱いだネリスはそのままベッドへとダイブする。足を組み、ストウを見下すように座っていた。

 同じようにローブを脱いだストウは肩の関節を二、三回回して答える。

「言ったろ。身体はてめぇにくれてやる。だけど心は俺の物だ。絶対に服従なんかしてやるもんか」

 強気に言い返すストウに憐れむような視線を向けるネリス。この二人の関係はどうやら一言で説明できるものではないらしい。

「まぁ、我は心が広いが故に許してやろう。だが、忘れるなよ。貴様の身体はすでに我のためにあるのと同義なんじゃからな」

「分かってるよ」

 ストウは素っ気なく言葉を返す。

「明日からはしばらくこの町を歩き回らないといけないんだ。とりあえず寝させてくれても構わないだろ?」

「まったく人間の身体は不便だのぉ。貴様も寝る必要など無いくせに。人間の真似も大変じゃのう」

 ぶつくさ言いながらネリスはベッドに身をよこたわせ、目を閉じる。一見すると眠っているように見えるが、実際には瞑想に近いらしい。

本人曰く、「無駄な体力を使いたくない」ということらしいが。

「俺も寝るかな……」

 雨露を避けてきたローブを壁にかけ、ネリスが寝転がったのとは違うベッドに身を潜らせた。

いつまでたっても眠ることは出来なかったが












「こら。起きんか」

 無遠慮な声に起こされストウは目を擦った。睡眠などとれてはいないが、ストウにとっては大切なことなのだ。目の前には当然ながらネリスが偉そうに立っている。

「もうそんな時間か」

 窓の外を見るとすでに光が差し込んでいた。

「行くか」

「貴様を待っておるんじゃ。早くせい」

 宿の男に挨拶をしてから町に繰り出す。

 町を見て回ってみるとあることに気づく。町には異常に活気がないのだ。確かに小さな町ではあるのだが地理的に交通の便も良く、商人や旅人が闊歩していたり商売をしているのが自然のように思える。

だが、街には露店を出している商人も居なければ、元気に遊ぶ子どもの姿も見えない。

何かが起きているのは確かだった。

「やっぱり活気がないな。これは居ると見ても良いのか?」

 ストウの質問にネリスは答える。

「そうじゃのう。人間の町など興味は無いが、噂を考えるとここに居るのは可能性が高いだろうな」

 先程から言われている噂というのはこの町に最近夜な夜な人が死んでいるというのだ。体は無数の切り傷があり、殺人であることは間違いない。だが、犯人を特定することもできず、犯行手段も残虐極まりないということから悪魔の仕業と言われていた。その悪魔の噂を聞きつけたのがストウとネリスなのだ。

「今日から夜に歩き回るぞ。早く見つけないと」

「当然我のためであろうな」

 人間など興味がないと言わんばかりのぞんざいな態度で問いかけるネリスに

「……そうだよ」

 ストウは顔を歪めながら答えるしかなかった。



初めて小説家になろうに投稿しました。つたない文でお見苦しいところがあるかとは思いますがどうかよろしくお願いします

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