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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第二章 アルトの危機
25/76

25.別れ

 かつて良き冒険者だった者たち。

 それは今、醜悪なアンデッドと化し、不死王(リッチー)の下僕と成り果てていた。

 彼らは両手を前に突き出し、左右によろめきながらこちらへと近づいてくる。

「すまない……。はあっ!」

 ある若者が剣を振るう。

 アンデッドは呻き声をあげ、傷を押さえて彼を悲しげな目で見つめた。

「うっ、やっぱりできない……。頼むから生き返ってくれ!」


 アンデッドを前に泣き崩れる若者の横から、40歳ほどの剣士がアンデッドを両断した。

「ふう……。許せ、天で幸せに生きるんだ……」

 彼は灰となって消えていくアンデッドに手を合わせた。

 若者も、泣きながら手を合わせる。

「ああっ、ジャック、さようなら……」


「お前ら、そんなところにずっといていいのか?」

 そこにへードルの放った黒い閃光が刺さる。

 2人は慌ててこちらに来た。

 その後ろから、悲しげな目をしたアンデッドたちがやってくる。

 防衛隊の皆は、それを斬っていく。

 ある者は泣きながら、またある者は淡々と。

 やはり長い経験を積んだ冒険者は、冷静になるのだろう。


 こちらに向かってきたアンデッドの群れがあった。

 かつて森でさまよっていた俺たちを見つけ、町へ案内してくれた4人。

 カール、レイン、フロン、そしてアーツであった。

 かつて見た、勇ましいその顔はそこにはなかった。

 そこにあったのは、白い目と、蒼白な顔であった。

 俺たちは顔を見合わせる。

 その胸の内は明らかだった。

 殺さねばならぬという使命感と、かつての恩を仇で返す苦しみ、あるいは名残惜しさ。


 彼らはさらに近づく。俺たちは後に下がった。

 噛まれれば、自らも哀しきアンデッドと化すからだ。

 しかし、このまま下がり続けるわけにも行かない。

「彼らが人間に戻ることはないわ……残念だけど」

 日比野は言い、俯いた。

「そうか……。なら、殺すしかないのか」

 誰かが呟く。それは悲しく残酷な事実であった。

「迷える魂よ、安らかに成仏せよ……鎮魂歌(レクイエム)

 千曲が唱える。その顔は普段の抜けた顔ではなく、落ち着いたものであった。

 4人のアンデッドは、光に包まれて、安らかな音楽とともに、天国へと旅立っていった。



 アンデッドはいなくなった。

「俺の仲間の仇……必ず討ち取ってやる」

「流れた血を、決して無駄にはしない」

 防衛隊は、いつになく静かで、またふつふつと怒りを持っていた。

 俺もまた怒っていた。

 へードルは無言で、再び杖を構える。

 俺たちも、剣や杖を構えた。

 そのまま数分が過ぎる。


 沈黙を破ったのはヘードルだった。

 杖の先に黒い大きな球を生じさせる。

 俺たちは身構え、一部は防壁を召喚した。

破壊雷(デストロイ・ボルト)

 幾度も見た稲妻が、空を切った。

「迎撃せよ! 電光(ライトニング)!」

 両エルフ国軍は、雷を放った。

「我々も続け!」

 俺たちも、電撃を放つ。

 黒い稲妻と、白や黄色の稲妻が衝突する。


 こちら側が優勢だった。

 徐々に白が進み、黒は退いていく。

「はあっ!」

 へードルはさらに魔力を込める。

 黒が盛り返し、だんだんと押し返した。

「負けるな! さらに威力を高めろ!」

 俺たちはさらに魔力を込め、強い光を放つ。

 白が押し返し、黒をついに破った。

 稲妻は一気に進み、文字通り光の速さでへードルに迫る。

 へードルが避けることはなかった。

 閃光がへードルを包む。

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