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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第五章 王都
58/71

58.ドラゴンと戦いました

 洞窟に入ると、そこは青白くぼんやりと明るかった。

 明かりがあるわけでもないのに、不思議なことだ。

「危ない!」

 井川が叫びながら飛びのく。

 見ると、蒼龍の大きな口がこちらに突き進んでくる。

 俺は影に隠れようとする。が、どうも発動できない。

 やむなく、地面に伏せて難を逃れる。


 蒼龍を観察すると、その長い尻尾の先に青白い炎がゆらめいている。

 どうやら、それが意図せず影を無くしているようだ。

 もちろん位置によっては影ができるが、蒼龍が動けば出口が消え、影に閉じ込められかねない。

 隠遁(シャドウルーク)は封印しなければならないようだ。


 俺たちは、突っ込んでくる蒼龍の口を避けながら、切りつけたり魔法を放ったりし、少しずつ体力を削っていく。

 すると、尻尾の先の炎がひときわ大きくなる。

 炎は蒼龍を包み、やがて再び小さくなる。

「あっ、体力が戻った! あの炎には回復効果もあるみたい」

 日比野が言う。これは厄介だ。


「炎を水で消せないか?」

 俺の質問に、水属性の荒川が水をかけてみる。

 一瞬火が消えるが、すぐに燃え上がった。

「無理だよな。一撃で倒せればいいんだが……」

「『火炎旋風』は?」

「洞窟でやったら吹っ飛ぶぞ。前それで大変なことになったから」

 迷宮で炎を浴び、気絶した記憶がよぎる。



 決定的な一撃が与えられないまま、俺たちは攻撃を繰り返した。

 蒼龍はその度に回復する。

 その時、しびれを切らしたらしい蒼龍が、ひときわ大きい咆哮を上げる。

 その後、蒼龍は背中の大きい羽を羽ばたかせ、洞窟の出口を目指して進む。

 洞窟を出る気か? しかし外に出て何をすると言うのだ?

 とにかく、これは好機だ。外ならば心置きなく『火炎旋風』が打てる。

「攻撃中止! 外に出してから倒す!」

 皆は攻撃をやめ、蒼龍の後ろをついていく。


 ついに、蒼龍は洞窟を出る。

 その途端、一気に速度を上げ、空へと上がっていく。

「あっ、逃げる!」

「『火炎旋風』……くそっ、間に合わん!」

 これは失態だ。どうすれば……。


 その時、蒼龍は動きを突然止めた。

 羽ばたけなくなったため、地面へと墜落していく。

 やがて、蒼龍は森に突っ込んだ。

「な、何だ!?」

「襲撃だ! ……いや、ドラゴンだ!!」

 慌てたゴブリンやらコボルトやらが、森から出てくる。


「今だ……『火炎旋風』!」

 炎は、あたりの森ごと焼き尽くす。

 結果的に、魔王軍にも被害を与えることができたようだ。

 しかし、一体なぜ……?

 俺たちは思案する。まさか、魔王軍のルビアとやらが協力したわけでもあるまいし……。

「やあ、久しぶりだね」

 明るい声に振り返ると、そこには見知らぬ少女が立っていた。


「……誰ですか?」

「ひっ、ひどい! 城戸茜だよぉ!」

 城戸と名乗ったこいつは、涙目で飛びかかってくる。

「えっ、あかねじゃん。久しぶり」

 玖珠田や三城は、城戸を俺から引き剥がすと、じゃれ始める。

 ああ、そういえばいたなそんなの。

 確か、めちゃくちゃ強い麻痺魔法が使えるんだっけ。


「ということは、お前があれを止めたと」

「そうだよ。いやあ、採集クエストしてたら、いきなり山からドラゴンが出てきたんでびっくりしたよ」

「すんません」

 倒せたのはほぼこいつのおかげなので、報酬は半分渡した。

 宿に戻り、部屋に帰ろうとすると、城戸が呼び止めてきた。

「ねえねえ、私をもう一度パーティーに戻してくれない?」

 このところ多いなぁ……。


 話を聞くと、城戸もとあるパーティーにいたのだが、反りが合わずに脱退してきたそうだ。

 その後、ソロで冒険者をしていたのだが、ヘーレ迷宮に潜った時、ゴブリンの群れにボコされ、さすがに1人じゃ無理だとなったらしい。

「なるほど、それで帰ってきたと」

「うん。いいでしょ?」

「まあいいけどな……。また人数が増えるなぁ」

 メンバーの同意もとり、城戸は新たなメンバーとなった。

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