51.作戦は成功なるでしょうか?
『集落に出現した魔王軍幹部、ラプラス討伐。報酬は貢献度により変動』
ギルドの掲示板に、さっそく登場した。
「どうする? 行くか?」
「いやぁ、あれは怖いからなぁ……」
「まあまあ、どうせ暇だし」
というわけで、参加することにした。
ラプラスは、レプティールらリザードマンと村を占領していた。
ラプラスは、村の入り口に剣を構えて立ち、見張りをしている。
「で、作戦とは?」
俺は討伐隊の隊長、ハンドンに問う。
「君たちの報告によれば、奴は未来を予知できるのだろう? だから、予知されてもいい作戦、すなわち避けようがない攻撃をすればよいということだ」
「ほう? 例えば全方向から一斉に攻撃するとか?」
「理解が早くて助かるよ。魔術師たちはここに。近接はそこで指示を待ってくれ」
どうやら、先に魔術師が攻撃をするようだ。
俺たちは並び、杖を構える。
時刻は10時15分。決行まであと15分だ。
その時、ラプラスがあたりを見渡し、舌打ちをする。
「人間よ。15分後に一斉攻撃するんだな? 私には全て分かるというのに」
「おい、バレてんじゃないっすか」
「そうだね……よし、予定を早め、今すぐ行う」
「んじゃ山口、通信頼む」
(了解。3、2、1……)
「『火炎旋風』!」
山口の合図に合わせ、俺たちは一斉に魔法を打ち込む。
向こうの森からも、轟音が響いてきた。
魔法がひとしきり打ち終えられた後、煙の晴れた村の入り口を見てみると。
そこに、ラプラスはいなかった。
「おい、いないぞ!」
「どこに行った、探せ!」
ふと後ろを振り返ると……
「弱いな」
後ろにいた冒険者を切り捨てるラプラスがいた。
「私の気配に気づかなかったのか。あまりに愚かだ」
ラプラスは剣を構え直し、悪態をつく。
「まあよい、点火!」
ラプラスの持つ剣が燃え上がる。
「弱々しき冒険者よ、戦って死ねることに感謝するがいい……はあっ!」
ラプラスが剣を一振りすると、その炎がこちらに飛んでくる。
もっともタダでやられるわけはなく、冒険者たちはすぐさま防御を張った。
が……。
「うわあっ、ヒビが!」
情けない悲鳴のする方を見ると、その冒険者の張った土の壁が、たった今崩れ去るところであった。
向き直ると、俺の張ったウィンドシールドも崩壊しかけていた。
「こっちへ!」
間一髪、荒川の張った神聖鏡に逃れる。
どうやらあの炎、剣と同じレベルの切断力があるらしい。
後ろを見れば、木が炎に切られ、集落へと転がっていく。
事実上は、剣が辺り一面に飛んだのと同じということだ。
やがて、炎は消えた。
「負傷5名……私も随分とたるんだな。魔王城に戻って強化訓練をするか」
ラプラスは、剣を持ったまま伸びをしている。
が、すぐこちらに向き直る。
その時、山口の通信が響く。
(向こうの森からSOSの通信が! 大丈夫か!?)
(何だと? 一体何が)
「レプティールたちは上手くやっているか……おや、その顔を見るに、成功したようか」
まさかリザードマンに倒されたのか? いやまさか……。
「とにかく、向こうへ救援を! 魔王軍幹部相手じゃ、何人いても仕方がない」
ハンドンの声に、何人かの冒険者が森を下っていく。
俺も続いた。
森を抜け、集落内へと足を踏み入れると……。
「やあっ!」
突然、列の先頭の冒険者が左に吹っ飛んでいった。
右を見ると、リザードマンが立っている。
「うむ、やはり筋力強化の魔法は素晴らしいな」
まさか、槍を投げたのか!?
「まあ倒すか。『不知火』」
「うぎゃああ!」
その後も、畑の中から、家の屋根の上からもリザードマンの攻撃が来た。
俺たちはその度に倒し、なんとか反対側へ辿り着く。
そこに広がっていた光景は……。
「はっはっは、やはりリザードマンこそこの森を支配するに相応しい」
辺り一面で冒険者たちが倒れ、血を流している。
立っているものたちは、次々と捕らえられ、地面に転がされていく。
「おい、増援が来たぞ!」
「やってしまえ!」
こちらに数名のリザードマンが迫ってくる。




