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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第五章 王都
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66.追い込まれました

 バタバタと足音が響き、まもなくドアが勢いよく開かれる。

「「どうなさいましたか閣下!」」

 ドアから、使用人たちがなだれ込んでくる。

 不思議なことに、その誰もが剣や杖を手にしていた。

「こいつが剣を抜き、僕に襲いかかってきたんだ! 助けてくれ!」

 リーデマンはさも必死に俺の攻撃を押しとどめたというように息を荒げる。


「なっ、違……」

「皆の者! 取り押さえろ!」

 リーデマンの一声に、使用人たちは一斉に駆け出す。

「くそっ!」

 分が悪くなった俺は、リーデマンの剣を薙ぎ払い、後ろに飛びのく。

「奴の動きを止めろ!」

 リーデマンが叫ぶと、魔術師らしき人物が杖を構える。

「パラライズ!」

 俺は慌ててテーブルの脚の後ろに隠れてやり過ごす。


「閣下、こやつは強力な魔法を使います。お下がりください」

 リーデマンは、すぐに人々の後ろに隠れてしまった。

 仕方ない、この場を切り抜けるのが優先だ。

「『火炎旋風』っ! ……なっ!?」

 杖から出現した業火が、一瞬にして消え失せた。

「さすがだスミス。お前の魔法封じは素晴らしい」

 リーデマンが誰かを褒める声が聞こえる。

 まさか、魔法を使用不可能にする結界が張ってあるのか?


「魔法が使えぬ魔術師などただの人間! 捕らえてしまえ!」

 後から到着したらしき鎧姿の男たちが、こちらに迫ってくる。

 おそらく親衛隊だろう。

「くそっ!」

 俺は残っていた剣で応戦する。

 もう新たな剣を生成することはできない。

 俺は親衛隊たちの攻撃をかろうじて受け止める。

 だが、明らかな劣勢に立たされていた。


 ならば、この場から逃走する他ない。

 俺は隙をついて窓際に駆け寄り、窓に体当たりする。

 窓は脆くも砕け散った。

 俺はその穴から、庭に向かって駆け出す。

 庭は整備された公園のようになっていて、周りがよく見える。

 左からも右からも、親衛隊が迫ってきていた。

 俺はやむなく近くの木陰に潜る。


「出てこい、曲者め!」

 突然消えた俺を探すべく、親衛隊たちは声を張り上げる。

 出ていくわけがないだろう!

「貴様の仲間がどうなってもいいのか!」

 親衛隊の1人がそう言う。

 見ると、横にお縄にかかった玖珠田が座り込んでいた。

「さっさと出てこないと、こいつの命はないぞ!」

 そう言いながら、男は玖珠田の腹を蹴る。


 ああ、そういえば中庭に追い出されていたな。

 俺の仲間ということで、使用人が捕らえるように指示したのだろう。

 俺が出てこないので、男は何度も玖珠田の腹や足を蹴ったり踏んだりする。

 さすがにそろそろ出ないと死ぬか?

 というか修道士って、自分には回復魔法掛けられないんだ。


 そういえば、ここには結界が張られていないんじゃないか?

 決闘の時は問題なく魔法が使えたし、今もこうして影に潜れている。

「『火炎旋風』!」

 影から杖の先を出し、遠くの群衆めがけて打つ。

 親衛隊の呻き声が聞こえる。

「あっちだ! 行け!」

 うまいこと奴らは騙され、向こうに向かっていく。

 胸ぐらを掴まれていた玖珠田は地面に投げ出された。


 俺は影から出て、素早く玖珠田のもとに駆け寄る。

 そのまま肩に担ぎ、城門に向かって走り出す。

 決闘の時に筋力増加の支援魔法を掛けられていたのが幸いして、楽々担ぐことができた。

「あっ、いたぞ! 人質を奪われた!」

 人質って言っちゃってんじゃん。

 だが、もう遅い。


 俺はリーデマン邸の門に手をかける。

 が、当然鍵がかかっている。

「……ス、スプリング……ぐはっ」

 玖珠田が、後ろに縛られた手で何かの支援魔法を掛けてくる。

 恐らく、跳躍力上昇といったところだろう。

 俺はそう信じ、門を高く飛び越す。


 突然、体が動かなくなった。

 俺は門を飛び越えたところで、受け身も取れず顔面から地面に衝突する。

 衝撃で、玖珠田も視界の外に転がっていった。

 後ろから、門を開けて人が近づいてくるのが分かった。

「ふっ、口ほどにもないな。こいつらは地下牢に入れておけ。リーデマン卿もお喜びになるだろう」

 親衛隊か。屈強な男に担ぎ上げられるのを感じながら、俺の意識は途絶えた。

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