25.別れ
かつて良き冒険者だった者たち。
それは今、醜悪なアンデッドと化し、不死王の下僕と成り果てていた。
彼らは両手を前に突き出し、左右によろめきながらこちらへと近づいてくる。
「すまない……。はあっ!」
ある若者が剣を振るう。
アンデッドは呻き声をあげ、傷を押さえて彼を悲しげな目で見つめた。
「うっ、やっぱりできない……。頼むから生き返ってくれ!」
アンデッドを前に泣き崩れる若者の横から、40歳ほどの剣士がアンデッドを両断した。
「ふう……。許せ、天で幸せに生きるんだ……」
彼は灰となって消えていくアンデッドに手を合わせた。
若者も、泣きながら手を合わせる。
「ああっ、ジャック、さようなら……」
「お前ら、そんなところにずっといていいのか?」
そこにへードルの放った黒い閃光が刺さる。
2人は慌ててこちらに来た。
その後ろから、悲しげな目をしたアンデッドたちがやってくる。
防衛隊の皆は、それを斬っていく。
ある者は泣きながら、またある者は淡々と。
やはり長い経験を積んだ冒険者は、冷静になるのだろう。
こちらに向かってきたアンデッドの群れがあった。
かつて森でさまよっていた俺たちを見つけ、町へ案内してくれた4人。
カール、レイン、フロン、そしてアーツであった。
かつて見た、勇ましいその顔はそこにはなかった。
そこにあったのは、白い目と、蒼白な顔であった。
俺たちは顔を見合わせる。
その胸の内は明らかだった。
殺さねばならぬという使命感と、かつての恩を仇で返す苦しみ、あるいは名残惜しさ。
彼らはさらに近づく。俺たちは後に下がった。
噛まれれば、自らも哀しきアンデッドと化すからだ。
しかし、このまま下がり続けるわけにも行かない。
「彼らが人間に戻ることはないわ……残念だけど」
日比野は言い、俯いた。
「そうか……。なら、殺すしかないのか」
誰かが呟く。それは悲しく残酷な事実であった。
「迷える魂よ、安らかに成仏せよ……鎮魂歌」
千曲が唱える。その顔は普段の抜けた顔ではなく、落ち着いたものであった。
4人のアンデッドは、光に包まれて、安らかな音楽とともに、天国へと旅立っていった。
アンデッドはいなくなった。
「俺の仲間の仇……必ず討ち取ってやる」
「流れた血を、決して無駄にはしない」
防衛隊は、いつになく静かで、またふつふつと怒りを持っていた。
俺もまた怒っていた。
へードルは無言で、再び杖を構える。
俺たちも、剣や杖を構えた。
そのまま数分が過ぎる。
沈黙を破ったのはヘードルだった。
杖の先に黒い大きな球を生じさせる。
俺たちは身構え、一部は防壁を召喚した。
「破壊雷」
幾度も見た稲妻が、空を切った。
「迎撃せよ! 電光!」
両エルフ国軍は、雷を放った。
「我々も続け!」
俺たちも、電撃を放つ。
黒い稲妻と、白や黄色の稲妻が衝突する。
こちら側が優勢だった。
徐々に白が進み、黒は退いていく。
「はあっ!」
へードルはさらに魔力を込める。
黒が盛り返し、だんだんと押し返した。
「負けるな! さらに威力を高めろ!」
俺たちはさらに魔力を込め、強い光を放つ。
白が押し返し、黒をついに破った。
稲妻は一気に進み、文字通り光の速さでへードルに迫る。
へードルが避けることはなかった。
閃光がへードルを包む。




