40.迷宮は恐ろしいです
第一階層
この迷宮の各階層は、幅10メートルほどの路地のようになっている。
だから、後ろからの奇襲と、横からの罠に注意しなければならない。
まあ第一階層には、強い敵はいない。
いるのは、スライムとゴブリン、あとミミズくらいなもんだ。
「火球、旋風、テレキネシスからの解除! かんたんかんたん」
無限経験値製造機の第一階層を突破し、魔法陣で第二階層へと向かう。
第二階層
ここも雑魚敵だらけだ。
ちょっとだけゴブリンが強くなり、スライムが体力上がるくらいだ。
俺たちは、ここも難なく突破する。
さて、ヘーレ迷宮は最低32階層を有する、中〜大規模ダンジョンだ。
最低というのは、生きて帰ってきた冒険者の最深到達階層が32階層だということだ。
生存者の証言によると、五階層までは容易だったが、六階層目から急に敵が強くなり、十二階層目から、普通のダンジョンの中ボスレベルがゴロゴロ出るようになる。
三十二階層目にいたのは、吐く炎が岩をも溶かす、恐ろしいドラゴンだということだ。
聞くところによると、そこに挑んだ、王都最強と名高かった4人パーティーが、1人を除いて全滅した。
その1人も、王都を逃げるように去っていき、その後の消息は不明。
さて、俺たちは一体どこまで潜れるだろうか。
第三−五階層
コボルトが現れる。
彼らは素早く、なかなか倒すのに苦労した。
「うわっ、火弾! 危ねえ……」
しかし、俺たちは傷を負うこともなく無事に進むことができた。
第六階層
「静かだな……気味が悪い」
「そうねえ、敵襲に警戒しながら進もう」
その時、急に横から槍が飛び出す。
「うわっ、あっぶね! こっわあ」
榎田は間一髪で避け、槍の出どころを探り出す。
やがて見つけたのか、剣をぐさぐさと刺した。
「うわっ、コボルトの群れだ!」
誰かが叫ぶ。見ると、剣を構えた数十匹のコボルトが前からこちらに走ってくる。
「電光! あれ? 全然倒れない!」
「任せろ! 黒き炎よ、敵を焼き尽くせ……『不知火』! はあっ!? HP高すぎんだろ!」
俺の渾身の一撃にも、コボルトは倒れない。
「あたしがやってやんよ! はあっ! とうっ!」
榎田は剣を振い、コボルトを圧倒する。
まもなく、コボルトの群れを倒した。
「おーすげえ。さすがは体力おばけ」
「誰が体力おばけじゃ!?」
第七階層
「おかしいなあ……静かだ」
「嫌な予感がするねぇ……」
しかし予想に反し、魔法陣が見えてくるまで、罠も魔物も現れなかった。
「休憩ステージだね。早く行こ〜」
三城が魔法陣に手を触れる。
その時。
轟音と共に奥の壁が開き、中から凄まじい咆哮が響いてくる。
その主は、ミノタウロスである。
「あっ、あっ、ああああ〜っ」
三城は腰が抜けたのか、尻もちをついたまま体を震わせている。
「まりーーーっ、逃げろーーーっ!」
平城山が声を張り上げる。三城は金縛りが解けたのか、震えながら立ち上がり、こちらに向かって駆けてくる。
その体を、ミノタウロスの剛腕が薙ぎ払った。
「うっ、ぐはっ、はあっ、はあっ……。 っひっ!? うぎゃああああっ!」
壁に叩きつけられた三城の左手が、取れていた。
「清水!、千曲! 治癒魔法を使え! 魔術師は攻撃の用意!」
俺は声を上げる。皆は一斉に動き出した。
どうする? ここは密室状態だから、火炎旋風なんて使えない。
「電光! 電光! 電轟雷撃!」
荒川が魔法を乱打する。え君いつの間に無詠唱できるようになったの?
サンダーボルト……って上級魔法だよな?
「我が無二の相棒たる槍よ、我が意のままに空を飛びて敵を葬れ……空撃槍!」
若山は槍を飛ばして戦っている。
しかし、ミノタウロスはびくともしない。
「腐食!」
俺も魔法を唱える。しかしミノタウロスは歩みを止めない。
こうして、俺たちの迷宮戦は早くも大きな困難に直面することとなった。




