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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第一章 異世界
9/19

9.スライムってかわいいですよね

 依頼人は、穏やかそうな老人だった。

「庭にスライムって……よくあるんですか?」

「ああ、これで何回目か……。攻撃はしてこないんだけれど、花壇が荒らされたり、芝生が食べられたりで大変なんだよ……」

 老人は、困った顔で言う。


「そのスライムって、いつも同じやつなんですか?」

「ああ、たぶんそうだね。特徴的な、吸い込まれるような青色をしているんだよ」

「なるほど……。まあとりあえず、そのスライムのところに案内してください」

「ああ、分かった。ええと、今はたぶん、裏の畑でほうれん草を食べているんじゃないかな?」

 そう言いながら、老人は家の裏手にある広大な畑へと俺らを案内する。


 その真ん中あたり、確かに青色のスライムが畑の作物にぱくついていた。

 雑魚だな。槍で一突きだろう。

 そう思い、2人の方を見ると……。


「何あれ、めっちゃかわいい!!」

「ねえ、あれ私たちで飼わない!? ねえ神埼君、いいでしょ?」

「いや俺に言われても……。おじいさん、いいですかね?」

 俺が老人に聞くと、老人は快諾してくれた。

「スライムがいなくなるんなら、何でもいいよ。報酬もちゃんと払うさ」

「わあ、ありがとうございます!」

 ということで、スライム退治作戦は、スライム捕獲作戦へと変更された。


 スライムは、倒すのは簡単だが、捕まえるのは難しい。

 畑を荒らさずに捕まえるのは、なおのこと。

 なんとか誘導して捕まえたりかな……。そう思っていると。


 スライムが、なぜか榎田のもとに駆け寄ってきた。

 え? スライムは人に懐かないはずじゃ……?

「ああ、わたしの能力、『魔物使い(テイマー)』なんよ」

 こうして、「スライム使いの榎田菜奈」(自称)が爆誕した。


 その晩。

「だめ!モンスターなんて、飼えるわけないでしょ」

「いいじゃん、私に懐いてんだし、私魔物使い(テイマー)だよ?」

「でもねぇ、いくらスライムといっても、飼うのにはお金もかかるし……」

「いらないよ、スライムの食べ物は草だよ?『情報』で、知ってるっしょ?」

「うっ……。はあ、仕方ないわねぇ。いいわよ。ただし、責任は取ってね」

 榎田が、日比野をうまいこと丸め込み、スライムの飼育許可を得た。


 ちなみに、魔物使い(テイマー)というのは、あくまで「自分より弱い」魔物を使役する能力である。

 よって、ドラゴンだのオーガだのを手なずけることはできない。

 うまいバランス調整だ。


「ねえ、このスライム、名前つけない?」

 怒られたショックからすっかり回復した三城が言った。

「そうだねぇ……スライムとスマイルで、すまいむとか?」

「いいじゃんそれ! 採用!」

 千曲の案が採用された。



 ちなみに、本日の収入は、合計30000カラン。

 食費に11000カラン。

 今はパーティーの人たちの厚意で宿に泊めてもらっているが、いつまでも頼るわけにもいかない。

 残りは、クラスで管理する貯金箱に保管することにした。

 魔法鍵の貯金箱が2000カラン。

 17000カランが、貯金箱へと吸い込まれる。

 この貯金箱は、設定した全員で一斉に呪文を唱えないと、開かない。

 盗まれることはないだろう。

 一安心して、22人と1スライムは、幸せな眠りについた。

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