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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第一章 異世界
6/15

6.森を探索しました。そして……

 異世界生活2日目。


 俺らは、3チームに分かれ、森の中を探索することにした。

 出席番号順に、「神様の言うとおり」方式で割り振っていく。


 荒川、榎田、玖珠田、芹沢誠(せりざわまこと)寺田楓(てらだかえで)、野口、朴葉、若山の8人は、川向こうの森。


 井川、俺、笹川、立川、泊、芳賀直樹(はがなおき)、三城の7人は、川のこちら側の森。


 石川、城戸、清水、千曲、平城山、日比野、山口の7人は、拠点の防衛。


 山口の『通信』を常時作動させ、危険を確認したら、すぐに全員に知らせる。

 正午に、拠点に全員集合することにし、各班が出発した。


「……何もねえじゃねえか」

 泊が悪態をつく。7時ごろに出発して以降、2時間ほど収穫のないままだ。

「まあ、何もないっていうのも大事な情報だよ」

 立川がたしなめる。

「ってもよお、さすがにやってらんねえよ。ただ森の中を歩かされて、はい何もなかったですじゃ、拍子抜けだぜ」

 まあ否定はしないが、何か見つけたら危なくないか?


「おい、何だあれ、洞窟?みたいな……」

 まじかよ。この洞窟、禍々(まがまが)しい雰囲気がめちゃくちゃするんだが。

「ほんとだ、前には丁度いい大きさの岩もあるし、少し休憩していこうか」

 こうして、俺ら7人は、危険な香りがぷんぷんする洞窟の前で、休憩することになった。


「ふう、異世界に来て、ずっと忙しかったけど、やっと一息つけた気がするなあ」

 三城が、木を削って作った水筒の水を飲みながら呟いた。

 確かに、ここまで落ち着けたのは初めてかもしれない。

 昨日は朝から晩まで木をへし折り、夜はケルベロスと徹夜で2回も戦闘だったからな。

 俺も、水筒の蓋を開け、水を飲もうとした。

 その瞬間、後ろから強力な殺気を感じた。

 俺は無意識に身をひるがえし、岩から転がるようにして離れた。

 殺気の主は、今まさに三城を飲み込もうとする、大きなカエルであった。


「危ないっ!!」

 カエルが三城をおやつにする寸前、井川が持っていた槍をカエルの口に挟む。

 槍がつっかえ棒のようになり、カエルは一瞬戸惑った。

 その隙に、俺らは茂みへと隠れる。

 (大きなカエルに襲われた!助けてくれ!)

 井川が通信で助けを求める。

 しかし、救援がすぐに来ることは期待できない。

 俺ら7人だけで、この巨大なカエルを倒さなくては。


 しかし、どうする?

 このカエルの習性も分からないし、どのような攻撃が有効かも分からない。

 手当たり次第に攻撃する余裕はない。

 逃げるにも、カエルはひとっ飛びで追いつくだろう。


「目を攻撃しよう、出っぱった目がきっと弱点だ」

 笹川が言う。確かに目は弱いだろう。

 泊は反論した。

「でもよ、目に槍ぶっさす前に、俺らが喰われちまうぜ」

「なら、槍を投げればいいじゃないか」

「外したらどうすんだ。こっちの場所を知らせるだけだぜ」

 笹川と泊が言い争う。もうちょっと小声でお願いしたいのだが……。

 さすがに引いたのか、立川と三城が少しずつ奥に下がっていく。


 パキッ


 三城が枝を踏んづけた。

「あ、……逃げろぉー!!」

 三城はさっさかと逃げ出した。のだが、木々と背の高い草に阻まれて進めていない。


 カエルがこちらに気づいた。大きな口をあんぐりと開け、こちらに迫ってくる。


 俺は賭けに出ることにした。


 カエルが一番前にいる泊と笹川を飲み込む瞬間、俺は地面を蹴って前方へ飛び上がる。

「うおおおおおお!!」

 大きく振りかぶり、手に持った槍を、カエルの目ん玉に突き刺した。

 カエルはもんどりうって倒れる。

 その上に着地していた俺は、衝撃で吹き飛ばされる。

 まずい。カエルが起きれば死ぬ。

 後ろを振り返ると、カエルは──。


 ピクリとも動かない。

 ステータスを開くと、倒したモンスター欄に、「ポイズンフロッグ」と書かれている。

 倒した……。俺は安堵した。


 ん? ポイズン? 毒?

 あっ……。

 カエルの口から、泡を吹いて気絶している、泊と笹川の上半身がぬるぬると出てきた。

 こりゃまいったな……。


 結局、泊と笹川は、今回特に何もしなかった井川と芳賀がおぶって、帰ることにした。

 途中、井川の連絡を聞いて慌ててやってきた拠点防衛組と出会った。

 その場で山口が、(退治完了)と連絡を入れ、クラス全員が、見事拠点で合流を果たした。

 毒は大したものではなかったらしく、まもなく2人は回復した。


 その後、今回大いにやらかした三城は、日比野と玖珠田に、2時間ほど絞られていた。

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