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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第四章 分裂
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54.恐るべき作戦

 三城は、自身の体験を語り始める。

「昨日ですね、いつものようにヤツが部屋が出たところから追跡を始めると、いつもはギルドの料理屋に行くのに、ギルドによることもせず道を進んでくではありませんか」

「お前毎日芹沢のことストーカーしてたのかよ」

 三城は俺のツッコミなど意にも介さず話し続ける。

「しばらく進むと、ポーション店があるところでヤツは右に曲がりました。私は隠遁(シャドウルーク)を発動し、近づきました」

 ふうん、こいつ結構優秀だな。意外。

「奴は男1人、女2人と話していました。なんか『バレてないだろうな』とか『順調だ』とか言ってました」

 なるほど。芹沢が魔王関係者ならば、そいつらも全員関わっているか。

「そして熱心に聞き入っていたら、いつのまにか影から出ちゃってました」

 ……。


「つまり、慌てて逃げたと」

「うん、顔ばっちり覚えられちゃった」

「報酬減額っと」

「うわぁぁやめてやめてぇ〜!」

 しかし、これじゃ三城はもう偵察には行かせられないな。

 そんなことを考えていると。


「おい神埼、三城をけしかけたのはお前だな」

 振り返ると、こちらを睨みつける芹沢が立っていた。

 あーほら、早速来ちゃったよ。

「別に問題なかろう。前言ったように、俺は疑っている。詳細を知るためにやっただけだ」

「あーそうだな。だが俺としては面白くない。この善良な冒険者の一挙手一投足が監視されるだなんて、嫌なこったね」

 確かに一理あるな。


「分かった。三城を派遣するのは中止しよう。こいつ役立たずだしな」

「えっちょっと、役立たずはひどいよぅ」

「分かればそれでいい。それと、あの場にいた3人は俺のパーティーメンバーだ。魔王軍関係者などではない」

 芹沢は去っていった。

「はあ、とりあえずお前はクビ、明日から普通にクエストをやるんだな」

「はあい……。でも盗賊が活躍する場面なんて、ダンジョン探索くらいしかなくない?」

「そのダンジョン探索でもめちゃくちゃやらかしてたけどな。監視は俺がするとしよう」



 芹沢は、左右を念入りに見渡した後、街道を西に向かって進み始める。

 俺は後を追う。

 芹沢と約束したのは、「三城を派遣しない」だから、俺が行くのはいいよね?

 そのまま芹沢は進み、ポーション店の前にさしかかる。

 が、そのまま素通りした。

 こりゃ警戒されてるな。


 芹沢はそのまま進み続ける。ついに城壁内でもかなりの外れ、建物も集合住宅から一軒家へと変わってくる。

 天気は曇り。人通りも減ったので、俺は路地に一旦入り、影に入り込む。

 そしてそのまま芹沢を追跡する。

 芹沢は、ある家の玄関を叩く。

 中から、顔をフードで覆い隠した女性が出てきて、彼を招き入れる。

 俺も影伝いに家の柵に忍び込む。


 さすがに家の中は明かりで照らされており、入ることはできない。

 家の下に隙間があったので、そこから話を聞くことにした。

「それでせr……トロイエ。あれからKの動きは?」

「何も、けしかけないとは言ったけど、どうせまた送り込んでくるさ」

「そう。まだ私たちのことは知らないよね?」

「ああ、ベルクに関しては、まだ会ってもいないだろう?」

「うん。だけど、Mには知られた」

「消してしまうか? M単独なら俺たちの正体には気づかないだろうが、Kもとなると話は別だ。簡単にやれるか?」

「舐めないでよ。あ〜あ、Mはけっこう好きだったけどなぁ」


 Kって俺のことだよな。Mは文脈からして三城だろう。

 こいつらは表向きは冒険者を装っている。まさか街中で戦闘を始めるとは思わないが……。

 三城に気をつけるよう言っとくか。

 その時、さらに声がした。

「おい、明日でもいいだろう。作戦を練ってからの方がいい」

「もう奴はKに話したはずだ。これ以上Kが情報を手に入れる前に、情報源を断つ」

「だが、街中でやれば作戦は失敗、私らともども粛清だよ」

「俺たちが殺せばな。奴は戦って死ねばいいんだ」

「どういうことだ?」

「上に軍の派遣を依頼する。それと戦っている間に……。戦闘で死んだとて、怪しまれはしないさ」

「なるほど……いいじゃないか」

 おうおう、これはもう後戻りできませんなぁ。

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