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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第五章 王都
68/73

68.しかえしの始まり

「曲者ーーー!」

 男の人が叫んだ。

「ど、どうしよう、見つかっちゃったよ?」

「ひとまずこいつらを倒して、どこかに隠れるぞ!」

 慌てる私をよそに、井川くんが杖を構える。

「あれっ? 魔法が使えない!」

 井川くんが慌てはじめる。


「はっはっは。大したことないではないか。さっさと捕らえてしまえ」

 1人が、こちらに近づいてくる。

「はあっ!!」

 突然、委員長が回し蹴りを放った。

 1人はうめいて倒れる。

「ふう。いろいろ支援魔法をかけてもらっておいて正解だったなぁ」

「おい、何で俺たちにも掛けてくれなかったんだよ!」


「さっさと来い! 侵入者ども、只者じゃないぞ!」

 もう1人が叫ぶ。

 その人が回し蹴りで倒れると、その後ろからたくさんの人が走ってくるのが見えた。

「やばいっ、さすがに多すぎるぞ」

「あそこに隠れようよ!」

 私は、近くのテーブルの下の影を指さす。


「どこに行った!」

「隅々まで探せ! 閣下の部屋の前にも警備員を置いておけ!」

 私たちは、震えながら影の中に隠れている。

「どうやら、ここには外部の人の魔法を使用不能にする結界が張ってあるみたい。さっき井川くんが魔法を使えなかったのは、そのせいかな」

「まじかよ。結界の解除方法は分からねえの?」

「魔法が使えない以上、結界を張った人を倒すしかないね」


「見つかりません!」

「まさか、この部屋の入り口はここしかない。まだ部屋の中にいるはずだ」

 隠れはじめて30分以上がたった。

 まだ見つかってはいないけど、このままだといつ見つかるかわからない。

「三城、短剣か何か持ってるか?」

「うん。はいどうぞ」

 私は、短剣を取り出して井川くんに渡す。


「どうするの?」

「この結界を張ってる奴が現れたら、こいつで倒す。それ以外に方法は無いしな」

「がんばれぇ〜……」

 とりあえず井川くんを信用することにして、その本人がこないとどうしようもない。

 どうするか考えていると、誰か来た。


「閣下、私どもがケリをつけますので、ご安心ください」

「30分以上この狭い部屋を探しても、何も見つけられなかったじゃないか。僕が探すよ」

 周りにたくさんの人を連れて、閣下と呼ばれた人がきた。

「あいつがリーデマンだな」

「うん。……待って、その横の人、結界を張ってる人だ!」

 委員長が、横の銀髪の人を指差す。

「じゃあ、あいつが近づいてくるのを狙って、刺せばいいんだな」


 2人の会話を聞きながら、私はいろいろと考える。

 あれだけ強いしーちゃんが、これだけの人に負けるわけがない。

 たぶん、結界のせいで魔法が使えなかったんだ。

 何でかはわかんないけど、あの人に対してすごく怒りがわいてくる。

「ねえ、短剣返して。私がやる」

 気づけば、そう言っていた。



「作戦は、あいつが近づいてきた瞬間、三城が剣で倒す。すると魔法が使えるようになるから、俺がありったけの魔法で残りを倒す。これでいいな?」

 井川くんの案に、私たちはうなずく。

 ついに、銀髪の人がこっちにきた。

 私は、左手の中の短剣をを4本の指で握りしめる。

「まさか、こんなところにいるわけないしな」

 そう言いながら、私たちがいるテーブルの下を覗きこんでくる。

 今だ!


「しーちゃんのかたきいぃーっ!」

 私は影から飛びだした勢いで、短剣を力のかぎり、銀髪の人の左胸に刺す。

「ぐわああっ!」

 銀髪の人は胸を押さえながら、後ろに倒れる。

 そのまま、急いで影にもどる。

「どうしたスミス! ……死んでる。心臓を一突きだ」

 近くの人が、銀髪の人を抱きあげる。

「よし。地獄の炎よ、我らが敵を焼き尽くせ! 地獄炎(インフェルノ)っ!!」


 目の前に、大きな炎があらわれる。

「何だ!? ……はっ、閣下、お下がりを!」

「いったい誰が魔法を使っているんだ!」

 炎に照らされて影がなくなったので、私たちは床に押し上げられる。

「結界を張ってあるはずだろ!?」

「スミスが死んだから、なくなったんだ! 早く代わりの結界を!」

「あんな強力な結界、張れる者がいません!」


「大丈夫そうだな。よし、こいつらは俺たちで倒す。三城は2人を探してこい!」

「うん!」

 私は、混乱している人たちの間を走って、ダイニングを抜け出す。

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