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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第二章 アルトの危機
17/72

17.悪魔公爵ヴァルトとの決着

 町の中心に位置していた冒険者ギルド。

 今や、周りもろとも消滅していた。

「どうしましたか、人間の皆さん。先程までの威勢は一体どこへやら」

 ヴァルトは、天を仰いで、無力な人間たちを嗤っている。

「どうすればいいんだ……。魔法はすべて防がれた。もはや勝機はないのか……」

 あちこちから、絶望の声が聞こえてくる。


「皆さん、今のうちに逃げることをお勧めします。私も、この町5万人と戦いたくはないし。あと15分以内に、この町の城壁を出てください。安心してください、町を破壊したりはしませんよ」

 ヴァルトは提案する。多くの冒険者はそれに従い、町の人々を伴って外へ向かう。

「作戦会議するにしても、外でやった方がいい。みんな、町の外へ行こう。町の人たちも一緒に避難するんだ」

 ハンドンは力なく指示する。俺たちは従い、城壁を出る。



「さて、作戦会議を始めよう」

 切り株に座ったハンドンは、呼びかける。

 俺たちは、町の西側の平原へと避難してきた。

 今のところ、町に異変は確認されていない。

「作戦ねえ……。とりあえず、攻撃手段を確認するか。悪魔に強い魔法を使える人は?」

 アーツが話すと、数人が手を挙げる。

「悪魔って邪悪な存在だよな。なら、俺の破魔(スクエア・オブ・)殺陣(ターンアンデッド)が効くと思う」

「俺は神聖魔法は、使えるぞ」

「私も、祓魔(ふつま)系の魔法は得意だよ」

 なるほど。こいつらを主戦力とするのが良さそうだな。


「じゃあ、悪魔の動きを止められる魔法を使えるものは?」

 手を挙げるものは、いなかった。

「うーむ、じゃあ、物理的に動きを止める魔法は?」

 ちらほらと手を挙げるものがいる。トラップ系の魔法だろう。

「なら、彼らを信じて、ありったけの動き封じをするのが最善か。まずは彼らを、町へ行かせよう」

「なら、俺が。透過(インビジブル)

 井川が魔法をかける。魔術師たちは、たちまち見えなくなった。


 その後、冒険者全員が透明化し、門から忍び込む。

 ヴァルトは、藍色のスライムを集め、数を数えている。

 山口の通信能力で合わせ、一斉に、動きを封じる魔法をかけた。

鋼縄(ワイヤーバンド)!」「氷結(フリーズ)!」「地盤拘束(アースロック)!」「バインド!」「炎牢(フレイム・プリズン)!」……。

 ヴァルトを、一気に魔法が襲う。

「なっ、……うがっ!」

 運良く、ヴァルトは引っかかり、拘束に成功した。


「我が魔力よ、神聖なる魔方陣を描き、魔の者を打ち砕け、破魔(スクエア・オブ・)殺陣(ターンアンデッド)!」

「神の加護を受けし我が(みたま)よ、その力を以て、不浄なる存在を光に貫け、神聖(セイクリッド・)銀刃(メタルドナイフ)!」

 そこに、町の強力な魔術師たちの攻撃は降り注いだ。

「うわあああああっ!!」

 ヴァルトは悲鳴を上げる。徐々にその影が薄まっていく。

「くっ、こんなところで、この悪魔公爵ヴァルトが滅びる訳には……あああああっ!!」

 ついに、町を蹂躙した悪魔は、亡びた。


 戦いから1週間後。

 町の復興作業は、石川の建築能力もあって、意外と早く進んだ。

 すでに多くの住宅が建てられ、ギルドも、もとの姿を取り戻しつつあった。

 今回のことに関しては、誰も責任は取らないこととなった。

 泊の言う通り、冒険者としての責務を果たしただけだからということらしい。

 さらに、悪魔との戦いへの貢献によって、うちのパーティー全ての人が一人前に認定された。

 もう、全員で特殊クエストにも行けるし、全員で城壁を越えることもできる。


 さて、今回の件で、国のアルトへの関心が高まった。

 王都から王都防衛軍が派遣され、しばらくの間衛兵に加わってくれることとなった。

 学者もやってきて、町に異変がないか調査をしている。

 俺たちは、土木作業に従事していた。

 異世界に来たての時を思い出す。あの頃も工事とかしてたな。

 俺たちが泊まっていた宿も消滅したため、今は城壁に近い宿に泊まっている。

 なんと、貯金箱は無事だった。


 それからひと月後、町は完全な復興をみることとなった。

 町は活気にあふれ、森は魔物にあふれている。

 ギルドの掲示板にはクエストが所狭しと並べられ、冒険者たちは次々とギルドを飛び出す。

 地球から転移して2ヶ月弱、なんだかんだでこの町、この世界にも愛着が湧いてきた。

 その復興は、喜ばしいことだ。

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