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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第二章 アルトの危機
24/71

24.残酷な不死王

「愚かなる人間どもよ、その選択を後悔するがいい……破壊雷(デストロイ・ボルト)!」

 杖の先から、黒い稲妻が放たれる。

 俺たちは慌てて左右に逃げる。

 城壁はさらに崩れ、クレーターはその大きさを増した。

「逃げ惑うのみか。先ほどまでの威勢とは程遠いな」

 へードルはさらに稲妻を放つ。

 俺たちはただ逃げ惑うばかりだった。


 30分ほど後、町の北は荒地と化していた。

 あちこちにクレーターができ、そこから黒い煙が上がっている。

 城壁は崩れ去り、民家や店もあらかた崩壊している。

 冒険者も、数十人が倒れ、修道士(プリースト)たちが必死の治療を行なっている。

 しかし、もう数人が手遅れだと聞いた。

 かく言う俺も、左手から血を流し、肩で息をしている。


「我が魔力よ、神聖なる魔方陣を描き、魔の者を打ち砕け、破魔(スクエア・オブ・)殺陣(ターンアンデッド)!」

 突然、冒険者の1人が魔法を放った。

 白い光がへードルを包む。

「っ、何だ? ……強力な祓魔魔法か」

 あまり効いていないようだ。しかし、続けて何人もが、魔法を放った。

「神聖なる力よ、世の理に反するものを打ち砕け……破魔(ターンアンデッド)!」

「神聖なる力よ、不浄なる存在をこの世より追放せよ……退魔撃(エクソシズム)!」

 へードルはうろたえる。しかし、次々と飛んでくる魔法を何とか抑えた。

「はあっ、はあっ……。危ない危ない、危うく浄化されてしまうところだった」

「おっ、HPが半分まで削れています!」

 日比野は言った。やはり祓魔攻撃は効くようだ。


「よし、祓魔はエルフの得意分野、私たちが一気に畳み掛けましょう」

 グラディウスが言う。グローヌも頷いた。

「東エルフ国軍魔導隊、魔法用意! ……撃てーっ!」

「西エルフ国軍魔法攻撃隊、魔法発動準備! ……撃てーっ!」

 両エルフ国軍の兵士が、一斉に魔法を放つ。

 巨大な白い光が、へードルに向かって突き進む。

「ただでやられると思うな……盤壁(アースウォール)!」

 へードルの周りの土が盛り上がり、壁を形成する。

 光は壁に阻まれた。


「まだだ! 威力を強めろ! 壁を貫け!」

 司令官の合図に合わせ、光はさらに強くなった。

「みんなも撃て! 我々も協力するぞ!」

 アルト防衛隊も、次々と魔法を放つ。

 壁にひびが入り、そして崩れた。

「うぎゃあーーーっ!」

 へードルの悲鳴が聞こえてきた。


「へードルのHP、残り1割です!」

 日比野が言った。

 へードルは杖で体を支え、ふらふらになっていた。

「くそう、この我がここまで追い詰められるとは……」

「よし、もう一回撃て! それでとどめを刺すぞ!」

 グローヌは言った。兵士たちが、魔法の詠唱を始める。


「しかし、ここで絶えるわけにはいかぬ。魔王軍幹部として、その誇りが許さん!」

 へードルの周りに、黒い巨大な魔法陣が描かれる。

 魔方陣の大きさは、半径100メートルはあろうか。

 魔方陣はさらに巨大化し、俺たちの足元まで達した。

「逃げろ! 何か来るぞ!」

 俺たちは魔法陣から逃げる。


 何とか大地に足を置く。振り返ると、数十名が魔方陣の中に取り残されている。

「何をしている。早く逃げろ!」

「無理だ! 足が動かないんだ!」

 その中には、俺たちの知った顔も混ざっていた。

 初めて出会ったパーティーの人たちだった。


「生ける者たちよ、その魂を捨て、我が(しもべ)となれ……人死霊術(ネクロマンシー)

「うわあああっ、がっ……」

 人々は悲鳴を上げ、ついに醜いアンデッドと化した。

「さあ人を襲え、殺せ、喰らえ! 人間どもよ、かつての仲間を殺してみろ!」

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