36.西エルフ国に行きました
ギルドの扉が開き、裁判の結果みたいな紙を持った人が中から出てきた。
俺たちは会話を止め、それを注視する。
大きく広げられたその紙には、「完全勝利」と書かれていた。
「「よっしゃあああっ!」」
俺たちは飛び上がって喜んだ。
中から役人が出てきて、話し出す。
「聞くところによれば、エルフ村は素晴らしい文化を有する場所だそうではないか。会議の結果、条文を撤廃し、保全に共同で取り組むこととなった。この成果は、両国の関係をより友好的なものにし、外交上の大きな利益を生み出すだろう。みんな、感謝する」
「いやいや、それほどでもあるな」
「いや〜、いいことしたな」
皆は誇らしげだ。
「それで、お礼金の方は……」
「ないが?」
「そんなあああっ!」
いいだろ貯金たくさんあるし。
「……何で土木作業何だよおっ!」
エルフ村を盛り上げるため、道路を少し変更して村に近づけることになった。
結果、工期が伸びた。
それと同時に、エルフ村から少し離れたところに商店街っぽいものを作り、そこでエルフたちが働くことになった。
といっても自由営業なので、行っても開いているかは分からないが。
さて、俺たち下っ端冒険者は、大工事のたびに駆り出される。
今日もこうして、木を伐採するのである。
といっても魔法使えるから、家の再建よりずっと楽だけどね。
「君たち、西エルフ国に行ってみないか?」
ある日、土木工事を終えアルトに戻ろうとすると、役人が声を掛けてきた。
「嫌ですよ」
「ええ? 頼むよ、不死王との戦いでの貸し、まだ返せてないんだ」
「身売りですか? やっぱり嫌ですよ」
「違うよ、今度はこっちが西エルフ国を救う番だってこと」
どうやら、今西エルフ国は、山のオークに悩まされているらしい。
対処の援軍として、王国は冒険者の派遣を約束した。
しかし、わざわざオークを倒しにいこうなんて奴が一人もおらず、かなり必死になって探しているらしい。
「なあ、頼むよ。このままだとこの国の信用はガタ落ち。せっかくの同盟関係も崩れるかもしれん」
「はあ。そういうことならいいですが、ちゃんと報酬は出るんでしょうね」
「おお、ありがとう! では早速出発!」
俺たちは言うが早いか速達馬車に乗せられ、舗装しかけの街道を突き進んだ。
「そんなに緊急なんですか?」
「ああ、今季は特にオークの動きが活発で、今や首都レーゼンの近郊まで迫っているらしい」
「やばいじゃないですか」
馬車は1時間半ほどで、サレン川のほとりについた。
「「でっけー……」」
これは果たして川なのだろうか? 対岸は夕霧に霞んで白く濁っている。
「ああ、この辺りの川幅は、だいたい4キロくらいかな」
「「よんきろ!?」」
「平野に入ってからは、ここが1番細いんだけどね」
え? ここに橋なんてかかる?
「で、俺たちは今からどうやって渡るんです?」
「そりゃあ、飛んでさ」
突然、馬から羽が生える。
「ペガサス!?」
馬は駆け出し、そのまま宙に飛び出す。
馬車が落ちることはなかった。
馬車はそのまま猛スピードで飛び続け、5分ほどで川を渡り終える。
「な? 便利だろ? まあ、これをやった後はしばらく動けないんだがね。今日はここで野宿だ」
最近野宿多いなぁ……
起きてから西エルフ国の首都、レーゼンに到着するまでは速かった。
正午にはもう城門をくぐることができた。
城門の中は、歓迎の嵐であった。
「勇者よ、この国をお救いください」
「これでエルフは救われた! ばんざい!」
どうやら、オークの脅威はかなりのものなようだ。俺は身構える。
その後、俺たちは議会に案内される。
この国は珍しく共和制なので、城とかはない。
「来てくれてありがとう。だが、悠長に話している時間はない。すぐに前線に出発しよう」
議長は、慌ただしく馬車を手配する。
結局、城門内にいたのは30分くらいだった。




