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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第二章 アルトの危機
19/71

19.吸血鬼が出ました

 最近、どうも異変が多い。

 悪魔が森に出たり、ヤマタノオロチが出たりと、モンスターが増えているのだ。

 そして最近は、コウモリである。

 夜な夜なコウモリの群れが町へ飛来し、布を食い荒らしたりしている。

 この調子だと、吸血鬼(ドラキュラ)まで出てくるかもしれない。

 ということで、窓際に十字架と銀の杖を置いておいた。


「ギャッ」

 夜、うめき声で目が覚めると、窓の外でコウモリが暴れ回っていた。

 コウモリは苦しがり、上下左右に動き回っている。

 どうやら、十字架が効いたらしい。

 俺は窓を開け、杖を剣のように振り回す。

 コウモリに当たると、悲鳴をあげて落ちていった。

 俺は宿の外に出て、そこで白目を剥いて痙攣しているスーツの男を見つけた。

 この世界でスーツの男にはいい思い出がない(森の悪魔回参照)ので、警戒しながら近づき、十字架を見せる。

 男は動かなくなった。


 部屋に運び込んだ男が目を覚ましたので、「お前はドラキュラだろう」というと、男はそうだと言った。

「その通り、私はドラキュラです。しっかし、私たちの弱点が十字架と銀だって、よく分かりましたね」

「いや、俺の生まれた地域で、そういう言い伝えがあってな。そんなことより、どうしてこの町に来たんだ」

「魔王様の命令ですよ。何でも、幹部も一目おく森の悪魔がやられたんで、池に魔王軍も倒しあぐねる怪物を潜ませたのですが、それも倒されたそうで。そこで私のご登場という訳です」

 男は誇らしげに言った。どうやら、魔王軍の間で、このアルトはすっかり有名になってしまったらしい。

「はあ、さてどうしたもんかね……。とりあえず、コウモリを町にうろちょろさせるのはやめてくれないかね」

「やですよ、情報収集のために飛ばしているんだから。それじゃあ私はもう帰りますね」

「だめだ」

 俺は窓から帰ろうとする不躾(ぶしつけ)なドラキュラの肩に、銀の杖をポンとおいた。


 とりあえず、コウモリを飛ばさないことと、町にあまりちょっかいをかけないことを、十字架を突きつけながら認めさせ、哀れなドラキュラは返してあげた。

 しかし、ドラキュラはすぐに約束を破ったのである。

 次の日、町の東から、膨大な数のコウモリが攻めてきたのだ。

 俺たちは、ギルドに集められた。


「えー、このコウモリは、おそらく魔王軍の仕業でしょう。ドラキュラあたりが怪しいですね」

 ギルドの人は言う。

「じゃあ、さっさとやっつけるか。コウモリくらい、どうってことない」

「いえいえ、あれに噛まれると、自分もドラキュラになってしまいます。気をつけてください」

「ひえ、やべえな」

 皆は東に集まり、魔法を打ちまくる。

 遠距離では圧倒的にこちらが有利で、あっという間にコウモリの半数以上が死んだ。

 しかし、残りはどんどんと進んでくる。

「もっと魔法を打つんだ。近づかれたら終わりだぞ」

 ハンドンは慌てている。俺も必死に魔法を打ちまくった。


 数十分後、俺たちは何とかコウモリを全滅させることに成功した。

「明らかにモンスターが多すぎる。今後も、十分警戒してクエストにのぞんでくれ」

 ハンドンは皆をねぎらいながら言った。


 そして、その後アルトには恐ろしき敵が攻めてくることを、俺たちは知らなかった。

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