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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第三章 エルフの村とエルフ国
31/71

31.スライムの森計画、始動

 エルフの村にて。

「……あの、一ついいですかね? この森、やけにスライムが多いんですが、何かご存知です?」

「スライム? ……さあ、確かに多いような気はするが。何か知ってるか?」

 俺の問いかけに、両親は首をかしげる。しかしリリアは俯いて震え出した。

「ん? 何か知ってるのか? 父さんに言いなさい、彼らが困っている」

「……わ、私が育てた……」

「「スライムを育てたぁ!?」」

 その場の全員が飛び上がった。


「この村が、あぶないって聞いたから、スライムでなんとかしようって思ったの……ごめんなさい」

「そうか、しかしスライムじゃなあ……。とにかく、スライムは私たちで何とかするぞ。すみません、本当にうちの娘が」

「村が危ない? 何かあるんですか?」

 俺が問うと、アイセンは深く息をついてから話す。

「近々、この森を貫く街道が作られるらしいのです。この村は、その経路に近い。下手すれば、見つかってしまうかも。そうすれば、私たちはここを追われるかもしれません」


 アイセンの言葉に、俺たちは顔を見合わせる。なんたって、俺たちはその街道を作るための調査に来ているからだ。

「それをなんとかしようと、スライムを育てる……スライムで妨害でもするつもりだったんでしょうか」

「多分そうです。まあ、この話は忘れてください。この辺に冒険者が来るのは珍しい。おおかた、道路整備の事前調査に来たのでしょう? その邪魔はしません」


「しかしどうするよ。報告しないわけにはいかんし」

「でもねえ。かわいそうだしね」

「いっそのこと、ここをサービスエリアみたいにして盛り上げたら?」

 俺たちは、集落の外れで1時間ほど話し合っている。

 答えは未だ出ていない。


「スライム、集め終わりましたよ。しかしいったい何をするんですか?」

 アイセンが俺たちを呼んだ。俺たちは立ち上がり、そちらへ駆けていく。

 榎田がよると、スライムはぴょんと跳ね榎田にじゃれついた。

「えっ!? スライムが敵対しない!? 私も体当たりされながら育てたのに」

 リリアが目を丸くする。けっこう頑張ったんだなあんた。

「まあ、そういう魔法みたいなもんよ。とりあえず、こいつらはもらっていいですか?」

「どうぞどうぞ」

 俺たちが歩き出すと、数百匹のスライムがついてきた。


「んで、なんでスライムをもらってきたんだよ。うちでは飼えんぞ」

 そういうと、榎田は息をつき、俺を馬鹿にするような目線を向ける。

「わかってないなぁ、ここをスライムの森に改造すんのよ」

「どういうことだよ」

「街道ができれば、ここにも駅ができるわけじゃん。それをスライムで盛り上げようって話。村の人たちも、それもいいかもしれないって言ってくれたし」

 つまり、スライムゼリーとかスライムアイスとかぬいぐるみとか売るってことか。

「なるほど、それもいいかもしれんな」

「スライムかわいいもんね」


「あっ、おかえりー……って何そのスライム!?」

 帰ってくると、日比野は飛び上がって驚いた。

「実はねぇ……」

 俺たちは、エルフの村のこと、スライム計画について話した。

「あと、エルフの人たちによると、この森に危険なモンスターはいないらしい。地図もくれたぞ」

 そう言って、俺は地図を手渡す。

「おお、詳細に書いてあるねぇ。これならもう大丈夫だね。今日は寝て、明日から帰ろうか」

「「はーい」」

 俺たちは、森で最後の夜を明かした。


「……今日はスライムと遊ぶ夢だった」

 悪夢じゃなかったのでよしとしよう。

「じゃあ帰るよ、せいれーつ」

 俺たちは、森の入り口に向かう。

 そこには、来た時と同じところに、馬車があった。

 疲れが出ていたのか、運転手は席で眠りこけている。2頭立ての馬も大人しく寝ていた。


 そこからアルトへは、一泊して向かった。その旅路は省略させてもらう。

 アルトに着いた時には、すでに9時を回っていた。ギルドへの報告や報酬の受け取りは、明日することにした。

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