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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第二章 アルトの危機
15/72

15.悪魔が攻めてきました

 次の日。

 町中が大騒ぎになっていた。

 藍色のスライムが、ありとあらゆる蛇口から出てきたのだ。

 スライムたちは暴れ回り、食べ物を吸収したり、体当たりして家具を壊したりしているらしい。

 おいおい、これ絶対あの悪魔に知られたよな、話したこと。


 宿のホールには、部屋を占拠された客たちが身を寄せていた。

「なんなんだよあのスライム。森の異変と何か関係があるのか?」

「くそっ、このスライム妙に体力と魔力が高い。殴っても殴っても倒れねえ」

 ふと泊に目をやると、青い顔をしてうつむき、震えていた。


「冒険者の皆さん、できるだけスライムを退治しながら、ギルドへ集まって下さい」

 スピーカーから叫び声にも近い、ギルドの人の声が聞こえてくる。

 俺たちはそれに従い、宿から出て、あたりのスライムを叩きのめしながら向かった。


「このスライムは、おそらくトマリさんが言っていた、悪魔の使役する魔物であると思われます」

「だとすると、これから悪魔が攻めてくるってことですか?」

「おそらくそうでしょう。もしかしたら、彼が報告したことへの報復かもしれません」

 ギルドに集まった人たちは、ギルドの人の言葉に震え上がった。

「どうすんだよ。その悪魔を倒すしかないのか?」

「攻めてきたら、戦うしかないでしょう。まずはスライムだけでも倒さないと」


 バリン!!


 ガラスの割れる音に屋根を見上げると、すりガラスを破壊して、黒い龍に乗った男がギルドに侵入してきた。

 ヴァルトだ。

「ギルドに話すべきではないと言ったでしょう。あなたたちが悪いのですよ」

 ヴァルトは着地すると、憤怒の面でこう言い放った。


「ふん、モンスターを見つけたら、ギルドに報告するのが冒険者の義務だ。それをしたまで、何が悪い」

 泊は一歩前に踏み出し、毅然と言い返す。

「ほう、その心意気や良し。では私どもも、本気で戦いましょう」

 ヴァルトの体から出ている魔力が強まり、彼の目は紅にらんらんと輝いている。

 理不尽に聞こえはするが、彼は魔王軍の者。魔王に忠誠を誓うものとして言っていることに相違はない。


「では、まずはこちらから……電光(ライトニング)!」

 ヴァルトの指先から、黄色い光線が走る。

 俺たちは左右に飛び退く。そこにさらなる光が襲いかかる。

「光か……。水属性だな。森の悪魔なら、矛盾はない」

 誰かが呟いた。光は水属性に分類される魔法だ。


「くそっ、火球(ファイアボール)!」

 井川が攻撃を放つが、ヴァルトは

「単純な攻撃ですね。蒼壁(マリンウォール)

 目の前に水の壁を作り、難なく跳ね返した。

「やるな。なら……風刃(ウィンドブレード)!」

 井川の手から、鋭い風の刃がいくつも飛ぶ。

 ヴァルトは、それを上下左右に避けた。

「素晴らしく稚拙で単純な攻撃、一つも当たりませんね」


闇の(ダークネス・)攪乱(パラライズ)!!」

 城戸が叫ぶ。

 ヴァルトの横の龍が、動きを止める。

 が、彼自身には効いていない。

「あなたに良いことを教えてあげましょう。悪魔に状態異常攻撃は効きませんよ」

「なっ!?」

「しかし、このような強力な魔法、こんな町で見られるとは……。いい土産話になりそうです」

 どうする?これで毒でダメージを与える煙霞は使えないと分かった。不知火もおそらく壁で防がれる。

 俺の合成魔法、全滅じゃねえか……。


 ヴァルトは再び光線を繰り出す。

「おいギルドの姐ちゃん、悪魔の弱点って何だよ」

 泊が、光線を避けながら乱暴に聞く。

「知りませんよ!? 私たちは受付が専門で、戦闘に関することはほとんど知りませんから」

「はあ!? 使えないなぁ!」

「何ですって〜!?」

 仲間割れはやめてくれ。


 くそ、ダメ元でやってみるしかないか。

 俺はそばにいた魔術師の荒川に作戦を耳打ちし、呪文を唱え始める。

「影なる風よ、我が僕となりて、我が眼前の敵を闇へ染め上げろ……『煙霞』!」

 深緑の球から、黒い霧が噴き出す。

「ほう、見たことのない色……、合成魔法か。しかし言ったでしょう、悪魔に状態異常は効かないと」

 ヴァルトが言う間に、霧はヴァルトの周りを覆う。

「目潰しですか? くだらない」

 ヴァルトは、闇の中から光線をなおも打ち続ける。


「ふう……。我らが守護神よ、反逆者たちの攻撃をその聖なる加護によって打ち払え……(セイクリッ)(ド・ミラ)(ーウォール)!」

 水属性をとった荒川は、光魔法が使える。

 さて、ヴァルトの攻撃は、殺傷能力のある光線。

 鏡に当てると、どうなるだろう?


電光(ライトニング)、ライトnうぎゃああああっ!!」

 霧の中から、ヴァルトの悲鳴が聞こえてきた。

 大成功。俺は荒川とハイタッチした。

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