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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第五章 王都
62/73

62.貴族と決闘しました

「やあ。会えて嬉しく思うよ。僕はエルンスト・フォン・リーデマン。とある都市を治めている貴族の端くれさ」

 腰に剣を下げ、高級感のある服を着た目の前の男は言う。

「そりゃどうも。しかしなんでまた私なんかを?」

「噂は聞いているよ。その若さで副隊長だなんて凄いじゃないか。是非とも一度会ってみたいと思っていたんだよ」

 ここは王都にあるリーデマン邸。

 リーデマンの言葉を聞き流しながら、俺は相手を観察する。

 飄々とした態度とは裏腹に、その姿勢に油断はなかった。

 今斬り込んでも、弾き返されてしまうだろう。

 かなりの実力者だという印象を受けた。実力でのし上がってきたタイプの貴族かもしれない。


「そうですか。では早速、決闘といきましょうか」

「話が早いね。魔法は禁止、剣一本での勝負でいいかな?」

「おやおや、魔術師(ウィザード)の魔法を封じるとは、少し卑怯では?」

「もっともだ。だがこちらとしても、炎に巻かれて死にたくはないからね。そうだな……支援魔法限定というのは?」

「なるほど……。いいでしょう」


 とは言ったものの、俺は支援魔法など使えない。

 だって修道士(プリースト)がいるんだもの。誰も貴重な経験値を使ってまで取らないよ。

 どうしたもんかと思案していると……。

「パワード! アクセラレーション! プロテクト!」

 声と共に、俺の体がぼんやりと色とりどりに輝き始める。

 声のする方を見てみると……。


「後で感謝しなさいよ、あんた1人じゃ絶対負けるから」

 玖珠田がいた。

「って、何でお前がここにいるんだよ」

「心配だったからついてきたのよ。そのでっかい建物の影に隠れてたら、あんた支援魔法なんて使えないのに応じちゃって、ばかじゃないの?」

「くっ……」

 言い返せん。


「はっはっは。それもまた面白い。支援もついたところで、早速行かせてもらおうかな?」

 振り返ると、リーデマンが剣を抜き、構えるところであった。

 俺も剣を生成し、両手で構える。

「では、こちらから……!」

 リーデマンは一気に向かってくる。

 俺は左によける。

 だがリーデマンは、予想していたかのようにすぐ止まり、再び斬りかかってくる。

 俺は剣を横にし、リーデマンの剣を目の前で止める。


「さすがだ。だがこれはどうかな……?」

 リーデマンは飛びのくと、剣を握る手に力を込める。

 剣が青白く輝きだし、ついには燃え上がった。

「ちょっ、魔法は禁止って言いませんでした?」

「剣に魔力を纏わせただけさ。魔法は使ってないよ、魔法は」

 なんて手だ。だが、ルールには則っている。

「ならこちらも、点火(イグニッション)

 俺の剣は、リーデマンのものと対照的な真紅の炎に包まれる。

 実は、これも魔法ではないのだ。


「やはり『地獄の炎を操る者』カンザキ・シグレの名は伊達じゃないな」

 リーデマンは言う。

「え? 地獄の……って何です?」

「知らなかったのか。君の名は王都にまで轟いているよ」

 まじかよ。全然知らなかった。

「敵を無慈悲に炎で焼き殺していくから、そう言う名前がついたらしいが……」

 俺そんな人になってるの!? 道理で王都での視線が何だか冷たかったわけだ。


「全然知りませんでしたね。まあいい……行きますよ」

 俺は一気に加速し、リーデマンに斬り込む。

 当然、リーデマンは避けた。

「甘い……!」

 俺は、剣に魔力を一気に注ぎ込む。

 剣の炎が一気に強さを増し、剣の4倍以上の大きさにまで膨れ上がる。

「うわあっ!」

 目の前にまで炎が襲いかかったリーデマンはよろけ、尻もちをつく。

 俺はそれを逃さず、剣の魔力を戻した後、リーデマンの首元に剣先を近づける。

「俺の勝ちですね?」



 リーデマン邸にて。

「いやあ、まさか負けるとは。油断していたなぁ」

 俺とついてきた玖珠田は、邸宅に招かれ、昼ごはんをご馳走になっていた。

「そんなことを言って、本気で戦っていたでしょう。剣筋が本気で殺しにかかってきてましたよ」

 事実だ。玖珠田の支援がなければ、今頃俺は修道士のお世話になっていただろう。

「ばれたか。しかし君の実力は本物だ。このリーデマン、君の立場を貴族として保障しよう」

「なんか面倒なしがらみに巻き込まれそうなんで、遠慮しておきます」

「ははっ、賢明だ。それはそうと、一つお願いがあるんだ。いいかな?」

「何でしょう?」

「私の娘、アリスティアとも戦っていただけないかな?」

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