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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第一章 異世界
2/11

2.これが異世界ってやつですか

 目を開けると、そこは青々とした木がしげる深い森の中であった。


「インベントリ! ……違うか、ステータス! ……あれぇ?」

 野口が画面を開こうとしている。現実で出るわけなかろうに。


「ああん、家に帰りたい〜」

 気の弱い女子、三城茉里(みしろまり)が泣きぬれている。

「大丈夫だから、ぐすん」

 玖珠田美琴(くすだみこと)が泣きながら三城をなぐさめている。


「はい、みんな集まって」

 日比野が皆を誘導する。さすがは委員長。

「さて、これからどうしたらいいと思う?」

「やっぱり、町に向かうのが一番だと思います」

 若山はそう言う。一方、野口は

「近くに町があるとも限らないし、動物や草を探して食べるのが一番だと」


 どっちが正しいのだろう。オタクが偶数だとこういう時に困る。

「まず開けた場所に拠点を作ろうぜ」

「なるほど、それはいい!」

 おや、オタクたちは一瞬で妥協点を見つけたようだ。


「でもよお、あのジジイが言ってた力っての、全然分かんねえよ」

 泊が愚痴る。

「確かに、それもそうだけど……、町を見つける前に死んじゃったら意味ないし、ここは彼らに従うほうがいいんじゃないかな」

 委員長は冷静だ。本当に異世界初心者なのか?

「よし、じゃあ河原を探そう。川のそばは開けているからね」

 読書家の石川遼也(いしかわりょうや)が出所、真偽ともに不明の情報を口にする。

 こうして22人の川探しが始まったのであった。



「……見つかんねえ」

 歩き出して4時間、時差がないとして正午だ。文句が出るのも無理はない。

「誰か空飛べる能力もらったやついない〜?」

 笹川が無責任な発言をする。

「あっ、私飛べるみたい……」

 内向的な美少女、荒川美鈴(あらかわみすず)が自信なさげに呟く。

 荒川は10cmほど浮いていた。

「まじで!?ちょっと上まで行って見てきてくれよ」

「えっ、あっ、うん……」

 荒川は少し嫌そうだ。まあそりゃそうか。俺たちは制服のまま転移した。そして女子の制服はスカートだ。

「って、ああそうか。無理か……」

 笹川は察しがいい。


「おおい、川だぁよ〜」

 のんびりした声で千曲由梨(ちくまゆり)が言う。ベストタイミングだ。

「よっしゃあ!」

「助かったぁ!」

 口々に皆が駆け出し、川に飛び込んだり、水を頭からかぶったりしている。

 まあ4時間も歩いたんだ、無理もない。


「ここは広いし、簡単なキャンプくらいなら作れそうですね」

 石川が俺に話しかけてきた。

「ああそうだな、作れるやつがいるんならな……」

 建築能力持ちはいるだろうか。

「僕、作れますよ」

 こいつだった。

「ってことは、材料さえあれば生活には困らんな」

「そうですね。だからまずは木とか動物の皮が欲しいところですが……」

「動物ん中には住みたくねえな、よし、木を集めることにしよう。おーい委員長〜」

 委員長が俺たちの方にやってきた。


「何?何かいい案思いついたの?」

「とりあえず、こいつが建築能力持ちみたいで、家つくろうぜって話」

「おお、やった!それじゃみんな集合〜!」

 クラス全員が集まってくる。この委員長すげえ。

「石川くんが建築できるらしいの。だからみんな木を集めてきてくれない?」

 委員長の言葉に、皆ぞろぞろと森へ向かう。

 こんな状況で逆らっても意味がないと思ったのか、泊も森へ向かっている。

 これならすぐに集まるだろう……。そう思いながら、俺も森へ向かった。

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