表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

ぼくにも出来る事 b-3

「正解。さすがだ!」


 黒板から自分の机へと戻り、僕は席に着いた。

 クラス中から何らかの視線が僕を射抜いている。僕は照れたように笑みを返した。

 僕は優等生を演じている……訳ではない。高校生活を送れるなんて夢のようだったのだ。だから、その生活が勉強が解らないなんて事で崩れないように頑張った。その結果が、俗に優等生と呼ばれる状態になっただけだった。

 そして気がついたのだ。

 優等生は、クラスから疎まれる存在だということに。

 見本がすぐそばにあると、先生達は声を揃えてこういう。

『あいつを見習え』と。

 それが青春を謳歌したい高校生には鬱陶しいったらないのだ。というか、規則なんかにちゃんと準ずることが嫌なのだ。理由はなんとなく。

 だから僕には友達は居ない。

 僕は付き合いが悪いし、しょうがないのだ。

 別に、高校生の友達が欲しいとも思わなかった。

 僕にはたくさんの部下が居た。信頼関係もかなりのものだと思っていた。

 お嬢様が捨て駒のように扱う彼らを、お嬢様の屋敷に居る皆がゴミのように扱う彼らを、僕だけは一人一人と向き合っていたからだ。

 ……ああくそ、やっぱり訂正します。

 僕は、やっぱり友達、高校生の友達が欲しかった。

 あれ? そう言えばいるんだった。

 でもなぁ、なんか、幼なじみって友達ってのとは違うような気がするんだよな。僕は純粋に、高校生になってからの友達が欲しかった。

 結局、高望みだとは思っていたけど。


「よう。相変わらず勤勉だな。正直俺には無理だぜ」


 休み時間、そう言って親友は僕の肩を叩いて来た。

 僕は休み時間に次の授業の予習をする。実際の所、放課後にする時間がないだけなのだが、どうにも皆勘違いしているようだった。授業内容は習いながら反復し、その日のうちに覚える。宿題だって学校で終わらせる。

 そして放課後、僕は帰宅部なので急いで帰るのだった。


「勉強しに学校に来てるんだから、当然だろ?」

「……いや、それは当然とは言わないんだな、今の日本は。高校は青春を謳歌する場所であって、勉学に励む場所ではないのだよ。勉強なんてやろうと思えば、いつでもどこでも出来るんだからさ」

「そう思わないから、学校で勉強するんだろ?」

「優等生の解答とは思えないな……」

「別に、僕は優等生じゃないよ。それだったら、委員会くらい参加しているさ」


 そう、僕は委員会には参加していない。部活にも参加していなかった。

 参加する時間がなかったから。

 ちなみに、本来なら優等生がいるべきクラス代表のポジションに居るのが、この親友だったりする。彼は、


「お前がクラス代表やるくらいなら、俺がやる!」


 と言って勝手に立候補した猛者だ。

 僕の何が気に喰わなかったかは知らないが、正直助かったのだった。

 クラス中の僕を推薦しようと言う視線が、溜まらなく辛かったから。

 それを察してくらたと思いたい。

 なんだかんだ言って、彼は僕の大切なもう一人の親友だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ