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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第四章 分裂
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52.事態は思わしくないようで

「何ヘマやらかしてるんですか! 数十匹のリザードマンに大隊が負けるなどアルトの恥ですよ」

 俺はやってくるリザードマンを倒しながら、そこら辺の地べたに転がされている分隊長を非難する。

「す、すまない。突然体が動かなくなって、その間にやられた。おそらく魔法だ」

「あたしも、持ち直した時には背後を取られて……」

 皆は口々に言う。どうやら状態異常魔法の一種なようだな。


「はいはい、修道士! 状態異常耐性をかけてくれ!」

 俺の指示に、地面に転がされていたシスターのような格好をした奴が皆に耐性をかける。

「これで大丈夫だな。『不知火』」

 俺たちはリザードマンに攻撃を続ける。

 真っ向から戦えば、我々の方がはるかに強い。俺たちはなんなくリザードマンたちを討伐し、残るは3匹となった。


「首領、逃げましょう! もはや勝ち目はありませぬ!」

「くそっ、退却!」

 レプティールたちは逃げ出す。

「お前たちはそこの情けない奴らを解放してやれ。敵は俺が仕留める」

 場の冒険者たちに指示を出し、俺は奥へと踏み入る。


「止まれえっ、今降伏すれば命は助けてやる!」

「今更失って困る命などない! 我々リザードマン、滅ぶ時は同じぞ!」

「なら正々堂々と戦え! 行動が矛盾しているぞ!」

 昨日さっさか逃げた俺が言うのもブーメランな気がするが、俺に背負うものは特にないのでよしとしよう。

「くそう、おい! こいつを麻痺させろ! 並大抵の修道士ではお前の攻撃は貫通するはずだ!」

 レプティールが木々の間に向かって叫ぶ。 見ると、そこに人影。

 奴がアルト防衛隊の半分を丸々麻痺させるほどの能力の持ち主。

 麻痺させられる前に倒す!


風刃(ウィンドブレード)!」

 風が空を切り裂き、人影に向かう。

 奴はムササビの如く隣の木に移り、それを避ける。

 そしてそのままこちらに手を向ける。

 まずい! 俺は身を翻し、近くの茂みに飛び込む。


隠遁(シャドウルーク)!」

 俺は気配を消す。この魔法は、影の中に溶け込み、身を隠す魔法。

 影の中は自由に移動できるので、俺は奴の正体を探るべく道へと出ていく。

 青いフードを被り、顔を隠した人物がいた。

 目測だが、身長は俺と同じくらい。肩幅も広くないし、おそらく女性だろう。

「申し訳ありません、捕り逃してしまいました」

 奴はそれを裏付けるような高い声で言う。

「気にすることはない。奴を殺すのが目的ではないのだ。確かに恨みつらみはあるが、そんなもの、あの村の奴らに比べたらちっぽけなものだ。今日はもう良い、森へ帰るぞ、ルビア」



「ふう、なんとか許してもらえたな。もう奴に関わるのはやめた方がよさそうだ」

 ギルドにて、ハンドンはため息をつく。

 あの後戻ると、傷だらけのハンドンたちがこちらに渡ってきていた。

 話を聞くに、冒険者たちはなすすべなくボコボコにされたらしい。

 なんとか命だけは救ってもらい、こちらに逃げてきたとのこと。

 幸い、犠牲者はいなかった。倒れていたものたちも、ただ気絶していただけのようだった。


「んー、あいつなんだか引っかかるんだよなぁ」

 俺は銭湯で湯船に浸かりながら、そうこぼした。

「あいつって誰だ? ラプラスなら、魔王軍幹部でも一、二を争う強さだ。傷一つつけられないでもおかしくない」

 一緒に入っていた井川が反応する。

「いや、気にしなくていい」

 と言うか、こいつに知られてはまずい気がする。


 防衛隊の半分を無力化するあのルビアとかいう女。

 その佇まいに、俺は既視感を抱いた。

 声もどこかで聞いたことがある気がする。

 俺の勘違いならいいのだが、仮に俺の勘が当たっていれば、事態はすでに大きくなっている。

 早めに対策を講ずるが吉か……?

「カンザキさん。アルト防衛隊長、ハンドン様がお呼びです」


 外からの声に、俺は慌てて用意を済ませ、促されるがままにギルドへ向かう。

 隊長室に向かうと、そこに、えらく真剣な顔をしたハンドンが座っていた。

 アルト防衛隊の副隊長であった分隊長は、今回の件で無力さを痛感し、座を降りるらしい。

 んで、代わりの副隊長が……。

「カンザキくん。ぜひ君にお願いしたいんだ」

 やっぱり、主人公ルートですよねこれは!?

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