20.幹部が攻めてきました
俺たち冒険者は、今町の東門に集まっている。
その先にいる、恐ろしい敵と睨み合いながら。
お騒がせなコウモリを殲滅したあと、特にやばいモンスターは現れなかった。
コウモリたちの主であるドラキュラも、あれ以来姿を見せていない。
だから、魔王軍はアルトから去ったと思われていたのだが。
ある日、冒険者たちはギルドに集められた。
何でも、ギルドに手紙が届いたそうだ。
手紙には、こう書かれていた。
愚かなる人間どもよ。
明後日、我々魔王軍は、貴様らの町への侵攻作戦を行う。
この魔王軍幹部、不死王へードルが直々にだ。
死にたくなければ、町を捨て逃げるがよい。
「つまり、あさって魔王軍が攻めてくるから、対応しろと?」
「その通りです。具体的にどの方向から攻めてくるかは分かりませんので、四方の門を手分けして見張ります」
「なるほど。で、このへードルとやらは強いのか?」
「さあ。しかし、魔王軍幹部ということは、かなり強いことは間違いありません」
「まあいいけど、何でこんな町に攻めてくるんだろうな」
さて、少し地理の勉強をしよう。
この町アルトは、王国の南西に位置する都市だ。
この王国は、魔王が支配する領域に接しており、国境では睨み合いが続いている。
おそらく魔王軍の目的は、国境からアルトを通り、海岸線に至る回廊を占領し、西側の国と分断すること。
西側には、エルフの治める2国があり、その軍事力は弱い。
アルトが落ちれば、たちまち2国は滅びてしまうだろう。
ということで、エルフの国に援軍を要請した。
明日の夜には、国境を超えてエルフ軍が救援にやってくる。
おそらく王都防衛軍の到着は間に合わない。我々アルトの防衛隊と、エルフ2国の軍のみで応戦しなければならない。
不安になりつつ、我々は作戦を立てながら一夜を過ごした。
翌日。作戦は大体決まった。詳細は後で話す。
今日は、一日中戦闘訓練を行った。
敵襲に備えて、少しでも戦力を強化しておいた方がいい。
夕方、エルフ軍が西門の扉を叩いた。
俺たちは迎え入れ、作戦を伝える。
エルフ軍は承知し、分担して東西南北の見回りについた。
夜が明ける頃、町の北門で狼煙が上がった。
合図だ。俺たちは一部を残し、北門へ急いで向かう。
門の外に出ると、そこには惨憺たる光景が広がっていた。
数万はあろうかと言う敵軍。その中央に、馬に乗った人型が陣取っていた。
その人影は、骸骨であった。その右手に、重厚な杖を持っている。
「ほう、逃げなかったか……命知らずよ。我が名はへードル、魔王軍幹部である」
骸骨は名乗った。
不死者の大群が、へードルの指揮で一斉に攻め込んできた。
ついに、アルト最大の戦いの火蓋が切って落とされた。




