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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第二章 アルトの危機
13/71

13.森がおかしいです

 魔王軍を撃退してから1週間後。

 このところ、何かがおかしい──。


 何かというと、森のモンスターが異常に減っているのだ。

 ケルベロスにも出会わないし、スライム1匹すらいない。

 おかげで、クエストが少なく、俺らは最近貧乏である。

 100万越えの貯金は、崩せないのだ。


 あまりに異常なので、ギルドが特別クエストを作った。

 森を探索し、強力なモンスターや、異常現象の兆候を見つけたら、報酬が出るそうだ。

 おいしいクエストなので、貧乏パーティーがこぞって参加している。


「えーっと、あなたたちのうち17人は、仮冒険者のため参加できません。そちらの5人は行けますが……」

 ギルドの人は、申し訳なさそうに首を振る。

 そういえば、特別クエストに参加できるのは、一般冒険者以上だったな。

「えー、そこを何とかぁ」

 榎田がギルドの人の襟首を摑み、前後に振っている。見た目ただのカツアゲだが……。

「無理です、規則ですのでぇ〜〜!?」

 ギルドの人は必死に抵抗している。流石に可哀想になってきた。


「じゃあ、俺ら5人だけで行きます」

 榎田を引き剥がし、俺はギルドの人にそう告げた。

「はあ、分かりました。じゃあこちらにサインを」

 俺は契約書にサインをし、4人とともに森へ向かった。



 森は、静寂に包まれていた。

「ふーん、確かに何もいねえな」

 井川が周りを見渡しながら言う。

「おかしいねぇ、虫の鳴き声すらない」

 芹沢も不思議がっている。


「おい、ありゃなんだ?」

 泊が前を指差す。

 獣道が交わっているそこには、スライムの行列があった。

 不思議なことに、スライムは藍色をしている。

 右から左へと、整然と飛び跳ねて移動している。

「軍隊みてえだな」

 泊は頭を掻きながら言った。確かに整然と行進するその様子は、訓練された軍隊だ。

「なんか怖えぞ、早く帰ってギルドに報告しようぜ」

 清水が踵を返す。その瞬間──。


 俺の懐から小さい球体が飛び出した。

 すまいむだ。

 同族嫌悪というやつなのだろうか。すまいむは列を睨み、今にも飛び出しそうだ。

 っていうか、なぜすまいむが俺の懐に?

 と思っていると、地面にすまいむが飛び出す時に懐から落ちたらしい紙を見つけた。

 拾い上げて読んでみると……。



 神埼君へ

 すまいむは連れていっていいみたいだから、持ってって

 きっと役に立つよ 城戸&榎田



 何てこった。そのすまいむが今、敵陣に突っ込んでいきそうなんだが?

 あっ──。


 止める間もなく、すまいむは藍色のスライム軍団に特攻していった。

 まずい、バレる。俺は4人を促し、茂みに隠れる。


 すまいむは、藍色のスライムと激しい戦闘を繰り広げていた。

 具体的には、ぴょんぴょん跳ねて、ぶつかり合っていた。

 ぴょんと飛び、敵に体当たりする。

 両方ぷるぷるなので、跳ね返される。

 その繰り返し。かわいい戦いだ。

 っと、かわいがっている場合ではない。

 さっさとすまいむを連れて、ギルドへ向かわなくては。

 もたもたしていると、軍隊の主が現れる。


 その時、俺らの頭上を大きな影が通った。

 その影は、交差点にひらりと着地する。

 影の正体は、黒服に身を包み、背中から羽が生えた男であった。

 まるで悪魔のよう。いや、おそらく悪魔そのものだ。

 悪魔は、戦っている藍色のスライムたちを制止し、ひょいとすまいむをつまみ上げた。

 さらばすまいむ。R.I.P──。


 と思ったら、悪魔は、すまいむを興味なさげに放り投げた。

 そして、周りを見渡し、きょろきょろと何かを探している。

 っ──。 俺らを探している。

 見つかったらおしまいだ。俺らは息を殺し、目を閉じる。


 どれくらいの時間が経っただろうか。

 もう行っただろう。俺は目を開け、上の方へと視線をやった。


 黒服の悪魔が、俺と目を合わせた。

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