8.冒険者になりました
次の日。
俺たちは、宿を出て、冒険者ギルドに向かうことにした。
そこで冒険者登録をし、正式な冒険者となるのだ。
ギルドでは、より正確な情報や、おすすめ職業なども教えてくれるらしい。
俺らは、期待と不安の混じった心持ちで、ギルドの扉を開ける。
奥の方に、カウンターのようなところがある。
そこに並び、1人ずつ冒険者登録をする。
前の方から、「体力が高いですね。衛士がおすすめです」だの「回復魔法を覚えやすいのですか。修道士がいいでしょう」だの聞こえてくる。
俺は魔力が高いから、さしずめ魔法使いといったところだろう。
さて、俺の番が来た。
カウンターに置かれた水晶玉に手をかざす。
水晶玉を覗き込んだカウンターの人は、いつも通りの驚いた口調で言う。
「おお、魔力がとても高いですね。魔術師が天職です」
だろうな。
「じゃあ、それでお願いします」
その後、全員が冒険者登録を終えた。
この世界のこともだんだんと分かってきた。
職業には、基本職、上位職、特級職の3種類がある。
今俺らがついたのは全て基本職。
魔法を使い戦う魔術師。
回復や強化などで支援する修道士。
強固な防衛で敵を止める衛士。
剣を振るい、敵と戦う剣士。
器用な立ち回りで、敵を貶める盗賊。
弓や槍一筋で真っ向勝負の弓使いや槍使い。
特殊能力がある人は、適当なのか知らんが賢者にさせられたらしい。
不死者どもを操る霊術師なんてのもいた。
まあ、ギルドの人がおすすめするんだから信用できるだろう。
さらに、俺らが遭遇したケルベロスについても、詳しい情報を得ることができた。
あれは中級魔物で、その辺にいるモンスターではわりかし強いらしい。
1頭だとそこまでだが、群れだと知能を発揮し厄介な敵だそうだ。
俺らが20頭以上のケルベロスと遭遇したということで、慌ててギルドにいた冒険者パーティーが討伐に出かけていった。
ポイズンフロッグ(俺が目ん玉を刺して倒したでかいカエル)はただの雑魚らしい。
俺、結構がんばったんだけどな……。
何はともあれこうして、ここに22人の巨大パーティーが結成した。
内訳は、魔術師6、修道士4、剣士2、衛士2、賢者3、盗賊2、槍使い1、弓使い1、霊術師1。
やや魔術師や修道士が多すぎる気もするが、まあ問題ないとギルドの人は言う。
問題はどちらかというと、人数が多すぎることだそうだ。
しかし、全員レベル1で、分けたらもっと弱くなると思われるので、このままにした。
さて、今日から立派な冒険者。
なので、仕事をしなければならない。
ギルドの掲示板には、まさに玉石混淆といった感じのポスターが貼ってある。
簡単そうなものは、「庭に入り込んだスライムを退治してほしい 1000カラン」とか「迷子の飼い猫を探してほしい 2000カラン」など。
1カラン1円換算なので、22人ではカップ麺も食えない。
しかし、一発で儲かるようなクエストは、「ダンジョン未踏領域探索 参加者募集 一人200000カラン」「南の森の金色龍討伐 一人当たり850000カラン」とかしかない。
命の危機を感じるので、これはやめておく。
結局、パーティーを3,4人ごとの班に分けて、簡単なクエストを数多くこなすことにした。
番号順に班を決めて、俺のところの班員は、榎田と城戸。
嫌な予感しかしないが、まあスライム退治なのでなんとかなるだろう。
俺らは、ギルドを飛び出し、地図を片手に依頼主の家へと向かった。




