運命
いつからだろう、こんなに運がないのは…会社を興せば3ヶ月で倒産、住むところもなく、借金は膨れ上がる一方。人生は辛い事ばかり、良い事なんて起こらない、いっそ死んで楽になりたかった。
「この街は変わらない…… 俺もここまでだ……」
ビルの上から街を見下ろしながらタバコに火を点けた。
「俺は人生に負けたんだ……」
ゆっくりと倒れこむようにビルから飛び降りた。
「おーい大丈夫か?」
「なんで? 何で生きてるんだ?」
そこはまだビルの上だった。多分ものすごい風が吹いて押し戻された?
「あんた頭打って気絶してただけだよ」
「なんで死なせてくれない、死ぬことも許さないのか」
「ほれ! これ使いな」
包みを渡された。意味不明のおっさんの行動。
「ほっといてくれ、俺は今から死ぬんだよ!!」
「いいから持っとき」
消えるようにおっさんは何処かへ行った。
「何なんだ」
包みを開けると箱が入っていた。
「運メーター?」
運メーターと書かれた箱、中身は取り扱い説明書と、たまご型のおもちゃみたいなのが入っていた。取り扱い説明書を見ると
「これは貴方の持っている運を自由自在に操ることが出来ます、運メーターは今現在の貴方の運です」
「俺の運がわかるのか……いったいどのくらいあるんだ」
「―――ピ、ピー」
「95%」
「そんなに運があるのか、えーと使い方、右のボタンが1の位で、左のボタンが10の位」
「死ぬ前に使ってみるか……」
とりあえず1%使ってみた、すると急に見慣れた紙が振って来た。
「金だ、金が振って来た!」
空から金が降ってくるのが不思議で空を見上げた。
「ヘリ? アレが金をばら撒いているのか?」
しかしこれは私だけに起きたことじゃなく皆に起きていることだ。だが不思議だ、金が此方ばかりに振ってくる、何でだ?ここばかり振ってくる。
「風……?」
さっき俺に吹いた風が今また俺に吹いている、独り占めに近い状態に驚き、金を握り締め不思議と涙が溢れ出てくる、いつも運がなかった俺、今俺に風が吹いている!
「うっ……うっ……ありがとうございます、ありがとうございます」
ここから俺は変わるんだ、今俺は生まれ変わったんだ、第二の人生。100万円近くの金を手にしてその場に崩れこんだ。
それからの俺の人生は成功するばかり、これからどんなことがあろうと俺は一生楽して暮らせる、しかし幸運とはちょっと違う感じがする、最初のころは面白いように金が増えていく、その金を使い遊ぶ、高級マンションや車、時計、宝石、酒や料理。
「もっと幸運になりたい、誰もなったことのない幸運に……」
運メーターはまだ55%残っている、5%だけ残して50%一気に使ったらいったいどんな幸運が待っているのだろう。考えただけで笑ってしまう。
「さぁ! どんなことが起こるんだ!?」
運とは幸運だけじゃない、どんなに幸運が続いても必ず不運が付きまとう。欲を出しすぎる人間には特に……