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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第六章 北方事変
80/107

80.ロンメルを追って

 まだ鋭い痛みののこる頭をさすりながら、俺たちは北方迎撃隊に合流する。

 アンデッド化の心配がなくなった彼らは、一気に攻勢をかけ、戦線を前進させた。

 敵はすでに源流地域から撤退し、戦闘を行いながら撤退しているそうだ。

 腐っても魔王軍幹部とその部下、遅滞戦術とはいえこちらの被害も大きい。

 4人に回復要員の千曲を加えた5人で、前線へ足早に向かう。


「君たちが霊術師(ネクロマンサー)を倒してくれたのか。感謝するよ。

 おかげで状況は好転している……と言いたいところだが、まだ劣勢だ。

 こちらの方が多く損害を出している。このままだと、状況を知ったロンメルが攻撃を加えてくるかもしれん。

 そうしたら、今度こそ戦線は瓦解する」

 指揮官は首をすくめる。

「とりあえず、千曲は負傷者の救護を。俺たちは行くぞ」

 俺たちは前線まで走る。


「『火炎旋風』! うーん、なかなか上手くいかんな」

 炎の渦は、豊かな自然を破壊したのみだった。

「バインド! ……よけられる。困ったねぇ」

「どうしたもんかね……。

 あっ、寺田なら追いつけるんじゃね? ロンメル、見たところライオンかトラの獣人だろ。

 お前も猫だからああああああ!!」

 今度は、井川の頭が餌食となった。

 というかネコ科の動物にツノは生えてないだろ。


 結局、しぶしぶ寺田は協力してくれた。

 人間サイズの猫の姿に変身すると、たちまちロンメルに追いつく。

 獣人の部隊であることが幸いし、全く気づかれていない。

「全員、このまま攻撃を続けつつ撤退しろ! 安全な場所まで逃げ、そこから魔王城まで転移する」

 ロンメルも、寺田には見向きもせず、突っ込んでくる兵士を爪で切り裂きながら進んでいく。

 寺田は、ロンメルが後ろを向いたタイミングで、その首筋に腕を振るう。


「ぎゃっ!」

 という声と共に、高くジャンプしていたその体が地面に叩きつけられる。

 だがさすがは幹部、すぐに立ち上がり、攻撃の主とみた寺田を蹴り飛ばす。

 寺田は数メートル先の藪まで飛んでいった。

「はあ、妙なもんけしかけてくれたな。総員、撤退中止! ここでけりをつけるぞ!」

 ロンメルの声に、他の獣人たちも足を止め、こちらを向く。


「これはまずいな。ここで全面戦闘になれば、こちらが負ける。

 ……おい、ひとつ取り引きをしないか」

 指揮官がロンメルに呼びかける。

「お前と、こちらから1人選んだやつとの一騎打ちをする。それでお前が勝ったら俺たちは撤退する。反対にこっちが勝ったらお前らが退け」

 ロンメルは面白いとばかりに口角を上げる。

「いいだろう。時間はくれてやる、1番強いやつを選べ」


「誰にするよ。あいつに効果的な攻撃は何だ?」

 指揮官は皆に問いかける。

「そうねえ、やっぱ魔王軍幹部を討伐したカンザキくんじゃない?」

「……ん?」

「そうだな。あいつならやってくれるさ」

「……は?」

「おう。期待してるぞ」

「はあああ!?」

 こうして、俺はまたも責任を押し付けられることとなった。


 作戦を色々と立てた後、剣を腰の杖を入れるとこに差して、ロンメルの前に立つ。

「お前は、アザリエルを討伐したカンザキとかいう奴だな。内通者から情報は聞いていたよ」

 ロンメルは、興味深そうに目を細める。

「そうだな。俺の英雄伝リストにお前の名を載せてやるから、感謝しろよ」

「ほざけ、あんな弱いやつを倒しただけで、何をいい気になっている」

「そうだな。お前は確実にあいつより強い。だから……」

 俺はロンメルから飛び退き、距離を大きくとる。

「今だ!」


「「パワード! アクセラレーション! エナジーゲイン! プロテクト!」」

「はっ、おい……!」

「「ソードレインフォース! スピードスペリング! オートエヴェイド! ダメージフリップ!」」

 後ろの修道士たちに、ありったけのバフや能力をもらう。

 攻撃を自動で回避するオートエヴェイドや、ダメージを相手にそっくり反転させるダメージフリップなんかは、国でも一、二を争う冒険者が、特殊能力として保持するレベルの能力だ。

 30分限定だが、それでも非常に大きな助けだ。

 さすがは最強部隊、北方迎撃隊。修道士のレベルも高い。


「おい、一騎打ちで支援魔法は卑怯だろう!」

「そんなこと聞いてないぞ、はあっ!」

 俺は、大きく踏み出し、ロンメルに剣を振りかぶる。

 強化されているおかげで、極めて高速に動ける。

「はっ! ……危ねえ、危うく一撃でやられるところだった」

 ロンメルは紙一重でかわし、さらに後ろに降り立つ。

 ここに、北方事変の最後の戦いが始まる。

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